10月4日（日） 2009 J2リーグ戦 第43節
富山 2 - 3 仙台　（13:05／富山／5,520人）
得点者：8' 梁勇基（仙台）、28' 長谷川満（富山）、75' 長谷川満（富山）、78' 渡辺広大（仙台）、83' 中島裕希（仙台）
スカパー！再放送 Ch185 10/5（月）21:30〜（解説：安井孝志、実況：牧内直哉、リポーター：豊田麻衣）
勝敗予想ゲーム | 皆の投稿で作るスタジアム情報
----------

逆転、再逆転のシーソーゲームは仙台が底力をみせて３−２で富山を下し、首位C大阪に勝点差２と迫った。残り７分、富山県出身のFW中島裕希が約３カ月ぶりのゴールで試合を決めた。一方、敗れた富山にもJFL通算103得点のFW長谷川満に待望のJ初ゴールが生まれた。ともに「13番」を背負った両エースの復活弾。勝負の明暗は分かれたが、富山で今季最多5520人の来場者はその場に立ち会えた喜びを胸にスタジアムをあとにした。

仙台の中島は「試合前の声援に自分への期待を感じ、それに応えたかった」。
６月24日の第23節栃木戦以来、得点から遠ざかり、前節はホームでブーイングも浴びせられたという。だが、故郷でのゲームだった今節、仙台から駆け付けたサポーターは「オレ達のエースはお前だけ！共に戦おう」との横断幕とともに、一人ひとりが「13」と書かれたカードを掲げて激励した。手倉森誠監督も「中島を今回メンバーから外しても何の意味ももたない。故郷に錦を飾らせたい。何が出来るか彼に託したい」と信じて起用した。
２−２の同点で迎えた後半34分からの出場。同38分、味方ゴールキックから左サイドでMF関口訓充とのワンツーが決まってGKと１対１になり、落ち着いて流し込んだ。「ワンタッチ目でDFの前に入ることができた。シュートコースがみえた」と振り返った。

序盤は仙台ペースで進んだ。富山との過去２戦で開始直後に得点しており、またも前半８分に先制した。FKから揺さぶり、MF梁勇基がペナルティーアーク付近からゴール左上に鮮やかに突き刺した。梁は昨年の13得点を上回る１シーズン自己最高の14点目。
しかし、富山はひるまず、右サイドを中心に起点を作って反撃に転じた。攻守の早い切り替えからMF木本敬介やFW石田英之が機動力を生かしてかき回しつつ、ゴールに迫った。そして同28分、４試合ぶりに先発したMF川崎健太郎の右CKに長谷川がニアに走り込みながらボレーシュートを決めて追い付いた。

その後は交互に攻め合って、ともにDF陣が体を張って守る展開だったが、富山が後半30分に再び長谷川が決めて逆転に成功した。左サイドでMF長山一也からスルーパスを受けた木本が、仙台のDFエリゼウと全力で並走しながらゴール前に送ると、「絶対に来ると信じて走った」という長谷川が頭で合わせた。そばには石田も走り込んでおり、チームが課題として取り組んできたサイド攻撃からの得点パターンが結実した。
仙台としては直後の同33分に同点にできたことが大きかった。梁のFKにDF朴柱成が頭で触り、こぼれ球がちょうどペナルティーエリア内のDF渡辺広大へ。渡辺は胸トラップから強打してシュートは途中出場のGK橋田聡司の右手を弾いてゴールイン。その５分後に中島の劇的な決勝ゴールが生まれた。

富山は仙台に対して初の同一カード３連敗を喫し、J１昇格という大目標にまい進するチームの地力をまざまざとみせつけられた。しかし、スコアは第１クールから、０−３、１−３、２−３で、楚輪博監督は「もう１試合あったら次は同点かもしれませんね」と冗談ぽくチームの進歩を表現。仙台の手倉森監督は会見の冒頭で「富山の成長を感じた」と称えた。勝負を分けたものとして手倉森監督は勝利への執念、楚輪監督は相手セットプレーの精度の高さを上げた。

試合後の富山のゴール裏では、持参したくす玉を割って長谷川の初ゴールを祝うサポーターの姿があった。エースストライカーとして期待されながら、開幕当初はJリーグのマークの厳しさに苦しみ、第15節からは怪我で13試合欠場した。復帰した試合で再び負傷し、先月10試合ぶりに戦列に戻ったばかりだった。長谷川は「なかなか得点できなかった時も頑張れと激励してくれたサポーターに感謝したい。残りの試合を完全燃焼したい」と語った。
リーグ戦はあと８試合。昇格をかける仙台、１ケタ順位を狙う富山。両チーム、それぞれの選手たちがゴールへ向かう。

以上


2009.10.05 Reported by 赤壁逸朗