10月3日（土） 2009 J2リーグ戦 第43節
Ｃ大阪 0 - 0 福岡　（19:04／長居／8,553人）
スカパー！再放送 Ch181 10/5（月）13:30〜（解説：長谷川治久、実況：谷口広明、リポーター：森田純史）
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Ｃ大阪と福岡の一戦は、両チーム合わせて30本のシュートが乱れ飛ぶも、結果はスコアレスドロー。互いに決定力を欠き、勝点1を分け合う形となった。

首位Ｃ大阪は前節の栃木戦からメンバーを少しいじり、DFチアゴが第38節甲府戦以来、5試合ぶりに先発入り。そのチアゴを、トップ下に入っていた福岡FW大久保哲哉にマンツーマンでマークさせる戦術を採用したレヴィークルピ監督だったが、チームのリズムが栃木戦からよくなったかといえば、疑問の残る内容だった。

以下、内容を振り返ると、確かに厳しい環境のなかでの栃木戦とは違い、動きはよかったＣ大阪の選手たち。前半はシュートを12本放つなど、試合を優勢に進めていた。乾貴士のドリブルやミドルシュートを軸に、立て続けに福岡ゴールを襲ったものの、7分の乾のミドルも、23分の乾の絶妙な右ループクロスに合わせた小松塁のヘッドも、福岡GK六反勇治の好守の前に決めきれない。39分のカイオの左ミドルもポスト直撃と、運にも見放される。

だからといって、一方的にＣ大阪が攻めていたかというと、福岡にもチャンスはあった。本来リベロであり、カバーリングを得意とするタイプのチアゴが大久保を常に見ていることで、「左に流れたり、右に流れたりして、そのままチアゴは上がっていっちゃう癖があるから、そこでバランスが取れなかった」と、Ｃ大阪MF船山祐二。好調時は藤本康太が潰し役で機能していたが、今回のチアゴは大久保を完全に抑えきるまでには至らない。

「マンツーマンで付かれても、そんなにプレーしづらいことは全然なくて、むしろついてきてくれたほうが、スペースは作りやすい」と大久保。福岡も反撃の糸口を見出し、右クロスから、29分にはヘッドで、後半開始直後の46分にはボレーで、それぞれ大久保がマークをかいくぐって合わせる。ボールはわずかに枠を外れるも、徐々にＣ大阪へプレッシャーを与える。

Ｃ大阪としてはとにかく先制点が欲しかった。その思いから、先にレヴィークルピ監督が動く。右足小指の痛みで栃木戦を欠場し、福岡戦出場も危ぶまれていたエース香川真司を強行出場させ、57分、小松に代えてピッチに投入。香川は交代直後に抜群のキープから得意の左45度のゾーンで右足シュート。これは惜しくもゴールならなかったが、いきなり存在感を見せ付ける。

ただ、香川投入後も試合を動かせないとなると、指揮官は次の一手として71分、チアゴに代えて西澤明訓を入れて、前線を2トップにして試合を決めに行く。しかし、逆に「チアゴが抜けて2ボランチになったときのポジショニングは課題」と前田和哉も言うように、中盤のバランスがさらに崩れて、福岡の大久保、田中佑昌、久藤清一、城後寿といったところに、フレキシブルに動き回られてしまう。それでも、城後のシュートが外れたり、大久保のボレーをGKキムジンヒョンが好セーブするなどで、Ｃ大阪は何とか耐え凌いでいく。

80分にＣ大阪は3枚目のカードとして、カイオに代えて黒木聖仁をボランチの一角に入れて、4連勝中の3ボランチに戻し、バランスを整えようとする。ところが、運動量の落ちてきたＣ大阪は、福岡の田中に2度シュートチャンスを作られるシーンも。クロスバーにも助けられ、そこを無失点で切り抜けると、最後は何とか勝利をもぎ取ろうと、怒とうの攻めを見せ、87分には黒木が強烈ミドルも枠を捉えたが、この日何度もスーパーセーブを見せたGK六反に阻まれる。その次のCKから香川が密集していたペナルティーエリアをワンツーで抜けてループシュートを放つも、今度は福岡のキャプテンマークを巻くDF丹羽大輝にゴールライン際でクリアされ、得点ならず。計シュート20本を福岡に浴びせたＣ大阪だったが、勝点3には最後まで手が届かなかった。

「攻めてて点が取れなくて、引き分けというゲームが、たぶん一番危ない。次の札幌は気を引き締めていかないと、痛い目にあうかもしれない」と警鐘を鳴らしたのはＣ大阪の船山。J1昇格、J2優勝を決めるために、当然、決定力が課題も、選手にも、スタッフにも、緊迫した状況の中で、今こそチームワークを発揮すること、9月好調時のスタイルを今一度取り戻すことが、必要になってくるはずだ。次節の強敵、札幌とのアウェイ戦で、どのような布陣を敷くのか、注目したいところだ。

一方の福岡、篠田善之監督は「首位相手にギリギリのところで戦って引き分けたことも、僕は自信を持って次のゲームに戦いたい」と前を向いた。3試合連続無失点と守備が安定してきた福岡。J1昇格の芽こそなくなったが、「来年以降の自分のサッカー人生につながるよう、プレーだったり、チームとしてもつなげていければいい」と大久保。未来に向けての戦いは、この試合でも証明できたと言っていいだろう。

以上

2009.10.04 Reported by 前田敏勝