10月3日(土) 2009 J2リーグ戦 第43節
栃木 1 - 1 愛媛 (13:04/足利陸/2,411人)
得点者:43' 岡田佑樹(栃木)、89' 横谷繁(愛媛)
スカパー!再放送 Ch181 10/5(月)07:00〜(解説:水沼貴史、実況:篠田和之、リポーター:萬代裕子)
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確かに、クライマックスは劇的だった。刺激的でもあった。しかし、それは栃木SCにとってアンハッピーなものだった。最後の最後に待ち受けていたのは、歓喜ではなく悲劇。今季、最初で最後の「足利劇場」(足利市総合運動公園陸上競技場の別称)は、栃木サポーターによる拍手喝采で閉幕するはずだったが、後半ロスタイム間際に愛媛FCに追い付かれたことで、「ブラボー!」と叫ぶことは叶わなかった。何度も繰り返されてきた終了間際の失点は、後味の悪さだけを残した。
ホーム3連勝が懸かる栃木は、勝点3獲得へ向けて幸先のいいスタートを切る。開始早々の20秒に本橋卓巳が先制パンチとなるミドルシュートを放つ。ファーストプレーで波に乗った本橋は攻守に奮闘。鴨志田誉とともに愛媛の攻撃の芽を摘み取るだけではなく、パスをさばき、再びミドルを打ち込むなどゴールへの意欲も見せる。本橋に触発されたレオナルドは抜群のキープ力を活かして起点となり、鋭いターンからのドリブル突破。向慎一、若林学もゴールに迫った。
前節のアビスパ福岡戦とは異なり精彩を欠いた愛媛は、高い位置でボールを奪ってからフィニッシュに持ち込めなかった。左ワイドの内田健太にボールを集めるが、対面の赤井秀行に完璧な対応をされたことで手詰まりに陥る。が、最初に決定機を迎えたのは劣勢だった愛媛。赤井秀行とのマッチアップでは分の悪かった内田が、栃木のラインコントロールの乱れを突く。チアゴのフィードから背後を取ってシュート。枠内に飛ばすもGK柴崎邦博の好守に阻まれ、赤井秀一がルーズボールに詰めたがシュートはゴール前を通過しただけだった。
窮地を脱した栃木はレオナルドが右サイドからクロスを供給し、足利とは相性のいい若林が飛び込む。が、突っ込み過ぎたことで、こちらもボールはゴール前を横断。互いに逸機した後の41分、栃木はCKから宮本が技ありのシュートを、愛媛はその直後にカウンターを打つが、ゴールネットは揺らせず。見せ場を作りながらゴールが遠かった両者だが、43分に岡田佑樹が均衡を破る。ミドルレンジから右足一閃。GK山本浩正は手に当てたが、「思いっ切り打った」(岡田)ことが奏功し、ボールはゴールへと吸い込まれた。
先制して前半を終えられた栃木。後半の序盤に宮本が危険な位置でボールを失い、カウンターを受けるが落合正幸がうまく対処して事なきを得ると、岡田が巧みなドリブルからペナルティエリア内に侵入。追加点の匂いが強烈に漂うも、若林へのパスを選択したことで好機を逸する。ゴールを決めたことで積極性が増していた岡田。誰もがシュートを予想したが、パスを選択したことで結果論になるが流れは愛媛に傾く。
田中俊也、横谷繁と攻撃的なカードを切ったバルバリッチ監督。フレッシュな選手を前線に送り込んだことで活気が生まれ、サイドを有効利用しながら攻め立てた。84分の赤井秀一の決定的なシュートはGK柴崎に弾かれるも、89分にFKからのハイボール処理を誤ったGK柴崎の隙を見逃さず、チアゴのクロスから横谷がヘディングシュートで同点。栃木は逃げ切りに失敗し、土壇場で勝点2を落とした。
「疲れてくるとFWとDFの間が空く。こっちがしっかりと弾いてもセカンドボールを拾われていた。そこで潰すことができていれば、相手に自分達の陣地まで押し込まれることはなかった」
宮本は唇を噛んだ。
5連敗から脱した愛媛。バルバリッチ新体制となってからの初ゴールは、勝点1を呼び込んだ。
「内容は全然だったが、アウェイで勝点1を取れたことは、冷静に考えれば悪くない」
三上卓哉はチームが一歩前進したと感じ取ったようだ。栃木のミスにも助けられたが、ゴール欠乏症に陥っていただけに、1点が流れを変える兆しはある。ちょうど開幕から5連続完封で5連敗を喫した栃木がそうだったように。ゴールが最良の薬であることは間違いない。あとは15試合まで延びてしまった失点を、次節のロアッソ熊本戦で止められれば、さらにチーム状態は上向くはずだ。現状では複数得点よりも無失点の方が可能性は高いだけに、守り抜いて数少ない好機を結果に結び付けたい。
2試合続けてセットプレーからの失点と、前節の課題が改善されなかった栃木。失点の直接の原因はGK柴崎の落球だが、これまで何度も勇敢な飛び出しで相手の決定機を防いでいるだけに責められない。むしろ、「失点に繋がる前にもミスがあった」(松田浩監督)ことが問題だった。
最大のミスは、後半の試合運び。1点差を守り切るための「ペース配分」が全くできていなかった。「若さん(若林)がいたので頼ってしまった」と鴨志田が言うようにロングボール一辺倒、もっと言えばクリアだけになり、簡単に相手にボールを譲り渡しては守備機会を増やした。FKを獲得しても無闇にゴールを狙ってしまい、コーナー付近に蹴るなどして時間を稼がなかった。また、ポゼッションして相手をいなす発想にも乏しかった。ピッチ内の選手に判断力が欠けていたのは事実だが、交代枠がひとつ残っており、ポゼッションするには最適な人材である米山篤志を使う選択肢もあったはずだ。第1、第2クールならば、痛い思いをすることで成長を促す、という解釈もできるが、第3クールは結果が全てなのだから、結果論になるが適切な判断を下したとは言い難い。
15位・愛媛を叩いておけば差が縮まっただけでなく、16位・ファジアーノ岡山が敗れたことで順位が引っくり返っただけに、今節のドローは限りなく負けに等しい。次節は岡山との直接対決が控える。同じ失敗は当然ながら許されない。
以上
2009.10.04 Reported by 大塚秀毅
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