10月3日(土) 2009 J1リーグ戦 第28節
清水 1 - 1 広島 (13:03/アウスタ/18,205人)
得点者:29' 佐藤寿人(広島)、44' 岡崎慎司(清水)
スカパー!再放送 Ch181 10/6(火)07:00〜(解説:田中孝司、実況:桑原学、リポーター:真鍋摩緒)
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試合内容からいっても、ホームの清水のほうがより手痛い引き分けだった。スタンドが一気に沸くような決定機も多くはなかったが、その裏では虚々実々の駆け引きが繰り広げられ、上位対決らしい見応えのある攻防が展開されていた。
攻撃に自信を持つチーム同士のわりに打ち合いにならなかった一因は、天候にもあった。朝まで雨が降っていた天候が一変して、強い日射しとともに気温もぐんぐん上がってきた中での13時キックオフ。公式記録では気温25.2度となっているが、湿度は80%あり、日射しを遮るものがないピッチ上では、上から降り注ぐ暑さと、下から上がってくる湿気で、真夏のナイトゲームよりもずっと厳しいコンディションになった。
その中でも清水の選手たちは、立ち上がりから出し惜しみすることなく鋭い動きを見せ、0分に太田宏介の左クロスから岡崎慎司がヘッドを放つなど先制パンチを打ちながら主導権を握っていく。それに対して広島は、守備のときには5バック、あるいは6バックにもなってゴール前を固め、そこからカウンターのチャンスをうかがう。そのため清水のほうは、アーリークロスは比較的容易に上げられたが、ゴール前の守りが厚く、なかなかチャンスを作れない。また、ゴール前に入る人数を増やしすぎれば、ボールを奪われた後のリスクが大きくなるため、あまり無理はできなかった。
逆に、広島がポゼッションした際には、清水が素早く守備のブロックを作り、広島は思うようにボールを前に運べない状態が続く。広島は、攻撃時にはボランチよりも前の5人が5トップのように前線に上がり、清水のDFラインと中盤のラインの間にポジションをとるが、清水のほうはそこに縦パスを入れさせないことを強く意識していた。
「そこでボールを受けられると、僕らが後追いする感じのディフェンスになるので、もっとピンチが多くなったと思うけど、そこはみんなで連携してパスコースを消せたと思う」(本田拓也)と狙い通りの守りができていた。そのため、広島は後方で横にボールを回しながらチャンスをうかがったが、前線5人と後ろ5人の距離が空いて、なかなか得意のパスワークで崩すことができなかった。
その中で広島が考えていたことを、ボランチの青山敏弘は次のように語る。
「相手がそれほど前から(プレッシャーに)来なかった分、後ろで回していれば良いという意識で、焦りはなかった。ただ、向こうがもうちょっと(ボールに)食いついてくれば、中盤も空くと思うし、そこをうまく利用したかった。もっと僕を経由してボランチを食いつかせるような動きがあれば良かったけど」
それは清水としても承知していた部分で、清水のボランチ・伊東輝悦はこう語る。
「ボールを動かしながら、僕とか中盤の選手が取りに来たところで、その背中を狙うという意識があるのはわかっていた」
そのため清水は、広島が後方でボールを横に回すのは容認し、あまりボールに食いつきすぎることなく、クサビのパスコースとスペースを消して、広島の持ち味を出させなかった。試合の流れは、広島にとってもそれほど想定外ではなかったが、ペースは清水が握っていたと言えるだろう。
そうした駆け引きが続く中で、先制点に結びついたのは広島のカウンター。29分、清水のサイドチェンジをインターセプトしたミキッチが、そのまま右サイドを駆け上がり、中に切れ込んでスルーパス。そこにDFの陰から佐藤寿人が抜け目なく飛び出し、GK山本海人の前で少しだけ触ってコースを変えると、山本海の脇の下を抜けてゴールに転がりこむ。清水が先制点を奪われたのは、じつに10試合ぶりのことだった。
しかし、清水のほうも、前半終了間際の44分、中盤でのリスタートで広島の集中が抜けたスキをついて太田が素早くクロスを入れると、岡崎がファーに流れながらフリーになってヘディングシュート。これがループを描いて逆サイドのポストぎりぎりに決まり、エース岡崎の5試合ぶりのゴールで、清水が前半のうちに同点に追いつくことに成功した。
お互いになかなか突破口を見出せない中で、どちらも相手の一瞬のスキを見逃すことなくエースがゴールを奪ってしまうあたりは、さすが好調なチーム同士というところだろう。
後半に入っても、試合展開に大きな変化はなく、お互いに辛抱強く戦いながら時間が経過していく。勝ち越し点がほしい清水が攻めに出ていく中で、広島がカウンター攻撃を仕掛ける回数は多くなったが、そこは清水の守備陣が集中した対応で決定機に至る前に止めていった。
両チームとも交代のカードは攻撃陣が中心で、何とか勝点3を取りたいという強い気持ちは、選手たちの1プレー1プレーにも表われていた。ただ、終盤にもう一段ギアを上げられたのは清水のほうで、広島の足が止まってくる中で、アディショナルタイムを含めた残り10分弱は清水の攻勢が続いた。
しかし、その中でも広島守備陣の集中は途切れることなく、45分の清水最大のチャンスでは交代出場の山本真希がシュートを上にふかしてしまう。お互いに死力を尽くした熱闘は1-1のまま痛み分けに終わり、その直後には多くの選手がピッチに膝をついてしばらく動けなかった。
清水としては、勝つべき試合に勝ちきれなかった悔しさは残るが、これで勝点を50に伸ばし、暫定首位。ホームでの無敗記録は22となり、リーグ戦では13戦無敗。プレーの内容はけっして悪くなかっただけに、チームに動揺はない。厳しい優勝争いの中では、こういう試合はかならず出てくるもの。この勝点1が意味のあるものだったかどうかは、今後6試合の戦いぶりにかかってくる。
以上
2009.10.04 Reported by 前島芳雄
J’s GOALニュース
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