10月4日（日）J2 第43節 東京Ｖ vs 甲府（19:30KICK OFF/国立）
スカパー！生中継 Ch182 19:20〜（解説：都並敏史、実況：田中雄介、リポーター：大竹七未）
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東京Vは、リーグ戦では今季最後となる国立競技場での一戦に甲府を迎える。第１クール（１−２●）、第２クール、（１−２●）とも甲府には苦杯をなめさせられているだけに、「意地を見せたい」と高木琢也監督以下、選手たちも必勝を胸に期す。同じ相手に３連敗だけは何としても避けたいところだ。

中でも、最もリベンジに燃えているのがMF河野広貴だ。第１クールはケガのため欠場。第２クールでの対戦では、完全復帰後初めて先発メンバーから外れた「悔しい思い出」として深く印象に残っているだけに、「絶対に勝ちたい」と、対甲府戦のマイナスイメージ払拭に闘志を燃やしている。だが一方で、そのベンチスタートが、河野に改めて先発で出られることの大切さ、ありがたみを気付かせてくれたともいう。その後、「常に使ってもらえる選手にならなければ」と、今まで以上に意識を高く持ち、プレーの幅を広げるための努力を続けている。積み上げてきた日々のトレーニングの成果を、得点という形で結実させたい。

その河野が楽しみにしているのが、DF吉田豊（甲府）とのマッチアップだ。「（年代別）代表でも一緒にやっていたから、どういう選手か特徴は分かっている」。ポイントは「僕の足にボールがつけば・・・」だと笑う。駆け引きに勝つ青図はしっかりと頭の中に描けているようだ。当の甲府・吉田は前節、連戦によるコンディション不足から先発メンバーから外れているが、中一週間空いて調整も万全となれば、先発復帰も十分考えられるだろう。10代の若い両選手が繰り広げるサイドでの攻防を、見どころの１つとして注目してみるのも面白いかもしれない。

チームとしては、失点のしかたがここ最近の課題といえるのではないだろうか。特に直近のここ数試合を見ると、「ほとんどが攻撃のミスから失点している」と、全員が納得している。前節の鳥栖戦でも、失点シーンに限らず、攻撃を仕掛けはじめた肝心のところでボールを奪われ、そこからカウンターをくらって決定的ピンチを迎えるという状況は何度も見られた。「サッカーである以上、ミスを１００％なくすのは不可能。だったら、ミスを犯したときにいかに素早く攻守の切り替えができるかがすべて」だと、高木琢也監督は話す。これまでも、同監督は攻守の切り替えについて常に言い続けてきている。その徹底とイージーミスをなくすことこそが、この試合最大のポイントだろう。

甲府は、前節・岐阜戦の勝利で念願の昇格圏内である３位に浮上した。06年に横浜ＦＣを昇格させた高木監督は、自らの経験を踏まえた上で「甲府が、残り９試合を残して３位という状況をどう受け止めるか」というメンタル的な部分に、東京Ｖの勝機を見出す。だが、甲府としては当然ポジティブに受け止めていることは言うまでもないだろう。第３クールに入って、すでに首位・C大阪、2位・仙台と上位２チームとの直接対決を終えている。つまり、現時点での順位的に言えば、残り試合はすべて自分たちよりも下位のチームとの対戦となる。安間貴義監督も、主導権を持って挑めると捉えているようだ。

ここ２試合、甲府はＤＦ杉山新を出場停止で欠かざるを得なかったため、３バックへとシステム変更して戦ってきたが、１勝１分と結果はまずまず。今節、杉山の出場停止が明けたところで、従来の４−３−３に戻すのか。もしくはこのまま３バックを続けるのか。だとすれば、杉山をどの位置で起用してくるのか。そのあたりが１つの注目点と言えるだろう。とはいえ、試合が始まれば状況は二転三転する。安間監督はスタートシステムに拘らず、臨機応変に対応できる選手たちの力を信頼しているという。いかなる状況でも自分たちのサッカーを貫くことができるかが鍵を握りそうだ。

また、この試合では、９得点を挙げているＦＷ金信泳が出場停止となる。
第40節・草津戦では６試合ぶりの黒星を喫したが、前半から数多くの得点チャンスはあった。チームとして決定力という部分に課題を残しているだけに、金の穴をいかにして埋めるのか。そのあたりにも注目してみたい。

この場で触れるべきか散々迷ったが、やはり最後に少し触れようと思う。
9月30日に日本テレビ放送網から東京ヴェルディホールディングスへの株式譲渡が完了した。会社的には10月１日から新しい親会社の下で再スタートを切っているが、監督・選手はじめ東京Ｖのチームスタッフは、残りの試合に向けて集中したトレーニングを、変わらず続けている。
だが、各報道や周囲の声などの喧騒がメンタル面に与える影響は、決して皆無ではないといわざるを得ない。それでも、そんな状況だからこそ、「試合が続いてくれて良かった。練習や試合で球を蹴っている時だけは夢中になれるから」と、ある選手は語る。同じ思いの選手は少なくないだろう。そのためにも、今、東京Ｖにとって『勝利』は最も大きな価値を持つのではないだろうか。強豪・甲府に勝って、笑って、連敗で沈み気味の雰囲気をぜひ好転させてほしい。

以上

2009.10.03 Reported by 上岡真里江