10月4日（日）J2 第43節 熊本 vs 札幌（13:00KICK OFF/熊本）
スカパー！生中継 Ch183 12:50〜（解説：池ノ上俊一、実況：山崎雄樹、リポーター：吉田明央）
勝敗予想ゲーム | 皆の投稿で作るスタジアム情報
----------

　早いものでシーズンも残り９試合となった。10位以内という成績を目標に取り組んできた熊本だが、42節終了時点で14位。10位富山との勝点差は14と５試合分の開きがあり、達成するには厳しい状況。しかしそれでも１歩ずつ進んで行くほかない。ひとつ上にいる13位福岡との勝点差は６で、今シーズン最後の九州ダービーとなる45節の直接対決（10／18＠ＫＫウイング）で順位をひっくり返せる状況に持ち込むには、今節の札幌戦と次節の愛媛戦はどうしても勝点を上積みしておく必要がある。
　対する札幌は、前節湘南を降して３試合連続完封で３連勝と、終盤に来て追い上げが加速。順位も１つ上げ、昇格圏が視界に入って来た。３位の甲府とは勝点差が12あるが、数字上はJ１復帰の可能性がまだまだ残っているだけに、ラスト９試合、１つも落とすわけにはいかない。C大阪（10／7＠札幌厚別）と仙台（10／25＠ユアスタ）との対戦を残しているが、今シーズン２敗を喫しているのは、甲府と湘南、そして熊本だけとなれば、この一戦にかけるモチベーションも相当なものであるに違いない。

　過去2度の対戦を振り返れば、いずれも熊本が完封こそしているが、現在の順位に現れている通り、「個の能力が高い」（北野誠監督）札幌の方が地力は上。それでも熊本が２勝を収める事が出来た要因は、ゲームの中で自分たちに流れが来た時間帯を逃さなかったことにあると言える。
　
第１クールでは札幌の出来が良くなかった上、ミスからのオウンゴールなどもあって熊本が流れを掴んだが、第２クールは内容でも圧倒された。前半39分に原田拓が２枚目の警告を受けて退場して以降は殆ど押し込まれ、「全くサッカーをさせてもらえなかった」（福王忠世）。しかしそれでもやることが明確になった事で、70分の吉井孝輔のゴールを守りきって熊本が勝点３をものにしている。この試合で熊本が放ったシュートは、決勝点となった吉井のシュートを含めてわずか２本。もう１本は後半開始直後に木島良輔が狙ったもので、試合の流れの中では実質１本のみ。一方の札幌は23本ものシュートを放ちながら、枠をとらえる事ができなかった。
　前節の湘南戦も、スコアは２−０だったがカウンターから幾度も決定的な場面を作っている事を考えると、あと２、３点入っていてもおかしくなかったゲーム。湘南戦後の会見で「相手も１本ＰＫがありましたし、ひとつバーに当たったシュートもあった。ああいうところを入れられるとゲームというのはどういう風になるかわからない」と石崎信弘監督も話しており、札幌としては“決めるべき時に決める”フィニッシュの精度が求められるだろう。

　迎える熊本も、前節は仙台に０−１だったとは言え、やはり危ない場面は何度も作られている。最終局面でのブロックで身体を張ることも必要だが、出来る限りそうしたシーンを作らせない事が必要だ。17得点を挙げているトップのキリノに対するマークもさることながら、２列目から飛び出してくる宮澤裕樹や両サイドの藤田征也、古田寛幸をしっかりケアし、加えて遠目からでも狙ってくる上里一将のミドル、そしてここ２試合やられているセットプレーにも気をつけなければならない。先制を許すと鋭いカウンターのある札幌の思うつぼにはまることは必至で、守備も意識してバランスを保ちつつ、しっかりとボールを動かして優位に立ちたい。

　前節、前々節は集中すべき時間帯に失点を食らったが、「1点を守りきるよりも、セーフティリードまで攻める形を作らないといけない」と横浜FCとの試合後に藤田俊哉が話したように、“決めるべき時に決める”という点においては熊本も同じ。前に高さがない以上、３人目、４人目が絡む出入りの動きでどれだけ札幌のDFラインにギャップを作らせる事ができるかが鍵だ。その藤田だが、明日はちょうど38回目の誕生日。スタジアム全体で祝うためにも、必要なのは勝点３のみだ。

以上


2009.10.03 Reported by 井芹貴志