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【J2:第43節 鳥栖 vs 岐阜】プレビュー:鬼門の3連戦で勝点9をあげた鳥栖。今節もあらたな鬼門が待ち受ける。今季、攻撃で手を焼く岐阜を迎え撃つ。(09.10.04)

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10月4日(日)J2 第43節 鳥栖 vs 岐阜(16:00KICK OFF/佐賀
スカパー!生中継 Ch183 15:50〜(解説:乾眞寛、実況:南鉄平、リポーター:ヨンヘ)
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一体、何処からこのパワーが出てくるのだろう。
『窮鼠、猫を噛む』訳ではないが、第2クールに入って始まった鳥栖の快進撃は、第3クールに入っても衰えることが無い。他のチームが、リーグ終盤に調子を落とすことがあっても、鳥栖の場合は“チーム力”で乗り切っている。4年前から取り組んでいるフィジカルトレーニングの成果で、最後まで走りきる体力と精神力がついたことは周知の事実。それに今季は、“精神的な支え”が加わった。
柳沢将之である。

見た目からは、とてもサイドDFには見えない。髪をなびかせながら、スピードに乗って相手を置き去り、クロスをあげるイメージは全くない。むしろ、ヘディングで競り負けるシーンも多いし、新人に裏を突かれてピンチを招くことも少ないとはいえない。しかし、どんなに強靭なFWが相手でも、必ず身体を寄せて自由にボールをコントロールさせることもなければ、裏を取られても最短コースでボールに寄せてはシュートコースを消していく。愚直に右サイドの上下運動を繰り返し、好機と見ればアーリークロスでFWをアシストする。そして、彼の最大の特徴でもある“コーチング”でチームを鼓舞し続ける。

昨季までの鳥栖は、“若さと勢い”でガムシャラに突き進んでいた。しかし、今季は、それに“判断”が加わった。柳沢のコーチングで、MF武岡優斗が上手さを増して、度々右サイドで起点となっている。センターバック渡邉将基も動じることなく、ボールをはじき返すだけでなく、身体を投げ出して相手FWを迎え撃つ。どちらも、半年前に鳥栖に加入した新人である。昨季までの“若さと勢い”に“判断”が加わり、“新たなパワー”と融合し、第2クールからの快進撃と相成ったといえる。前述した“新たなパワー”は、武岡と渡邉だけではない。FWにハーフナーマイクと山瀬幸宏、ボランチにホベルトも加わって、尻上がりにパワーを増している。

その、地味な存在の柳沢が、ヒーローになった試合がある。第10節の岐阜戦(岐阜メモリアルセンター長良川競技場)である。終始ペースを握り試合を優位に進めるも、雨天のせいで思うようにボールをコントロールすることができなかった。全員攻撃、全員守備を標榜する鳥栖にとっては、あまりにもピッチコンディションが悪過ぎた試合だった。その嫌な流れを断ち切ったのが、柳沢だった。48分、彼の放った40mのミドルシュートは、この試合唯一の得点となり、第2クールの快進撃につなげるゴールとなったのである。第26節の岐阜戦(ベストアメニティスタジアム)での開始5分のFWトジンのゴールは、彼が起点となって生まれたものだった。彼の活躍で、今季の鳥栖は対岐阜戦に1勝1分とまだ負けてはいない。今節も鳥栖の右サイドDFには要注目である。

しかし、分が悪く見える岐阜だが、鳥栖の選手たちは一様に『岐阜は要注意』と口をそろえる。それは、岐阜にも“若さと勢い”があるからである。DF飯尾和也は、「J2の中で、一番最後まで頑張っているチーム」といえば、MF山田卓也は、「自分たちの戦い方を持っている」と、その力量を認めている。直近を2連敗となってはいるが、西川優大と佐藤洸一のFWは岐阜の“若さと勢い”の象徴といえる。しっかりとした守備の中から、この2人に合わせる攻撃は、一瞬たりとも気は抜けない。MF橋本卓の出場停止で中盤のコントロールを欠く事態も考えられるが、持ち前の運動量をもってすればカバーはできることだろう。

鳥栖も岐阜も、“若さと勢い”を持ったチーム。運動量が低下したり、集中力が切れてしまった方が苦戦するに違いない。選手交代のタイミングや途中出場した選手のゲームの入り方が、この試合の結果を左右すると見た。90分間を通して、一瞬たりとも目が離せない試合は、ベストアメニティスタジアム(鳥栖市)ではなく、佐賀県総合運動場陸上競技場(佐賀市)に場所を移して16時キックオフである。

今季、未勝利だった相手の3連戦の鬼門を3連勝で乗り切り、5位に順位を上げた。そして、新たな鬼門を迎えることになる。それは、今季4度目の4連勝挑戦となるからである。過去に3連勝は3度あったが、4連勝は成しえていない。第23節は富山に引き分けて途絶えた。第30節は水戸に完敗だった。第39節熊本戦では惜敗だった。ここでの1敗は昇格争いから大きな後退を意味することも忘れてはならない。第43節の岐阜戦の結果が楽しみである。

「困った時は横を見ろ。同じ苦労をしている仲間がいる。同じ苦労を伴う仲間とともに戦えば、力も出るし決して勢いは衰えない」
岸野靖之監督が、選手たちに伝えた言葉である。
我々サポーターも一緒に戦おう。
選手たちと同じ夢に向かってできる限りの応援をしよう。
そこには、同じ苦労を共有している仲間がいる。
サッカーは、喜びも哀しみも、達成感も挫折も、ともに共有できるスポーツである。そして、仲間がいるから成立するスポーツでもある。

以上

2009.10.02 Reported by サカクラゲン
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