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【J1:第27節 広島 vs 新潟】レポート:絶対にあきらめない執念にちょっとしたミスが加わり、広島と新潟の明暗をわけた37分のプレー。(09.09.27)

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9月26日(土) 2009 J1リーグ戦 第27節
広島 1 - 2 新潟 (19:04/広島ビ/14,690人)
得点者:20' 矢野貴章(新潟)、37' ジウトン(新潟)、51' 青山敏弘(広島)
スカパー!再放送 Ch183 9/28(月)05:00〜(解説:前川和也、実況:君崎滋、リポーター:掛本智子)
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森脇良太は、慌ててはいなかった。ジウトンがドリブルで仕掛け、浮き球のボールで裏をとろうとしても、そこは予想の範疇。しっかりと身体を入れて、ジウトンの突進をガードしていた。
しかし、そこでちょっとしたアクシデントが起こる。広島ビッグアーチの芝生に落ちたボールは、微妙にバウンドが変わった。森脇の前ではなく、裏から走り抜けようとしたジウトンの方にはねたのである。
森脇はそれでも、切り替えてジウトンに身体を寄せた。肩で圧力を跳ね返そうとするブラジル人サイドバック。この瞬間、ややバランスを崩した森脇とカバーに入った中島浩司が衝突してしまい、ジウトンはフリーで抜け出した。
シュート!強烈だ。
広島の守護神・中林洋次がはじき返す。
こぼれた。そこに中林がつめる。ジウトンはシュートだ。
激突。両者、倒れる。
しかし、ジウトンはあきらめない。
懸命に右足を伸ばし、こぼれたボールをかき出そうとした。わずかに触れたボールはそのまま転がり、ゴールネットの中で止まった。
37分、結果として新潟の決勝点となったプレーの顛末である。
このシーン、確かに広島側に不運、新潟側に幸運が、存在した。丸いボールが回転することで織りなす、不確実な反応。それが、このシーンにおいては、新潟に有利に作用した。しかし、それだけではない。
まず第一に、ジウトンの最後まであきらめない強い意志。ホイッスルが鳴るまでプレーし続ける強い想いが大切なことは、実は51分に広島の得点を叩き込んだ青山敏弘も見せつけた。?柳が打ったボールがこぼれた時、オフサイドとセルフジャッジした新潟守備陣とは対照的に、青山は最後までゴールに向かってプレーを続けた。それが、広島のホーム通算400得点目につながった。
ジウトンの場合は、それ以上に執念を感じた。中林と絡んで倒れた時も、彼の思考の中にはボール、そしてゴールしかなかった。だから、倒れながらでもボールを探し、ゴールを狙うプレーを模索し続けた。それが、貴重な得点を生んだ最大の要因である。

そして広島側の視点で見れば、コミュニケーションの不足。森脇は「もっと簡単にクリアすればよかった」と語っているが、確かに身体を入れた時の選択肢としてそれもあるだろう。ただ、広島のサッカーは、こういう状況でも攻撃につなげる。そのコンセプトが徹底しているから、今の広島がある。
もう一つ、森脇は「互いに声をかけあっていれば」とも語った。どちらかといえば、こちらが大きな問題だろう。
クリアなのか、つなぐのか。ジウトンの突進をどう止めるのか。
「安い守備からゴールを与えてしまって、余裕を与えてしまった」と森脇は悔やむが、その要因は互いの意思疎通の問題。それは、ジウトンの突破を受ける前、スローインの段階からしっかりとした相互のコミュニケーションができていれば、これほどきわどい場面をつくられることもなかったはずだ。この「ミス」が結果として試合を決めてしまっただけに、森脇の悔いはさらに大きなものとなった。
「ここ最近の試合でこういう失点が増えているし、またチャンスも決めきれていない」とペトロヴィッチ監督は振り返る。勝っていれば鹿島と勝ち点差3に迫ることができていただけに、指揮官は「この敗戦は痛い」と表情をゆがめた。ストヤノフ・柏木陽介らの主力を欠く苦しい布陣の中でも、特に後半は圧倒的な攻撃力を見せつけていただけに、なおさら悔いが残ってしまう。しかも次節の対清水戦、柏木は戻ってくるものの今度は中島が出場停止。ストヤノフの復帰も不透明で、日本平では10年間勝利がないという現実を見ても、とても楽観視できる状況ではない。
しかし、ペトロヴィッチ監督は「選手たちが強い闘争心を見せてくれたことを、ポジティブに考えたい。しっかりと続けていけば、今後もACLを争っていける」と強い意志を表明。また新潟・鈴木淳監督も、広島の強烈な攻撃をGK北野貴之のスーパーセーブもあって守りきって勝利を得ただけに、「上位との差が縮まった」と強い意欲を見せた。実際、この勝利で新潟の勝ち点は43。広島とは1ポイント差と再び浮上し、優勝争い、そしてACL出場権の争奪戦への参戦を果たした。
柏戦での同点ゴールから一転、失点に絡んでしまった森脇は「こんな失点で負けるのは、一番情けない」と唇をかんだ。しかし、こういう失敗を繰り返しつつ、何度もそこから立ち上がる強い意思を見せてきたからこそ、彼は今、広島でレギュラーを張っている。彼の太陽のような笑顔の裏には、屈辱や悔恨から何度も這い上がってきた強さがあることを、サポーターもよくわかっている。

以上

2009.09.27 Reported by 中野和也
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