9月27日（日）J2 第42節 愛媛 vs 福岡（16:00KICK OFF/ニンスタ）
スカパー！生中継 Ch182 15:50〜（解説：乾眞寛、実況：堀本直克、リポーター：重橋秀香）
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バルバリッチ監督の就任2戦目となった前節の湘南戦、愛媛は4-3-3の布陣でスタート。試合を観ていた愛媛のサポーターも最初、その状況を把握するのが難しかったのではないだろうか。突然訪れた変化について選手たちに話を聞くと、どうやらその形が告げられたのは試合当日のミーティングだったそうだ。それでも「トレーニングで準備はしていたし、ボールも多く触れて楽しかった」(永井俊太)、「選手間の距離が近く、やりやすいところはあった」(内田健太)と選手たちは前向きにとらえ、試合に臨んでいた。

「新しい監督になってゼロからのスタート、チャンスだし、つかまないといけないと思って入った。守備に関しては監督から与えられたことができて、手ごたえもある」と今季2度目のスタメンを勝ち得た渡邊一仁は振り返ったが、この変化によって出場機会を得た選手や、これまでとは違うポジションを務めた選手に与えられた刺激はチームを活性化。1対1の局面では激しく湘南の選手に対してプレスをかけて自由を奪い、後半に入ると攻撃でもサイドから高杉亮太が何度も突破を試み、途中出場のジョジマールからは強烈な左足のシュートも飛び出した。最終的には湘南のゴールをこじ開けられずに敗れたが、「負けるような試合ではなかったし、非常に気持ちを出して相手を苦しめた」とバルバリッチ監督も評価。岡山戦と比較しても、湘南戦はシステムやメンタル面などバルバリッチ・イズムが表れた一戦となった。

しかし結果的にはバルバリッチ体制は連敗スタートで、チームは4連敗中。今季の流れからすると、これまでならメンタル的にも落ちてしまいかねない状況だが、それでも愛媛の選手たちにとっては緊張感のある試合が続く。金曜日の練習後に福岡戦のことを聞いても「色んなポジションで色々とジレンマを抱えている。攻守の課題を解決できる選手を選び、ベストのチーム編成を行いたいし、攻めて帰ってこれない選手ではなく、責任感のある選手を使いたい」と答えるバルバリッチ監督。スタメンが読めるトレーニングを行わないスタンスは報道陣泣かせだが、選手もギリギリまでチャンスをつかもうと必死になってトレーニングでも闘い続ける。「不安よりもやってやろうという気持ちのほうが強かった」とも渡邊は語っているが、むしろ選手たちは最高潮のモチベーションを維持。「まだ結果は出ていないが、1勝すれば監督も落ち着かせられるのでは」と永井が言うように、今はチーム全員が福岡戦に向けて同じベクトルを向いている。

ただ、3試合ゴールがない愛媛にとって、福岡戦は難しい戦いになる。前線から圧力をかけ、しっかりと守備を整えてくる福岡は、第2クールの福岡とは全く別物。3ヶ月前の対戦(6月20日＠ニンスタ・３−０)のようにゴールを重ねることは困難であろうし、前節の徳島戦からは中島崇典、ウェリントンと後方の選手の出場停止が解けて戦力も整う。逆にチアゴを出場停止で欠く愛媛にとっては、大久保哲哉の高さや永井謙佑のスピードをいかに封じるかが問題となる。
その福岡戦で、バルバリッチ監督は初勝利に向けて湘南戦からの継続性を選択するのか、あるいは福岡戦に向けた対策を講じてくるのか。まだまだ未知の部分も多い新指揮官の采配を考えても、今節はキックオフ直後から一瞬たりとも目が離せない一戦になりそうだ。

以上

2009.09.26 Reported by 近藤義博