9月26日（土） 2009 J1リーグ戦 第27節
鹿島 1 - 4 名古屋　（18:04／カシマ／17,192人）
得点者：5' ケネディ（名古屋）、13' ブルザノビッチ（名古屋）、53' 杉本恵太（名古屋）、74' マルキーニョス（鹿島）、83' ブルザノビッチ（名古屋）
スカパー！再放送 Ch181 9/28（月）23:30〜（解説：前田秀樹、実況：八塚浩、プレーヤー解説：名波浩、リポーター：高城光代）
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07年、08年とリーグ連覇。今季も首位を独走し、盟主としての威厳と誇りに満ちていた鹿島が緊急事態に陥った。目も当てられないような惨敗を喫し、スタジアムには悲愴感さえ漂っていた。

試合開始直後、鹿島の出足は鋭かった。本来のFWではなく右サイドを担った名古屋の杉本恵太は「最初は相手のプレスがすごかった」と、その圧力を感じていた。確かに、鹿島の選手たちは気合いが入っていた。試合開始前、アップゾーンからピッチに駆けあがる直前、岩政大樹と大迫勇也は互いの拳で相手の胸を突き気持ちを込めていた。試合が始まったときも、そうした選手の気持ちは身体から漲っていた。セカンドボールやルーズボールに対して青木剛が猛然と飛び込む。連敗中には見られなかった光景がそこにはあった。

しかし、それが続いたのもたったの5分だった。左サイドのマギヌンが鹿島のゴール前にふわりとしたクロスを送る。それを岩政とケネディが競り合うがお互いボール触ることができない。そのままゴール前を通過すると、そこにまっていたのはフリーのブルザノビッチだった。右足をふりぬいたシュートは曽ヶ端準が弾いたものの、リバウンドはケネディの前に転がり、なんなく名古屋が先制点をあげた。

ここ数試合続く、前半早い時間帯での失点。スダジアムには「またか…」という雰囲気が満ち、騒然としはじめる。すると、信じられないようなプレーが続いてしまった。13分、内田篤人のバックパスを受けたGK曽ヶ端準が、なんとキックを空振り。それをかすめ取ったブルザノビッチは無人のゴールまでドリブルで持ち込み流し込むだけで良かった。

前半早々の２失点が、鹿島に重く重くのしかかる。前線で存在感を発揮するケネディに対しCBの二人とボランチの３人が引きつけられてしまってはセカンドボールを拾う選手はいなくなる。鋭かった出足は完全に消え、チームはバラバラになってしまった。

後半になっても流れは変わらない。53分、セカンドボールを拾ったあと、右サイドから切れ込んできた杉本に対しマギヌンが浮き球のスルーパスを送る。新井場徹と競り合いながら走り込んだ杉本が頭で合わせると、曽ヶ端の頭上を越えたシュートはゴールへ吸い込まれていった。ストイコビッチ監督も「パーフェクトゴール」と賛辞を送るすばらしい得点で名古屋が追加点をあげた。

後半開始から10分経たないうちの失点は、選手たちにダメージを与えただけでなくサポーターにも受け入れがたい光景だった。ゴール裏の声援も足並みが揃わなくなり、試合途中でも席を立つ人が少なくなかった。74分に、小笠原満男のFKからマルキーニョスがヘディングシュートを決め、ようやく１点を返したものの、83分にはまたもミスから失点。鹿島にとっては、かろうじて首位に留まるも今後への影響が大きい、ショッキングな内容での敗戦となった。

対する名古屋にとっては首位鹿島相手の快勝。ケネディを前半45分のみ、途中出場の小川佳純と玉田圭司も30分ほどの出場に抑えることができた。理想的な勝利に記者会見でもストイコビッチ監督は満面の笑みをうかべジョークを連発。自ら適正を見抜いて、ボランチに大抜擢した三都主アレサンドロが良いプレーを見せたことを問われると、三都主の資質に称賛を送ったあと、「監督が良いからだ」と付け加えるなど、ピクシーらしい無邪気な表情を見せた。30日に控えるACL川崎F戦に向けて大きな弾みとなる勝利だった。

以上

2009.09.27 Reported by 田中滋