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【J1:第27節 広島 vs 新潟】プレビュー:J2優勝から1年、J1で優勝争いを演じる広島。復調の兆しを見せる新潟と、正念場の戦い(09.09.25)

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9月26日(土)J1 第27節 広島 vs 新潟(19:00KICK OFF/広島ビ
スカパー!生中継 Ch180 18:50〜(解説:前川和也、実況:君崎滋、リポーター:掛本智子)
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プロ野球では、クライマックスシリーズ進出権を賭けて広島東洋カープが奮闘している。5位ながら3位阪神まで1.5ゲーム差。8月4日時点で東京ヤクルトスワローズに13ゲーム差まで広げられていた状況からの追い上げは、広島市民を熱狂させている。

一方、Jリーグでは、サンフレッチェ広島が暫定3位。こちらは、首位鹿島に6ポイント差と迫り、第17節時点で19ポイント差あった両者の差が、2ヶ月間で13ポイント縮まったことになる。もし今節広島が勝利し鹿島が敗れることがあれば、プロ野球的に言えば「1ゲーム差」まで迫る計算だ。今年の秋は、広島のプロスポーツチームの追い上げが目立つ。

「選手たちは、たくさんのサポーターに見てもらうにふさわしい質のサッカーを表現している」とペトロヴィッチ監督は自信を見せる。実際、今季の観客動員は平均1万5184人。リーグで見れば11位という位置ではあるが、シーズン終了時に1万5000人を超えれば、広島の歴史にとってステージ優勝を果たした1994年以来の「快挙」となる。

「観客動員でも上位に入ってこないと、常時優勝争いできるクラブにはならない」と広島のフロントスタッフは語るが、動員増にはチーム成績やサッカーの内容だけではなくスタジアムやアクセスなどの条件も絡み、シンプルには解決できない問題ではある。ただ、カープのように新スタジアムができたわけでもなく、J1復帰も2度目で山形のような「昇格景気」も期待できなかったサンフレッチェ広島が、1試合平均で前年比54.2%もの観客動員増(ホームゲーム13試合終了時点)を見せている。これも、チーム成績の躍進同様、驚きの事実だ。

その理由は様々ある。8月の3試合で6万人以上の観客を集めたフロントの努力も大きい。しかし、最大の要因はやはりチームの躍進と内容の面白さだろう。チームの頑張りと楽しいサッカーに魅せられたたくさんのサポーターの応援がパワーとなって選手たちの身体に注ぎ込まれ、疲れた身体をさらに走らせる相乗効果を生んだ。例えば王者・鹿島の連続負けなし記録をストップ、10年ぶりに浦和からリーグ戦での勝利を勝ち得たのは、いずれも2万人以上のサポーターが詰めかけた試合だった。今季のホームゲームで9勝2分2敗と圧倒的な戦績を残しているのも、サポーターパワー抜きに考えられない。

ただ、ここからが広島にとっての正念場だ。現在6位とはいえ、今季はずっと上位を戦ってきた新潟を皮切りに、清水・G大阪・川崎Fと続く上位との連戦。一方で、柏木陽介が今節出場停止となったように、主力選手の累積警告が厳しい状況を迎え、今後は今季の主力メンバーを欠いての戦いが続く。

チームの絶対的な演出家である森崎和幸が今週月曜日の練習試合に出場し、長期離脱から復活への階段を登ってきつつある。ただ、本格復帰はまだ先のこと。「今季は常に主力不在で戦ってきたし、誰が入っても自分たちのサッカーをやるだけ」と佐藤寿人は語るが、絶妙なコンビネーションを誇る広島だけに、選手たちをつなぐ「目に見えない伸縮自在の鎖」に綻びが出てしまうと、状況は厳しくなる。

まして今季の新潟は、開幕以来ずっと上位を戦ってきた強豪だ。後半戦に入って9試合で勝点8と勢いを落としていたものの、25節の千葉戦でシステムを4-4-2に変更して勝利すると、前節は多くのチャンスを創っての引き分け。状態は上向きと見ていい。
「新潟は、特別にチャンスを創らなくてもゴールできる破壊力を持つ。例えばそれはマルシオ・リシャルデスのFKだったり、セットプレーからの高さだったり。カウンターを狙う矢野貴章や松下年宏にはスピードがある。ペドロ・ジュニオールのG大阪への移籍で攻撃のクオリティが減少したと見る向きもあるが、新潟は新しい選手も補強しているし、ずっと守備も安定している。やり辛い相手だ」とペトロヴィッチ監督は警戒を隠さない。一方で「新潟戦での結果は、今後の戦いにおいて大きな影響を与える。非常に重要な試合だ」と勝利への強い意欲を見せた。佐藤寿人は「コンディションはいい。柏戦でもフィニッシュまでの形は良かったし、あとは決めるだけ」と自信を見せ、青山敏弘は「身体を張ってハードワークすることで、いい守りができている。新潟も質が高いチームだけど、攻守の切り替えのところで潰せれば」と熱い闘志を燃やしている。

思えば2003年9月23日、J1復帰をかけて広島中を熱狂させ、約2万6000人を飲み込んだ「雨のビッグアーチ決戦」から6年。あの試合以上に重みのある戦いが、明日、始まる。J2制覇の翌年にJ1でもまた優勝争いを演じることは、1ステージ制ではどんなチームも経験したことのない奇跡。見逃す手はあるまい。

以上

2009.09.25 Reported by 中野和也
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