9月26日（土）J1 第27節 Ｆ東京 vs 磐田（16:00KICK OFF/味スタ）
スカパー！生中継 Ch183 15:50〜（解説：柱谷幸一、実況：西岡明彦、リポーター：日々野真理）
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城福浩監督は発想を変えた。守備を見つめ直すところからチームを再建しようとしている。Ｆ東京は前節ホームでＧ大阪と引き分けて9位に順位を落としたが、「守備に穴を空けない」という指揮官の狙いはピッチに反映されていた。今節はFW平山相太が出場停止明けで復帰し、鈴木達也との2トップを組むことになりそうだ。
一方の磐田は前節京都戦に3−0と快勝している。連敗ストップとなったこの試合は、7月5日のリーグ第16節広島戦以来となる完封勝利だった。だが、守備の要であるGK川口能活がこの試合で右スネを骨折して長期離脱し、代わりにGK八田直樹がリーグ初先発する。さらにMF山本脩斗とMF山本康裕も負傷し、週末の試合出場は回避しそうだ。

互いに主力選手の流出やけが人続出に苦しむものの、今節はまず前節ともに無失点に抑えた両チームの守備に注視したい。Ｆ東京と磐田はともに4−4−2システムだが、守備には違いがある。Ｆ東京は攻守が切り替わると、スタートポジションへと戻ることを意識する。最終ラインと中盤が隊列を作り、ブロックを敷いて守る。ボールホルダーに近い選手がプレッシャーを掛けるものの、まずは陣形を整えることを最優先させた守備だ。逆に磐田は、前線からプレスを仕掛ける。最終ラインを高く保ち、ボールへのプレッシャーを強める。この対照的なスタイルがどう交わるかがゲームの面白さでもある。

ただ、どちらの守備にも穴がある。Ｆ東京は受ける姿勢から攻撃を仕掛けるためにはどこかで時間を作らなければいけない。パスを回しながら攻めるというスタイルはあるものの、遅攻ばかりでは磐田に守備のポジションを整える時間を与えるばかりだ。逆に磐田はボールを奪った直後に奪い返されると、陣形が崩れていてスペースを相手にさらしてしまう。どちらも前線の選手もしくはサイドにタメを作れる選手がいなければ、この欠点が露になるだろう。

そこで注目したいのがＦ東京のFW平山と、磐田のFW前田遼一だ。彼らのボールの納まりはチームに欠かせないキーファクターとなる。平山は、攻撃のスイッチとして、より高い位置でタメを作ってチームメイトが攻め上がる時間を稼ぐ。前田は奪ったボールをキープして攻撃の起点となるが、守備のバランスを整える時間も与えてくれる。この2人は、守備においてもファーストディフェンダーとしてボールホルダーにプレッシャーを与えるだけに攻守において見逃せない存在だ。

そして、スコアの動きがゲームをさらに面白くするはずだ。先制点の行方次第でゲームの様相はガラリと変わる。状況に応じてプレーの強度やボールの持ち方も変化していく。もし0−0のまま試合が推移していけば、両チームはどこかで息切れが始まる。Ｆ東京は、スタートポジションに戻るためのアップダウンが苦しくなり、磐田は前線の選手のプレスが弱まってラインを高く保てなくなってしまう。必然と後半は運動量の勝負になるだろうし、打ち合いとなるかもしれない。

Ｆ東京DF今野泰幸は前節Ｇ大阪戦を振り返り「メンタル面の強さが求められる」と話し、こう続けた。
「今までどこかでカボレの一発を期待していた部分はあった。今は、全員攻撃全員守備が必要。（Ｇ大阪戦では）後半、パスを繋ぐための数メートルの動き出しが足りなかった。一人もさぼれないし、一人ひとりがやらなければいけない。楽しては勝てない。まだリーグ戦は終わっていないし、僕はあきらめていない」
Ｆ東京は疲労が蓄積した後半に何ができるかだ。磐田の左サイドバックには8月までチームメイトだったDF金沢浄がいる。彼が、多くの選手の拠りどころであったのは間違いない。Ｆ東京の選手として金沢が最後の挨拶を行った日、多くの選手がその言葉に涙を流して別れを惜しんだ。金沢に自分たちの成長の跡を見せられるのか。試合は明日16時、味の素スタジアムでキックオフする。11位の磐田との勝点差は2。負ければ、順位は入れ替わる。リーグ戦で勝点を積み上げていくためにもこの勝負は負けられない。

以上

2009.09.25 Reported by 馬場康平