9月23日(水) 2009 J2リーグ戦 第41節
甲府 1 - 1 仙台 (18:33/小瀬/15,076人)
得点者:76' マルセロソアレス(仙台)、80' 金信泳(甲府)
スカパー!再放送 Ch186 9/24(木)21:30〜(解説:塚田雄二、実況:横内洋樹、リポーター:難波紀伝)
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終息したようにみえていたケガ人ブームが再発した甲府は、前日練習の段階では出場停止の杉山新(右サイドバック)の穴を埋められていなかった。選手も「明日の先発(システムも)はどうなるか分からない。(内転筋を痛めている藤田)健さん次第」なんて言っていた。石原克哉のサイドバック説や山本英臣のサイドバック説などいろいろ考えることが出来たが、出てきた答えはサイドバックの穴を埋める必要ない3-1-4-2の3バック。藤田が出場を回避することはなく、藤田と石原が高い位置でプレー出来、マラニョンと金信泳の守備の負担が少し減る布陣。その分、サイドハーフの吉田豊と大西容平の負担が大きくなるが、始まってみればハマっていて面白そうな展開だった。
記者席も面白そうな配置で、隣では仙台の「仙台シティエフエム(ラジオ3)」が実況中継をやっている。真上に小瀬のスピーカーがあってスタジアムDJの声が大音響で被ってくるちょっと気の毒な実況席になっていた。そのことを心配したら、「ヘッドホンつけてみます?」って貸してくれた。実況もするJ’s GOAL仙台担当佐々木聡氏の声だけがちゃんと聞こえるシステムになっていた。解説無しの独り実況に興味があったからそのままヘッドホンをつけたまま試合を見ることにした。試合開始直後に期待したのは甲府のシステム変更に慌てる仙台の姿で、手倉森誠監督がタッチライン際に張り付いて指示する姿を見られると思っていた。しかし、3バックが有り得ることを直前に察知した仙台はミーティングで対応していて、手倉森監督はベンチに座ったまま。実況では吉田がサイドバックなのか図りかねていたが、そのうち3バックと分かってこちらも混乱はなかった。逆に実況のいいネタになっていた。
甲府はボールを繋ぐということでは仙台を上回っていたが、勝点で4上回っている仙台は「我々は(勝点で)アドバンテージがある。アウェイの戦い方。守備を手堅くして隙を突く」(手倉森監督)と、甲府のミス待ちだからお互いにゲームプラン通りの展開。甲府は守備の負担が少ないからか、ダイナミックなプレーが戻ってきた金信泳が強烈なミドルシュートを打つなど決定機は作れていた。シュートのこぼれ球が甲府の選手の前に転がる幸運はなかったけれど紅白戦でやったことがあるだけに、選手に戸惑いはなかった。仙台も梁勇基がチャンスとピンチにはちゃんと絡んでポイントの仕事をしていた。時間が過ぎるのが早く感じる45分間は決定機も楽しめた0-0で、仙台担当とも平静を保ってハーフタイムの会話をすることが出来た。
後半の序盤は、前半はあまり有効ではなかった仙台のロングボールが効いてきて甲府が押し込まれる展開。佐々木氏の実況も熱くなってきてチラッと横目で見るとアクションが大きくなっている。甲府のカウンターがオフサイドになるとピッチを指差して「オフサイド〜」なんてやっていた。熱いのだ。そして、「中原貴之がベンチでユニフォームを貰っています」と嫌な情報もヘッドホンから聞こえてくる。オレンジのスパイクを履いたウルトラ・サブは59分という早い時間に登場し、5分後には決定的な泥臭いシュートを打ってしまう。このシュートは小瀬のポストが身体を張って防いだが、中原は絶対に何か持っている。甲府に勝って欲しいと思って見ているから梁や中原のプレーが余計に目立ち、怖く思えるのかもしれないが、梁はピンチには戻って防ぎ、そのボールをチャンスに作り変えるし、中原は少ないチャンスをゴールに繋げる確率が高いストライカー。ただ、19分のシュートがポストに当たったときは甲府に運があると思った。ところが、76分に鼓膜が破れそうな声をヘッドホンから聞くことになってしまった。攻め込んでいた甲府がシュートを打てないでボールを奪われると、カウンターを受けてペナルティエリアの右サイドでマルセロ・ソアレスと山本が1対1の状態。抜かれなければ大丈夫と思っていたら、シュート。GKのポジションを冷静に見て打ったシュートの軌道は素晴らしく、GK荻晃太の頭上を越えてゴールに入ってしまう。ヘッドホンから「グォォ〜ル」と大絶叫が聞こえてきて、耳が痛いし面白くないからヘッドホンを外した。
しかし、4分後には再びヘッドホンをつけたくなった。左サイドから石原が入れたクロスが金信泳に通って、ワンタッチで打ったシュートが仙台のゴールネットを揺らした。「最初は(藤田)健だけが見えたけれど、そのまま出してもマークされていたから出すのを止めようと思った。でも、その後ろにチラッと青いユニフォームが走り込んでくるのが一瞬見えたから入れた」という判断だったが、その正体が金信泳で、彼が素晴らしいワンタッチで同点ゴール決めた。ヘッドホンをつけると、
「…」
「アッという間です」
「…」
「アッという間です」
「…」
「4分間の喜び」
「…」
なんて素晴らしい実況が聞こえてきた。隣の女性ディレクターもガックリしていた。
しかし、現実に戻ってみると振り出しに戻っただけで、残り時間は10分とロスタイムだけ。70分に投入された國吉貴博が前回の対戦のように決定的な仕事をやってくれることを期待したが、最初に湧かせてくれたのはダニエル。ここまで何度かオーバーラップしていたのだが、同点に追いついた後に藤田とのワンツーから作ったチャンスは決定的だったが、シュートミス。ここで畳み掛けられないから甲府は4位でグズグズしている。ヘッドホンからは「シュートミスです」と忌々しい実況が聞こえてくる。その後は、お互いに決定機を作るが甲府のチャンスは梁に潰され、仙台のチャンスは梁が起点となって中原、関口訓充、菅井直樹がゴール前に飛び込む。86分の菅井のシュートチャンスは決定的だったが、誰も後ろにいないのにスルーをしてくれて甲府は勝点1を失わずに済んだ。
次節からカウントダウン10節となるJ2リーグ。今節の引き分けがどんな意味を持ってくるかは見えてこないが、甲府は連敗しなかったことに価値があると思う。仙台(勝点80)も悪くない引き分け。最悪ではなく、最低の勝点は持ち帰ることが出来た。甲府(勝点76)にとって勝点を84に伸ばしたC大阪は遠い存在になりつつあるが、C大阪と仙台が離れて、湘南(勝点78)と一騎打ちという状況ではない。仙台はまだまだ射程圏内。ミスを恐れずに仕掛け、シュートを打つことをやり続ければ追いつき追い越すことは出来る。まだまだ、これからが勝負。4位にいる理由を自信に変えて、中位と下位のチームに勝つことが重要になってくる。
以上
2009.09.24 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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