9月23日（水） 2009 J2リーグ戦 第41節
湘南 1 - 0 愛媛　（19:03／平塚／7,793人）
得点者：31' 寺川能人（湘南）
スカパー！再放送 Ch181 9/24（木）16:30〜（解説：川本治、実況：田中雄介、プレーヤー解説：遠藤雅大、リポーター：児玉美保）
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互いの布陣には新たな息吹が注ぎ込まれていた。愛媛は内村圭宏を頂点に、渡邊一仁を中盤の底に据える4-3-3を組んだ。迎え撃つ湘南は菊池大介がウイングで今季初出場を果たし、永田亮太がアンカーを務めた。ただ同じシステムでも、ボールホルダーを追い越していく動きとそのフォローは湘南に一日の長があろう。菊池と阿部吉朗の両ウイングが絞って作りだしたスペースをMFや両サイドバックが使っていく。ポストを叩いた13分のリンコンのヘッドはまさしくそうした連動から生まれたシーンだ。阿部が中央に入り込み、坂本紘司からの縦パスを捌く。これを受けた永田が坂本のオーバーラップを横目に右へと振り、ライン際を駆け上がった臼井幸平がリンコンへクロスを送ったのである。

一方の愛媛も両サイドからクロスを入れるなどして応戦した。だが立ち上がりから積極的に仕掛ける湘南の攻撃姿勢は崩れない。31分だった。相手のフリーキックを凌いだのち、すかさず攻め込む。左サイドバックの山口貴弘が前に持ち出すや、坂本やリンコンらがペナルティエリアに走りこんだ。仲間が敵を引きつけ、中央に生み出されたスペースを突いたのが寺川能人である。「空いていたのでダイレクトでそのまま撃った」とはベテランいわく。山口のラストパスに反応し、下がったラインの前で左足を振り抜いたのだった。

リードした湘南はさらに攻め立てた。かたや愛媛も相手のコーナーキックをクリアした直後に決定機を迎えている。前に残る内村がクリアボールの処理を誤った湘南からボールを奪い、GK野澤洋輔との1対1に持ち込む。しかし野澤の読みと巧みなポジショニングもあったろう、狙いはわずかに枠を逸れた。「いいところまで運びながらチャンスをなかなかつくれない現状だけに決めたかった」と、本人も唇を噛んだシーンである。

1点を追う愛媛は後半、次第に攻勢を強めていく。51分に投入されたジョジマールは快足を飛ばし、前で収め、シュートを放った。あわせて両サイドバックも高く位置取り、60分には松下幸平のクロスに内村が詰めて相手を冷やりとさせている。以降、内田健太や高杉亮太らもシュートを狙った。田中俊也が入ってからは2トップとし、リスタートから交代直後の大木勉がヘッドを叩きつけもした。だがこれはオフサイドの網に掛かっている。

対して湘南は、押し込まれては身を挺し、ブロックして敵の攻撃を阻んだ。第30節徳島戦以来の途中出場となった鈴木修人は相手の素早い攻守の切り替えにも集中力高く反応し、敵のチャンスを封じ、また攻撃にも打って出た。苛立ちもあってか終盤ファウルがかさんだ愛媛とは対照的に、ミスしても自分たちのリズムを終始失わなかった湘南が、交替選手の活躍とともにゲームを仕上げたのだった。

「この1点を取るために我々はハードワークし、努力してきた」反町康治監督が言う。
「最初から選手には言っているが、我々は泥臭く点を取るしかない。その意味では我々らしい得点だったとも言えるかもしれない」

一方のバルバリッチ監督も、敗れこそしたものの内容に手応えを見出したようだ。「敗戦という結果は内容からするとあまり現実的ではない。メンタルについて今日の試合で選手が表現してくれた気持ち、努力、集中、勝利へのこだわり、負けたくないという気持ちについては何も文句はありません」と語る。

白黒はついたが、勝った湘南も、敗れた愛媛にとってもそれぞれ収穫のある内容だった。時は実りの秋である。こと湘南は、「フレッシュな選手」という実りを勝利とともに手にした。勝点3を収穫すべく次節、愛媛は福岡を迎え、そして湘南は厚別へ飛ぶ。シーズンはこの週末からラスト10、いよいよ佳境に入っていく。シビれる闘いは終わらないどころか、これからである。

以上


2009.09.24 Reported by 隈元大吾