9月23日(水)AFCチャンピオンズリーグ 川崎F vs 名古屋(15:00KICK OFF/国立)
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国内リーグでは苦戦続きの名古屋だが、初出場のAFCチャンピオンズリーグでは順調に駒を進めてきた。グループリーグとラウンド16を通していまだ無敗。予選では韓国、中国、オーストラリアのチームと同組であり、決勝トーナメント1回戦の相手は前年のKリーグ王者・水原三星ブルーウィングスだったことを鑑みれば、名古屋の対アジア戦績は出色と言えるだろう。
だが、目前に迫ったベスト8の戦いは、名古屋にとってACL最大の難関となってしまった。準決勝進出の切符を争う相手は日本の川崎F。今季リーグ戦で2連敗しているだけでなく、過去9試合で勝ち星を挙げたことがないまさに天敵といえる存在である。今季のACLにおける最後の『日本代表』の座をかけた戦いが、困難を極めることは間違いない。
負のジンクスを抱える名古屋だが、状態はここにきて急上昇してきている。直近の公式戦であるリーグ戦26節大宮戦で2−0の完勝。ブルザノビッチと三都主アレサンドロの加入を機に3バックへと布陣を変えていたが、結果に内容を伴わせることはできずにいた。そして布陣変更後5試合目となる25節柏戦での敗戦を受け、ストイコビッチ監督は4−4−2への原点回帰を決意。水を得た魚のように生き生きとプレーした選手たちは、好守にアグレッシブにプレーし、大宮を圧倒した。大事な準々決勝を前にして、名古屋には強力な追い風が吹き始めた。
一方の川崎Fはリーグ戦26節を0−2で敗戦。得意のカウンターを浦和の分厚い守備に阻まれ、爆発的な攻撃力を発揮できないままに試合を終えている。スタメンから主力数名を欠く苦しい布陣だったとはいえ、この敗北はチームの士気に少なからず影響するだろう。この第1戦はホームゲームだが、等々力ではなく国立競技場での開催ということも、川崎Fにとっては向かい風に感じられるかもしれない。3日間のインターバルでどれだけチームの勢いを取り戻せるのか、関塚隆監督の手腕が問われるところでもある。
今季の両チームの対戦を振り返れば、試合の流れはおのずと読めてくる。ポゼッション重視の名古屋とカウンター主体の川崎Fが対峙すれば、展開はどうしても「攻める名古屋と守る川崎F」になるだろう。しかも、川崎Fがしっかりとリトリートすればするほど、名古屋は敵陣へ侵入する人数を増やさざるをえず、結果カウンターの威力が増していく悪循環が生じる。名古屋はいかに攻撃を終えるか、そしてリスクマネジメントをどのようにしていくかが勝負の鍵を握ることになる。
フィニッシュ面の課題においては、大宮戦で1得点1アシストの活躍を見せた小川佳純がチームに光明をもたらした。今季はウィングバックやボランチ、果てはサイドバックまでをこなした背番号10は、本来のポジションであるサイドハーフでキレのある動きを披露。パスの受け手としての才能を存分に発揮し、名古屋の攻撃を活性化させていた。小川がサイドで効果的にパスを受けることで、前線のケネディや玉田圭司にもスペースが生まれ、チーム全体がひとつ前に押し上げられる。シンプルにボールを動かし、常に強気な姿勢で好守に向かう戦いぶりは、昨季の快進撃時を思い出させるアグレッシブさにあふれていた。
もうひとつのリスクマネジメントの問題については、ボランチの危機管理意識がポイントになってくるだろう。今季の対戦での失点は、セットプレーを除けばほぼ全てがカウンター。現在の守備戦術では、DFは1対1でディレイすることが第一の選択肢になっており、それがカウンターを潰せないひとつの理由になっていた。つまり、カウンターに対する守備の人数を増やせるかどうかが、リスクの増減に影響するわけだ。名古屋のDFラインのうち、サイドバックはビルドアップを含め攻撃に欠かせない。守備のカバーリングはボランチの勘ひとつにかかってくる。中村直志、吉村圭司の2名には、普段以上の危機管理意識をもって臨んでもらいたいところだ。
他にも名古屋ホームで激しいバトルを繰り広げたケネディと菊池光将の空中戦や、鄭大世&ジュニーニョの強力2トップに対する吉田麻也、増川隆洋の対応など、局地戦での見所は数え上げればキリがない。お互いの持ち味を真っ向からぶつけ合うゲームの中で、より自分たちらしさを出せるのはどちらか。準決勝進出への『180分ハーフ』の前半が、いよいよキックオフの時を迎える。
以上
2009.09.21 Reported by 今井雄一朗
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