9月20日(日)J2 第40節 横浜FC vs 東京V(19:00KICK OFF/ニッパ球)
スカパー!生中継 Ch181 18:50〜(解説:山口素弘、実況:中村義昭、リポーター:湯本久美)
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ある意味当然の話だが、プロである以上どの試合でも100%勝利に向かって努力することが求められる。しかし、シーズンが押し迫ってくると、1つの勝利に対する要求が高まってくる。横浜FCにとっては、目標の1つであった「J1定着に向けてのチーム作り」が成果を挙げていたことを示すため、東京Vにとっては残っているJ1昇格の可能性を追いながら自らの価値を示し続けるため、この試合の勝利は不可欠であり、その勝利への欲求は極限にまで高まっていると言ってもよいだろう。
横浜FCは、5連戦の最後で迎えた前節の湘南戦で、終了間際の失点で勝点を得ることができなかった。守備も攻撃も、狙いとする形はほぼできており、内容も上回っていた。しかし結果につながらない。結果に繋げるポイントを、樋口靖洋監督は「得点力の問題」と言い切る。「選手達が勝点3にこだわってやっている結果として内容は向上している」(樋口監督)だけに、ゴールに至るフィニッシュのプレーの向上が問題である。そのプレーで、一層の期待を掛けられているのは安孝錬。練習でも鋭いシュートを決めており、その決定力を試合でも披露しなければいけない。これまで、攻撃の組み立てでは十分な貢献を見せているが、加えてゴール前のプレーを増やせるか。この試合の勝利の大きな鍵となってくる。
そして、何といってもニッパツ三ツ沢球技場でのホームゲーム。ニッパツ三ツ沢球技場では5試合負けがない。そのスタートは前回の東京V戦だった。再び東京Vに勝利することで、負け無しを継続していきたい。横浜FCにとって、よい内容を勝利に結びつけることが、この1年の苦労が実は成果を挙げていること、そして自らの存在の証明になる。今週のスタートにあたり、樋口監督は、
「順位は受け入れがたい数字。17位も18位も変わらないかもしれないが、プライドを持って1つでも上げよう。内容と結果がつながるゲームをすることが必要であり、そのためには得点への意欲が不可欠、そこにこだわってくれ」
と選手に伝えている。勝利に対するモチベーションは、これまでよりも高まっているはずだ。
東京Vは第32節から6試合勝ちなしと、一時期の勢いが失われていたが、この2試合は連勝を果たしている。この2試合で感じるのは、東京Vの地力。徳島戦で試合は支配されながらも大黒のゴールで勝点3をもぎ取ると、草津戦では先制されるものの、草津の運動量の低下に伴いペースを完全に奪い逆転勝ち。こういう勝ち方ができるのは、地力がある証拠である。特に脅威なのは、ショートパスを中心としたポゼッション。高い位置に押し上げた後のパスワークは、一番のストロングポイントだ。草津戦でも、草津の運動量のある前半はロングボールを交えて高い位置でのプレーの回数を増やし、運動量の落ちてくる後半はポゼッションを全面に出して、終始高い位置でのプレーを継続した。この形が出てくれば東京Vのペースと言って良いだろう。そして、前節は欠場したが、大黒将志の決定力はもちろん脅威。出場すれば、一瞬も気を休めることはできない。長いトンネルを脱した後だけに、前節見せた形をより高いレベルで表現し、勝利に結びつけたい。そして、まだ可能性が残る昇格と自らの価値の証明につなげていきたい。
試合のポイントはプレーのエリアとカウンターの2つ。先に書いたように東京Vのストロングポイントは、高い位置でのパスワークであり、横浜FCにとって、そういう場面も作らせないためにも、高い位置でのプレーを90分間続けなければいけない。「前回の対戦も、ビデオを見るとそれほどボールを支配しているわけではないし、後半はボールを持たれすぎている」と樋口監督は振り返っているが、いかにストロングポイントを抑えるか、このゾーンに関する駆け引きは、試合の流れを左右することになる。そして、高木琢也監督が前節のハーフタイムコメントで「カウンターのケアはしっかり」と述べているように、カウンターに対する対処に課題を残している。一方の横浜FCも、ここ最近の失点はカウンターによるものが多い。後半の勝負どころではカウンター攻撃への対処が重要になるため、ここが大きな見所になる。
野球の話で恐縮だが、南海ホークスの故鶴岡一人監督は「グラウンドにはゼニが落ちている」という有名な言葉を残している。この言葉は、プロ選手の心得を語った言葉である。一方で、プロスポーツがプロスポーツであることの源泉は、ピッチ上のプレーそのものであることも示している。とにかく最優先されるのはピッチ上で120%のプレーを見せ続けることであり、そこから全てが始まる。注目されるゲームとなるが、その状況を逆手にとって、自らのプロの証明を見せることが求められる。熱戦になるのは必至。プロの最高のプレーを見るために、1人でも多くのサッカーを愛する人々にニッパツ三ツ沢球技場に集まってほしい。
以上
2009.09.19 Reported by 松尾真一郎
J’s GOALニュース
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