9月20日（日）J2 第40節 札幌 vs 福岡（13:00KICK OFF/室蘭）
スカパー！生中継 Ch182 12:50〜（解説：野々村芳和、実況：岡崎和久、プレーヤー解説：大森健作、リポーター：藤井孝太郎）
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前節までを終えた時点での勝点が５８で８位の札幌。そして同４３で１３位につける福岡。残り試合と勝点差を考えれば、Ｊ１昇格圏内である３位以内に入るためには非常に高いハードルがあるが、とにかくまずは連勝を続けて何かが起こるのを待ちたいところ。そんなチーム同士の対戦が、北海道内のサッカーどころとして知られる室蘭市の入江運動公園陸上競技場で行なわれる。

札幌は前節、甲府との対戦で痛い一敗を喫した。その試合までは７試合連続無敗と流れに乗っていて、それが途切れてしまったこともそうだが、それ以上に、内容的に完敗だったことが痛い。「甲府と力の差があるとはそんなに思わない」と石崎信弘監督は振り返る。確かに戦力やチームのクオリティに大きな差はないだろう。だが、「目の前の試合に勝つ」という部分で見たならば、札幌は完全に甲府を下回っていたと言うしかない。アウェイゲームという難しさもあったが、立ち上がりから相手が仕掛けてきたプレスに押されてしまい、判断ミスからピンチをいくつも招いてしまった。スコアこそ１−２と最少失点差だったが、ほぼ勝ち目のない試合だったと言うしかない。
ただし、ほぼ勝ち目はなかったが、勝機はゼロではなかったということも忘れてはならない。相手がプレスで押し込んできたならば、ロングキックで逃げて時間を使いながらリズムを整えていくというやり方もある。だが、ある選手が「ウチはそういう戦い方をしていないので」と振り返ったように、札幌としては中盤やサイドに起点を作って相手を崩すやり方を身につけようとしている最中なのだろう。狡猾なゲーム運びはまだ先の話ということだ。ならば、ハイペースで仕掛けてくる相手に対して後手を踏むのも仕方がない、とは思う。しかし、だからといって負けていい理由にはならない。チームの土台を高めている最中だとは思うが、そうした中でも結果と折り合いをつけられるような逞しさをファンは求めているはず。この室蘭での試合から、なんとか勝利を重ねていきたいところだ。

そして対する福岡だが、前節は首位を走っていた仙台に完勝してみせた。相手が動きに精彩を欠いていたこともあるが、それを差し引く必要はまったくない。スコアでも内容でも、完全に相手を上回ったと言うべきだろう。「首位の仙台相手に、ほぼ完璧に対応できたのではないかと思う」と指揮官・篠田善之監督もご満悦だ。
守備では人数をしっかりと割いて、攻撃に移った際にもボール奪取に関わった人間がしっかりと顔を出して素早く攻める。相手の弱点を見極め、勝負どころでしっかりとそこを狙うという、サッカーの基本を追及した福岡のシンプルなサッカーが充分に披露された仙台戦だった。得点も素早いリスタートから相手を置き去りにしたものと、左右に揺さぶって最後はワンタッチプレーで仕上げたもの。「前半から相手の特徴を消しながら、全員が、いい守備、いい攻撃ができた」とも篠田監督は振り返っている。前節で得た勢いをそのままに、北の地へと福岡は乗り込んでくるはずだ。

試合の焦点について触れるならば、福岡の戦い方、そして全体のバランスがひとつのポイントになる。前回の対戦では札幌のボール回しに対して福岡の前線が積極的に食いついたものの、後方からの押し上げが足りず全体が間延びして中盤を札幌が支配する形となった。今回の対戦で福岡が札幌のパス回しを封じたいのであれば、前線からのプレスとともに最終ラインを押し上げて中盤をコンパクトにすることが求められるだろう。そして、考え方を変えて後方でしっかりとブロックを形成し、ある程度は札幌に自由なビルドアップをさせながらも、そうして相手がプレーエリアを高めたところで一気にカウンターを狙うというやり方でもいい。

前述したように、札幌側が戦い方を大きく変えることは考えにくい。そうしたなかで福岡がどういった対応を講じてくるのか。もちろん、そこで選択を誤るあるいは精度を下げてしまうと、札幌の攻撃力を考えると前回の対戦同様に一方的に押し込まれてしまう可能性も充分にある。
一瞬の油断も許されない、緊張感のあるゲームが期待できそうだ。

以上

2009.09.18 Reported by 斉藤宏則