9月12日（土）J1 第25節 鹿島 vs 川崎Ｆ（19:00KICK OFF/カシマ）
スカパー！生中継 Ch180 18:50〜（解説：柱谷幸一、実況：八塚浩、リポーター：高城光代/高木聖佳）
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「優勝できるかできないかの分岐点になると思う。ここで勝てればいける」
今季4度目の対戦をまえに、伊野波雅彦はこの試合を『分岐点』と位置づけた。現在、鹿島と川崎Ｆの勝点差は7。鹿島が勝てばその差が10に開き、川崎Ｆが勝てば4に縮まる。今季のタイトル争いを占う上で重要な試合となることは誰の目にも明らかだ。

準々決勝で川崎Ｆに敗れた鹿島は、リーグ中断期間を利用してミニキャンプを敢行。キャンプでやるようなボールを使ったフィジカルトレーニングで強化を行った。自らが主導権を握るサッカーを志向しているだけにチーム全体の運動量が欠かせない。守備の激しさや攻撃の流動性が発揮できない試合では、監督のプランも変更を余儀なくされ、思ったような試合ができずに終わっていた。夏前の勢いがあった時期のサッカーを取り戻したいところだ。

一方、川崎Ｆはヤマザキナビスコカップの準決勝を戦いチームの司令塔である中村憲剛を欠きながら、研ぎ澄まされたカウンターで横浜FMを沈め決勝進出を決めている。AFCチャンピオンズリーグと天皇杯を含め、すべてのタイトルを獲得できる可能性を残しているだけに、この一戦に賭ける意気込みは相当なはずだ。

ただ、両チームともに出場できない選手をかかえている。鹿島はこの試合を目標にリハビリに励んできた本山雅志の欠場が確定的。大腿部の故障が原因だが、もともとはここまで日数がかかるとは予想されていなかった。それが再発、再々発と不測の事態を招いてしまったため、慎重に調整を重ねている。大事な時期に試合に出られないとあって、本人が一番悔しそうだ。
また、川崎Ｆは井川祐輔がヤマザキナビスコカップでレッドカードを受けたため、この試合は出場停止。最終ラインとボランチに誰を起用するのか、関塚隆監督も頭を悩ませていることだろう。

互いに日本代表選手をかかえる両チームだが、代表で怪我が報じられた岩政大樹は「体調は万全ですよ」と元気な姿を見せた。1年半ぶりの代表選出となり、悲願だった代表デビューが期待されたが怪我で2試合を欠場。落胆の帰国になるかと思われたが、本人の顔はとても晴れ晴れとしていた。
「前回、呼ばれたときとは違って戦力として考えてくれることを感じた。岡田さん（岡田武史監督）とはいろんな場面で話しができた。僕がやってきたものに対してしっかり評価してくれてると感じた。それは嬉しかった」
試合には出場できなかったが、得たものは大きかったようだ。

また、興梠慎三も試合には出場したが持ち味は発揮できなかった。出場したオランダ戦では足を滑らせることが多かった。これまで固定式のスパイクしか履いてこなかったため、オランダ戦でも取り替え式のスパイクを履かなかった。しかし、雨でぬかるんだピッチは容赦なかった。
「思うようなプレーができなかった。そういう意味で試合には飢えている。自分としても明日の試合は楽しみです」

代表選手たちは木曜日に帰国したばかり。中1日でこの試合を迎えるが、岩政曰くそうしたことは問題にならないという。
「疲れててもモチベーションが上がってくる相手。帰って2試合、3試合経っていたら疲れているかもしれないが、帰ってすぐは影響が出ないんじゃないですか」

勝点差がどうであれ、お互いをライバル視するチーム同士の対戦。どちらがどういう立場であろうと、勝たないといけない試合であることに違いはない。激戦は必至だが、鹿島にはイエローカードをあと1枚もらうと次戦出場停止となるのが内田篤人、岩政、新井場徹、興梠、青木剛、マルキーニョスと6人もいる。シーズン終盤になればなるほど、チームの総合力が問われてくるだろう。

以上

2009.09.11 Reported by 田中滋