9月6日（日） 2009 J2リーグ戦 第38節
草津 0 - 6 熊本　（16:04／松本／2,201人）
得点者：12' 藤田俊哉（熊本）、44' 山内祐一（熊本）、47' 山内祐一（熊本）、58' 石井俊也（熊本）、67' 西弘則（熊本）、74' 山内祐一（熊本）
スカパー！再放送 Ch181 9/8（火）05:00〜（解説：佐藤正美、実況：梨子田友和、リポーター：円戸由香）
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「サポーターに申し訳ない試合をしてしまった。すべて私の責任です」。草津・佐野監督は試合後の会見で力なく話した。５連敗中だった熊本をセカンドホームである長野県松本市『アルウィン』に迎えて第３クール初勝利を狙った草津だが、怒涛のゴールラッシュを食らい、木っ端微塵にされた。草津は、今季の集大成を見せなければいけないリーグ終盤においてクラブワースト記録となる６失点を喫して大敗した。

　前節、岐阜相手にホームで５失点（ /jsgoal_archive/game/2009/20090200030920090902.html ）を喫して敗れた熊本は、ゴールマウスにベテラン小林弘記、前線に藤田俊哉を配置するなどスタメンとシステムを替えて今ゲームに挑んだ。「最近は負けが続いていて気持ちの面でも弱くなっていたので、そうじゃねえってところを見せたかった。とにかく、草津をぶっ倒すという強い気持ちを持って戦った」（小林）。ベテランらがチームに注入した気合が熊本を変えた。

　熊本の１点目はPKから生まれた。１２分、草津はCKのポジション争いで藤井大輔がファールを取られてPKを与えると、藤田に決められて先制を許してしまう。ゲームは序盤から中盤を支配した熊本のペースだったが、草津にもチャンスがないわけではなかった。だが、決定機を決めきれず前半終了間際、山内祐一に中央突破を許して追加点を奪われてしまう。草津のDFラインには３選手が残っていたが、果敢に勝負を挑んだ山内の勇気がゴールを呼び込んだ。「自分のPKよりも祐一（山内）の２点目が大きかった」（藤田）。２点目を奪われた草津は、気落ちして後半を迎える。

　ハーフタイムを終えピッチに出てきた草津の選手たちからは覇気が消えていた。そして、それはチームを良からぬ方向へと導いていく。後半開始直後の４７分にはFKで簡単に裏を取られて山内に再びゴールを割られると、５８分には左サイドを崩されファーサイドでフリーになっていた石井俊也にゴールを決められる。「奪われたら奪い返しにいかないし、ハードワークできていない」（高田保則）。チームの連動が消えて無秩序状態になった草津は６７分に西弘則、７４分には山内にダメ押しのダメ押しとなるハットトリックを決められて、前回のホーム札幌戦５失点に続く大量失点で敗れた。

　球際で草津を圧倒しゴールへの最短距離を選択し続けた熊本は６ゴールによる完勝で連敗を５で止めた。草津の最終ラインからボランチへのパスルートを石井、吉井孝輔が消して攻撃力を半減させると、エース都倉賢には両センターバックが体をぶつけた。草津のキーポイントを的確に潰した熊本は中盤のプレッシングで草津を次々と囲み、自らのリズムへと持ち込んだ。藤田は「35〜40メートルのコンパクトなスペースで戦えたので良い距離でカバーし合うことができた」と話した。意地の勝利を挙げた北野誠監督は「チームが一つであることをみせたかった」と強調した。熊本は大勝を次節へつなげることが求められる。

　草津のチーム状態は予想以上に深刻だ。GK本田征治は「チームから気持ちがまったく見えなかった。正直、どうやって立て直したらいいかわからない」と悔しさをかみ殺した。幻想の上に築かれたチームは、シーズン終盤で６失点という強烈なしっぺ返しを食らうことになった。草津は前回のホーム札幌戦でも５失点を喫したが、ホーム２戦で計１１失点はもはやサッカーではない。試合後、選手たちは「チームがバラバラになってしまっている」と嘆いた。選手同士をつないでいた「信頼」という名のネジはゴールを奪われるたびに弾け飛び、試合後のピッチにはバラバラになった「パーツ」だけが残された。分解されたマシーンを修復するのは、簡単な作業ではない。

以上

2009.09.07 Reported by 伊藤寿学