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【J2:第38節 栃木 vs 富山】レポート:初の同一カード勝ち越しを果たせなかった栃木。富山との『同級生対決』は痛み分けに終わり、「決着」は来季へ持ち越しとなった。(09.09.07)

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9月6日(日) 2009 J2リーグ戦 第38節
栃木 1 - 1 富山 (18:03/栃木グ/3,170人)
得点者:26' 木本敬介(富山)、49' レオナルド(栃木)
スカパー!再放送 Ch181 9/7(月)16:30〜(解説:水沼貴史、実況:篠田和之、リポーター:新井謙一郎)
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栃木SCとカターレ富山の3度目の『同級生対決』は、1−1のドローに終わった。今季の対戦成績は1勝1敗1分けとイーブン。「決着」は来季に持ち越された。

3回目の対戦でようやく栃木は試合内容で富山を凌駕できただけに、同一カード初の勝ち越しに失敗したと言える。「本当によく引き分けられて良かったねと、安堵の気持ちです」と楚輪博監督が振り返ったように、富山としては3試合ぶりのゴールで連敗を止めたことは収穫だったが、実りは少なかった。それだけ、今節の栃木の出来は抜群によかったのだが、「仕上げの部分の精度不足」という病魔が巣食い続け、勝利を引き寄せることを妨げた。

前半9分、富山のCK。GK柴崎邦博が勢いよく前に出るも相手選手とかぶり、ヘディングシュートが枠内へと飛んだ。しかし、カバーリングに入った入江利和が冷静な対応でクリア。事なきを得る。勢い余ったことで窮地を招いたGK柴崎だが、ミスを恐れることなく、その後も身上である積極的な飛び出しで決定機を防ぎ続けた。キックの精度など課題は山積みしているが、3番手から守護神へと一歩ずつ階段を登っている。

たくましさが備わりつつあるGK柴崎は言う。「守備はDFラインだけなく、前からも本当に頑張っている」。FW桜井正人をCB落合正幸とボランチ本橋卓巳が上手くサンドし、起点を設けさせなかったことで富山は攻め手がなかった。対照的に栃木は崔根植が前線で泥臭い仕事を、労を惜しまずにこなしたことでボールが収まった。崔のポストプレーから21分に河原和寿、23分にレオナルドがフィニッシュに持ち込んだ。守備から試合を作った栃木が優勢に試合を進めるも、先制したのは富山。右サイドで朝日大輔がタメを作り、足助翔のクロスを引き出し、最後は木本敬介がダイビングヘッドを突き刺した。先制弾の木本は第1クールの栃木戦以来、今季4ゴール目。久々の先発起用に応えた。

前節の湘南ベルマーレ戦(1−1)に引き続き、リードを許した栃木だが、29分に絶好機を迎える。崔がドリブルでペナルティエリアに侵入し、走り込んできたレオナルドにラストパス。試合を振り出しに戻す一発が決まったかに思われたが、レオナルドは足を振り切らずに当てにいったことで好機を逸した。38分、本橋のミドルシュートをGK中川雄二が弾いたボールに再びレオナルドが詰めるも、鋭い反応に阻止された。

栃木でのデビュー戦となった36節のサガン鳥栖戦と同様、至近距離のシュートを決めきれなかったレオナルドだが、エンドが変わった後半にPKを獲得する。向慎一が右足アウトサイドで供給したボールは崔におさまらなかったが、DFに当たったルーズボールに食らい付いたことでPKを手にした。自ら得たPKを右下に沈めたレオナルドはゴール裏へと一目散。サポーターと歓喜を共有し、諸手を挙げて感情を露わにした。

同点とした栃木は、怒涛の攻めを見せる。相手CKからのカウンターで鴨志田誉がドリブルで持ち上がり、3対1の状況から向がシュート。だが、「唯一、『頑張ってやったな』というのはGK」と、楚輪監督が絶賛したGK中川が立ちはだかった。堅守・富山のシンボルであるGK中川は、栃木の勢いに押され、持ち前の組織ディフェンスが機能不全に陥っても孤軍奮闘。76分の崔との1対1を足一本で凌ぎ、87分にも乾坤一擲のカウンターから鴨志田が放ったシュートにも落ち着いたセーブを披露。失点を最小限に抑えた。終盤、富山は2度ほど朝日がゴールに迫ったものの、勇気ある決断を下したGK柴崎が身を挺して1対1などを制した。両チームのGKの好守により、スコアは1−1から動かず、痛み分けに終わった。

「素晴らしいチームに完敗ですわ」。連敗が今季ワーストの3に延びる前に止めた富山だが、楚輪監督が脱帽したように、栃木に自分達のサッカーをさせてもらえなかった。連戦による疲労もあり、プレスの掛かりが悪く、『攻撃的な守備』は鳴りを潜めた。ここまで10位と大躍進の要因は組織力。楚輪監督は「全体のバランスが悪かった」と表現したが、連動した動きに乏しかったことで、試合を支配された。次節はFC岐阜との『東海北陸ダービー』だが、DFリーダーの濱野勇気とゴールを挙げた木本を出場停止で欠く。台所事情は苦しいが、これまで怪我人が続出しても苦境を乗り切ってこられたのは、成熟した組織があり、誰が入っても機能性が損なわれなかったからだ。栃木戦ではストロングポイントを見せられなかったが、蓄積してきたものを出せれば4試合ぶりの勝利を掴めるはずだ。

先制を許したことも小さくなかったが、「結局、勝てなかった原因は2点目を取れなかったこと」(松田浩監督)。栃木は決定機もシュート数も富山をはるかに上回ったが、1点止まり。複数得点からは20試合も遠ざかっている。でも、ゴールの匂いは、これまで以上に強烈に感じ取れた。レオナルドと崔の動きは次第にオートマティックになっており、2人で崩せるだけの力強さも出始めている。また、鴨志田、向、本橋、河原と枠内シュートの数も格段に増した。課題のひとつだったカウンターの精度も高まっている。日頃のトレーニングの成果により壁をひとつひとつ打破しているが、最後にある「得点力」という堅固な壁は崩し切れない。J2の1年生には試練が与えられて然るべきなのかもしれないが、19試合も勝てないと、どれだけ我慢すればいいのか、先が見えなくなり、不安にもなる。しかし、自分達を、取り組んでいるサッカーを信じて日々努力するしかない。

松田監督は言う。
「今は花が開く温度に達していない。頑張っているが、寒い日が続いている。そんな時は根を張り、張った分だけ、我慢した分だけ、いい花が咲く」
開花するまで、今はじっと、耐え抜くしかない。手を抜かなければ、いつか必ず燃えるように花は咲き乱れるはずだから。

以上

2009.09.07 Reported by 大塚秀毅
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