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【J2:第38節 岐阜 vs 湘南】レポート:両者で『山』を形成し、共に1回ずつ山を動かした―。両チームにとって、ポジティブに捉えるべきドロー!(09.09.07)

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9月6日(日) 2009 J2リーグ戦 第38節
岐阜 1 - 1 湘南 (18:04/長良川/3,782人)
得点者:37' 菅和範(岐阜)、62' 坂本紘司(湘南)
スカパー!再放送 Ch183 9/7(月)12:30〜(解説:大野聖吾、実況:堂野浩久、リポーター:桑原麻美)
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この一戦、慎重な姿勢をとったのは湘南の方だった。湘南は【3-4-3】を敷くが、純粋な3バックというより、3バックが中央でブロックを形成し、岐阜の西川優大と佐藤洸一のツインタワーと、トップ下の菅和範をアタッキングエリアでしっかりと受け止め、両サイドは左の寺川能人と右の臼井幸平のウィングバックが、低い位置にポジションを置いてケアをする図式をとった。

これに対し、岐阜は高木和正と嶋田正吾の両サイドハーフを流動的に動かしながら、両サイドバックの果敢なオーバーラップでサイドを崩す、いつもの形で攻勢に出た。しかし、相手の守備にはまり、思うようにボールを回せなかったことで、徐々にリスクを犯すことを止め、相手のカウンターに対してリスクマネジメントをする形で、全体のラインを低めに設定していった。

これにより、湘南はカウンターを繰り出すために、アジエルが前線で自由に動き回るが、岐阜の中盤での分厚いプレスの前に、肝心のボールが出てこず、ターゲットのリンコンにもボールが入ってこないため、生かすことが出来ない。
前半はお互いがリスクマネジメントを徹底するあまり、仕掛けが少なく、チャンスの少ない試合展開となった。こういう展開になってくると、ミスか、セットプレー、そしてどちらかが先にリスクを犯してくることで、試合は動くというもの。
30分まで続いたこの単調な『我慢比べ』を動かしたのは、ホームの岐阜だった。30分過ぎると、岐阜は両サイドを徐々に元の高い位置へ押し上げていくと、33分、左サイド深くでFKを獲得。高木が蹴ったボールを中央で佐藤がヘッドで合わすが、これはゴールライン手前にいたDFにクリアされた。ゴールこそならなかったが、この試合初めての決定機。これが30分間続いた『山』を動かした。

攻撃のスイッチが入った岐阜は、続く35分、右サイドバックの冨成慎司がオーバーラップからクロス。このクロスは流れたが、今度は左サイドをオーバーラップしていた秋田英義が受け、再びクロス。これをファーサイドで西川がヘッドで合わすが、ミートせず。36分には左サイドをドリブル突破した高木が、そのまま持ち込んでシュート。これはGK野澤洋輔のファインブロックに阻まれ、こぼれを西川が詰めるが枠の外を外れていった。そして37分には右サイドのスペースに入り込んでボールを受けた菅が、目の覚めるようなミドルシュートを突き刺し、ついに岐阜が均衡を崩した。

1−0。岐阜リードで迎えた後半、動き出した山の勢いは、湘南にも伝わった。湘南はボランチの永田亮太に代え、DF鎌田翔雅を投入。鎌田を左サイドバックに入れ、CB村松大輔をワンボランチに、臼井を右サイドバックにした【4-1-2-3】へとシフトチェンジ。本来の形に戻し、リスクを背負って攻めてきた。立ち上がりから湘南の気迫の攻勢に、岐阜は完全に面を食らった。
【4-3-3】にしたことで、岐阜のサイド攻撃に蓋をされると、反対に湘南が攻勢に出る。守備力のある村松がアンカーとなり、坂本と寺川が攻撃に専念できるようになったことで、3トップとの距離が近くなり、攻撃に厚みが生まれた。アジエルのフリーランニングと、そこで出来たギャップを巧みに突いてくる坂本と寺川の動きが、攻撃の大きなアクセントとなり、一気に岐阜守備陣を混乱に陥れた。岐阜守備陣は中央で矢継ぎ早に飛び込んでくる選手の対応に追われ、徐々に中央に固まりだすと、サイドに出来た広大なスペースを再三突かれ、ピンチの連続。ズルズルとDFラインが下がっていくことで、バイタルエリアにもスペースが生まれていく。すると最も注意すべき選手にそのスペースを有効活用されてしまう。62分、中央のスペースでクサビを受けた坂本は、簡単に前を向くと、狙い澄ましたミドルシュートをゴール右隅に突き刺した。今季2戦ともゴールを挙げている坂本の、同一カード3戦連続弾で、湘南が同点に追いついた。

その後も坂本、寺川、アジエル、そして右サイドバックの臼井を軸に攻勢に出るが、今度は湘南もフィニッシュが甘く、追加点を奪うことが出来ない。すると、松永英機監督は67分と78分に西川、佐藤の2トップを代えて、染矢一樹、押谷祐樹という1.5列目でのプレーを得意とする選手を投入。左の嶋田を臼井のケアのために低めに置いて、前線は染矢、押谷、高木を置いて、『ゼロトップ』状態にして、相手の守備をかき乱す策をとった。これが守備面でははまり、湘南の猛攻は収まったが、反対に「向こうが中盤で数的同数にしてきたことで、反対に向こうの良さが消えた。岐阜のカウンターは前線に2人いることで効力を発揮する。向こうのストロングポイントが見えなくなったのはあります」と反町康治監督が語ったように、攻撃面ではトーンダウン。動いた山は再び落ち着きを取り戻し、そのまま動かぬまま、試合は痛み分けで終了した。

「向こうはウチをリスペクトし過ぎていた」(松永監督)、「前半は私の戦略ミス」(反町監督)。この両指揮官のコメントが表すように、前半は両チームが不動の『山』を作り、その山を前半残り15分で岐阜が動かし、後半30分まで湘南が動かした。共に1回ずつ山を動かし、序盤、終盤と落ち着かせたことで、1−1という必然の結果を招いた。

この結果をどう受け止めるか。両チームにとって、非常に難しい捉え方となる。だが、双方ともに明確な目標を持っているだけに、ネガティブに捉える必要はない。課題が多く出たが、試合中の修正力ということを考えると、展開が大崩れすることなく、二転三転したことは、流れを変える力を双方が持っているとポジティブに捉え、残りのラストスパートに収穫、課題両面を生かして繋げてもらいたい。3戦全引き分け―。1シーズン通じてしのぎを削りあった仲として、この両チームにエールを送りたい。

以上

2009.09.07 Reported by 安藤隆人
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