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【J2:第37節 鳥栖 vs 横浜FC】レポート:順位に関係なく拮抗した一戦は、「まずは結果」を求めた鳥栖が勝利を得る(09.09.03)

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9月2日(水) 2009 J2リーグ戦 第37節
鳥栖 2 - 1 横浜FC (19:03/ベアスタ/4,040人)
得点者:46' ハーフナーマイク(鳥栖)、68' 西田剛(横浜FC)、78' トジン(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch181 9/3(木)17:30〜(解説:サカクラゲン、実況:南鉄平、リポーター:ヨンヘ)
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ボールに最後のひと転がりをさせる原動力はなんだろう。技か、力か、精神力か…。
互いに放ったシュートは鳥栖が10本と横浜FCが11本とさほど変わらない。ゴールキック数もCK数も大差はない。決定機も手元の集計ではあるが、鳥栖の4本と横浜FCの5本と試合内容には差を感じることはなかった。むしろ、横浜FCのほうが、上手くゲームを支配していた時間帯が長かったようにも感じた。
第37節、鳥栖vs横浜FCの一戦は、置かれている状況こそ違うものだが、勝利に対する執念は互いに譲らない一戦となった。

キックオフの笛がなる前までは、6位と17位と順位の開いた対戦ではあったが、キックオフの笛と同時にその差とは関係ない白熱した試合を展開した。
「相手は上り調子で、勝つのが当たり前と思われている中での試合は難しい」と岸野靖之監督は戦前から苦戦を予想していた。「同じ相手に3連敗は許されない。第1クール、第2クールのリベンジを果たす」ことを目的に戦いを挑んだ樋口靖洋監督は、試合後の会見で「悔しい」を連発した。両監督の思惑通りに展開した試合は、前半から横浜FCが2ブロックを引いた陣形で主導権を握ったかのように見えた。

11分には、GK大久保拓生のキックをMF西田剛がヘッドでそらし、FW難波宏明が決定的なシーンを迎えた。
39分には、右サイドに流れたFW安孝錬からのセンタリングをフリーになった難波がヘディングでゴール右隅を狙った。どちらのシュートも横浜FCに得点が入ってもおかしくない内容だったが、GK室拓哉(鳥栖)の好セーブで防がれてしまった。どちらのシュートも、横浜FCのしっかりとした守備の意識とゴールを目指す意識の高さから生まれたものだった。逆に言うと、そうさせてしまったのは鳥栖らしく前線からのプレスが思うように効かなかったことに起因する。第3クールに入っての鳥栖は、鳥栖らしいプレスが効かなくなりつつあるのが気がかりではある。(第2クールの終盤以降から、この傾向は見え始めていた)

しかし、鳥栖はまだ昇格争いをする権利を有している。「内容よりも、まずは結果」(岸野監督/鳥栖)が大事なのである。
横浜FCの“リベンジをする”想いよりも、鳥栖の“1敗もできない”(廣瀬浩二/鳥栖)想いのほうを強く出さないといけなかった。
30分には、左サイドから折り返したクロスボールをボランチの位置から走りこんだMF高地系治が右足でシュートを放つが、GK大久保拓生の左手で枠外へとはじき出される。お互いに持ち味である攻撃の形は出したものの、両GKの美技で無得点のまま前半を終了することになった。

「先制点が何よりも大事」と岸野監督は前日の練習後に幾度となく口にしていた。
MF高橋義希も、島田裕介も、飯尾和也も異口同音で語っていた。それほど、この試合における先制点には大きな意味があった。鳥栖は、先制点を挙げるといまだ無敗(16勝2分 状況別勝敗)である。横浜FCは、先制すると自慢の2ブロックを生かして、なかなか得点を許さない。後半の興味がその一点に絞られたところで、46分にその先制点が鳥栖に入った。
右サイドでボールを受けたMF武岡優斗が、ファーサイドにいたFW廣瀬浩二にセンタリングを送った。ボールが右サイドから左サイドへ流れるということは、横浜FCのDF陣の頭上をボールが通過することになる。このわずかな時間にFWハーフナー マイクが横浜FCのDFの裏に抜け出し、頭でボールをゴールに押し込んだ。
これで、勢いは鳥栖に流れるかと思いきや、樋口監督(横浜FC)が、MF根占真伍とFW池元友樹を入れることで流れを引き戻してしまった。68分には右サイドに流れた池元友樹からのセンタリングを西田剛がヘディングで押し込んで同点とし、横浜FCに勢いをもたらした。この時間帯以降も横浜FCが畳み掛ける攻撃を見せただけに、追加点をあげることができなかったことが樋口監督の「悔しい」の連発につながっている。

78分に途中出場のトジンのゴールで勝ち越した鳥栖が、試合の残り時間を全員の“勝ちたい”と執念で守りきって試合は終了した。「内容より結果」を出した岸野監督は、「ホンマに厳しい中を選手は良くやってくれた」と振り返った。「どちらに結果が転んでもおかしくない内容だった」と悔しさをにじませた樋口監督の言葉は偽らざる心境だろう。一進一退だった今節の試合は、一心一体の気持ちを見せてくれる試合でもあった。

この試合には、記録に残すことができないドラマが数多くあった。
鳥栖のMF武岡優斗とマッチアップしたMF片山奨典は、出身校が同じで同時代に切磋琢磨して互いに技を磨いた。試合中、幾度となく激しい当たりを見せては、その成長ぶりを互いに見せ付け合っていた。
DF渡邉将基とMF西田剛は、大学時代に何回も対戦したことがある。「あいつにだけは負けられへん」と渡邉将基はライバル心をむき出しにしていたが、その西田剛に同点弾を許してしまった。マークしていたのは渡邉将基だっただけに悔しさは計り知れない。MF山田卓也とDF八田康介は、互いに古巣との対決だったので、内心は燃えていたに違いない。
そして、お互いのサポーターたちもゴール裏での存在感と選手たちへの声援を切らすことなく見せてくれた。
ハーフナー マイクの実父ハーフナー ディド(現・名古屋アシスタントコーチ)の姿もスタンドにあった。大怪我からの復帰第一線となったホベルトの父親の姿もあった。
選手それぞれが心に秘めた想いを出し合ってプレーし、サポーターの想いが後押しすることで、サッカーの試合は成立するものだとあらためて感じた次第である。
当たりの激しさも、シュートの強さも、試合後の笑みも悔し涙も、それぞれの想いの結果である。
あらためて、サッカーにリスペクトである。

以上


2009.09.03 Reported by サカクラゲン
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