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【J2:第32節 湘南 vs 水戸】レポート:攻めに攻めた暴れん坊、5試合ぶりの勝利に平塚が酔う。水戸は最後まで粘るも連勝ならず。(09.08.06)

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8月5日(水) 2009 J2リーグ戦 第32節
湘南 1 - 0 水戸 (19:03/平塚/5,510人)
得点者:77' ジャーン(湘南)
スカパー!再放送 Ch186 8/7(金)19:00〜(解説:前田秀樹、実況:中村義昭、リポーター:児玉美保)
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就任当初、指揮官が口にした言葉を思い出す。「前に運ぶ意識を高めてゴールに向かう。『こいつらうんざりするほど仕掛けてくるな』と、相手に言わせるようなチームでありたい」。この日、湘南はひたすら仕掛け、攻め続けた。「暴れん坊」と呼ぶにふさわしい。

反町康治監督が用意したシステムは3-4-3だった。湘南にとっては徳島が記憶に新しい。第30節、平塚に乗り込んできた彼らが敷いたのがこのシステムだった。だが表記上は同じでもコンセプトは異なる。徳島は実質5バックになる時間帯が多く、システムのミスマッチを利用してサイドを起点にカウンターを窺っていた。かたや湘南の臼井幸平と鈴木伸貴の両サイドハーフは終始高い位置をキープし、敵を押し込んでいる。「相手にスペースを与えないで後ろにラインを揃えるのか、それともボールの出所にプレッシャーに行ってスペースを与えるのか。私は後者を選びました」と指揮官いわく。むろん相手ボールになればすかさず戻るため、臼井と鈴木の走量たるや相当の距離だったに違いない。くわえて、ダブルボランチの一角に入った永田亮太である。彼らMFの3人の躍動が、前への推進力を加速させた。そして忘れてはならぬ、永田の特長を生かすべく攻撃に送り出せたのは田村雄三あってこそ。敵のカウンターも田村を中心にことごとく摘み、ジャーンと村松大輔、DFとしては初先発となる島村毅の3バックも水戸の2トップにボールを収めさせない。

フルスロットルで湘南が試合をリードするなか、DF大和田真史がレッドカードを食らってしまい、水戸は前半のうちに10人の戦いを強いられる。木山隆之監督はすぐさま鈴木和裕を投入して4バックを整えなおし、高崎寛之の1トップに勝機を託した。一方の湘南も、積極的にシュートを狙っていた田原豊が負傷退場し、急きょ阿部吉朗が引き継ぐ。

後半に入っても湘南の攻勢は褪せない。だが半面、連敗中の身である。攻め切ってもなおゴールが遠ければ、しかも相手がひとり少ないという条件が、逆にネガティブな空気を呼んでもおかしくはない。そもそも、高崎を柱とする水戸のカウンターには、機会の数にかかわらず一撃必殺を予感させる怖さが漂っていた。実際、前半39分には高崎の折り返しに村松潤が詰めている。これは臼井のチェックによって事なきを得たが、わずかでも隙を見せれば一変しそうな展開でもあった。

後半も半分を過ぎるころには、セットプレーから水戸が次第に流れを手繰り寄せていく。しかし、湘南の流した汗は裏切らなかった。間もなく平塚に歓喜が訪れることになる。

交代で入った猪狩佑貴が仕掛け、コーナーキックを取った。水戸もこれを一度はクリアするが、湘南の攻撃はまだ終わらない。永田のスローインを受けた村松は言う。「ルックアップしたらシマくんがフリーだったので狙いました」。対して島村も、「目が合ったので来ると思いました」と明かす。島村の起用には長身が揃う水戸の高さに対する考慮もあったろう。「ほんとうはシュートを撃ちたかったんですが、ジャーンが見えたので」そう冷静に振り返る島村の折り返しに、思惑どおりヘッドで応えたのはジャーンだった。後ろを死守していたDFの3人が繋がり、遠かったゴールをついにこじ開けたのである。

ロスタイム、水戸はGK本間幸司も加わる総攻撃を仕掛けたが、湘南の人垣を前にゴールには届かなかった。それでも、「選手はほんとうによく戦った。監督として誇りに思う」と、木山監督はチームを讃えた。膝に手をつき拳を握りしめたこの日の悔しさは、次節のホーム富山戦にぶつけたい。

一方、ジャーンのクリアによってボールが宙に舞った瞬間、湘南は待望の長い笛を聴いた。しかし、笛の音以上に長かったのは勝利の味だったに違いない。「じつはプレッシャーを感じやすいタチなんです」と、村松が苦笑する。開幕からスタメンを張り続け、強心臓ぶりをピッチで示す19歳も、負け始めてからというもの夜もろくに眠れなかったようだ。夜11時に布団をかぶっても、自身のミスした場面などがフラッシュバックし、ひどいときには4時ぐらいまで寝付けなかったという。村松然り、「メシも喉を通らず、ほとんど眠れずに――」そう指揮官が吐露すれば、選手のなかには長い笛に涙も見られた。いかに苦悩し責任を感じていたか、粘り強く手にした1−0の勝利が教えてくれた。

「きょうはぐっすり眠れます」村松はそう微笑い、競技場を後にした。むろん厳しいシーズンはまだまだ続く。ただ、この日ばかりは安堵の夜を迎えられたことだろう。厳しいプレッシャーをはねのけた戦士たちに、つかの間の安らぎを。

以上

2009.08.06 Reported by 隈元大吾
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