8月5日（水）J2 第32節 湘南 vs 水戸（19:00KICK OFF/平塚）
スカパー！生中継 Ch185 18:50〜（解説：前田秀樹、実況：中村義昭、リポーター：児玉美保）
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湘南は前節、富山に惜敗した。シンプルで迷いのない相手のサッカーに辛抱強く対応していたが、後半に直接フリーキックを叩き込まれ、終盤の追い上げもフィニッシュには至らなかった。かたや富山の徹底ぶりは際立っていた。ボールを奪うや2トップが動き出し、長いボールを裏へと蹴りこむ。すかさずラインを押し上げ、コンパクトネスを保っているからセカンドボールに対する反応も速い。攻守の切り替えやカウンターの鋭さにも準備のほどが窺われた。くわえて、湘南にとっては初めて踏む敵地の芝である。濡れたピッチというプレーをより難しくさせる条件も重なった。富山は敵を尻目に地の利を生かしつつ、ポジティブな流れを自ら手繰り寄せていく。姜鉉守の鮮やかすぎるフリーキックはその先で生まれたものだ。

湘南とてチャンスはつくっていた。その点、内容はけっして悪くないだけに、シーズンの流れというものを感じずにはいられない。もちろんチームのストロングポイントとウィークポイントはあるが、姜のフリーキックにせよ、また29節仙台戦の中原貴之の得点にしても、「スーパー」と形容されるにふさわしいゴールがいまは決まってしまう。裏を返せば、連敗というネガティブな事実だけを一人歩きさせないことが肝要だ。くだんの富山戦でもっとも気になったのが、ミスをしたときにピッチから伝わる落ち込んだ空気である。ミスを前提にチャレンジし続けるチームの原点を思えば、この空気こそがシーズンの、連敗のもたらす罠に違いない。

幸い、富山戦後のロッカールームには、意気高まるポジティブな声が響いたという。下を向くのは無用だ。つぎのゲームがホームとあれば、なおさら心強さは増す。

そのホーム平塚にて今節、湘南が迎え撃つは水戸である。4位のホームチームとは対照的に現在4連勝中で、勝点5差の5位まで詰め寄ってきた。引き分けを挟んで7戦負けなし、FW荒田智之の復活も相俟って、現在もっとも波に乗っているチームと言っていいだろう。

笠松で行なわれた第1クールの対戦(14節)では、立ち上がりの悪い湘南が失点を許すも、坂本紘司のハットトリックもあって5−1と大勝した。だが言うまでもなく、当時と現在の水戸は違う。とくにFW高崎寛之はその後コンスタントにゴールを積み重ね、現在チーム得点王に立っている。ひとたびボールを受ければ1人でフィニッシュまで持ち込むことができるため、相手にとっては危険かつ厄介なストライカーだ。また、木山隆之監督が取り組んできた攻撃サッカーの賜物だろう、高崎にロングボールを集める一方で、シンプルにショートパスを繋ぎ中央突破も図れる。負け知らずの7試合で失点2という数字が示すとおり、真ん中をしっかりとブロックする堅守も見逃せない。攻撃の特長を引き出す堅守をいかにこじ開けるか、湘南にとっては攻撃力の見せ所でもある。

昇格争いに食い込むべく、水戸は相当の覚悟で臨んでくるに違いない。反町康治監督が言う。「サッカーに真摯に取り組むことが大事。ホームで闘えるということが我々にとっては有利な点だ」。ホームの声援に乗り、敵の気勢を凌駕する。立ち上がりから躍動感をもって挑み、機先を制したい。

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2009.08.04 Reported by 隈元大吾