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【J1:第20節 広島 vs 鹿島】レポート:負けてもなお、強さを見せた王者の誇り。その王者の偉大な記録を止めた、若き広島の熱闘。(09.08.02)

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8月1日(土) 2009 J1リーグ戦 第20節
広島 1 - 0 鹿島 (19:03/広島ビ/22,225人)
得点者:35' 佐藤寿人(広島)
スカパー!再放送 Ch183 8/4(火)23:00〜(解説:山本昌邦、実況:八塚浩)
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広島のミックスゾーンで、槙野智章が試合後の感想を快活に語っていた。その表情は明るく、勝った後のいつもの彼の姿だ。
しかし記者対応した後の彼は、いつもとは違った。テレビ取材の待ち時間の間、槙野は壁によりかかって、ぐったりと座り込んだ。頭を垂れ、顔をあげることができず、時に深呼吸を織り交ぜて、肩で呼吸していた。
彼のその姿こそ、この試合の激しさを象徴していた。

対川崎戦で120分戦って、中2日での対広島戦。王者は疲弊し、パスミスも多かった。「鹿島らしくない、細かなミスはあった」と佐藤寿人も指摘する。
しかし鹿島は、疲れた身体を必死に動かし、全員が統一された守備意識の高さを見せつけた。マルキーニョスや興梠慎三が前からのプレスをかけると、そこから連動して中盤も走り、ラインもあがる。32分、広島の最終ラインでのパス交換に対して組織的なプレスをはめ込んでボールを奪い、右サイドからのクロスに興梠が飛び込んだシーンは、まさにその象徴だった。

しかし、その王者のサッカーに、広島は落ち着いて対処した。疲労が蓄積している鹿島が立ち上がりから点を取りにくるのを見越したかのように、落ち着いてブロックをつくる。無理にボールを奪いにいかず、スペースを与えない。10分過ぎまで、鹿島がボールを支配するも、有効な縦パスを入れることも、ドリブルを仕掛けることもできない。勝負を仕掛けた後に起動する広島のカウンターを、鹿島も警戒していた。

15分すぎ、今度は広島が前に出る。17分、そして19分と、広島らしい軽快なパスまわしから、服部公太が決定機をつくった。そして35分、ドラマが動く。
中島浩司の縦パスが青山敏弘の足下へ。この時、左には高柳一誠がフリー。岩政大樹がその存在に気づき、プレスをかけた。ここがポイントとなった。
岩政が前に出た後ろに生まれたスペース。ここを無効にするには、連動してラインをあげるしかない。しかしこの時、後ろには内田篤人が残り、鹿島の最終ラインにはギャップが生まれた。そのズレを、紫のヒーロー=佐藤寿人は見逃さない。
青山は、高柳にパスを出すかのように身体を開き、フェイントを入れた。その直後、右足アウトサイドにボールを当てる。
横ではなく縦。「広島のエンジン」と呼ばれた男の狙いは、ただ一つ。鹿島のギャップに飛び込んだエースの足下だ。
狙い通りにボールを引き出し、持ち出したストライカー。今季、19試合で8度もの完封劇を演じた名GK曽ヶ端準といえども、フリーで前を向いた佐藤寿のシュートを封じることはできない。日本人初となる6年連続二桁得点(J2含む)のメモリアルゴールが、鹿島の牙城を崩した。

後半、互いに我慢の展開となった前半とは一転、熾烈な消耗戦となった。まず、ペースを握ったのは広島だ。
47分、青山のスルーパスから高柳が決定的なシュート。57分、中島浩司の決定的なスルーパスから高柳が前に出るも、1タッチ目が大きくなりシュートまで行けず。1分後、高柳のパスから佐藤寿のゴールは、オフサイドで取り消される。61分、服部が至近距離から決定的なシュートを放つも曽ヶ端がストップ。広島が2点目を目指し、王者を圧倒した。

しかし、ここで若者が躍動し、流れを鹿島へと引き寄せる。67分、途中出場の大迫勇也が決定的なヘッド。75分、輝き続ける大迫がペナルティエリアで槙野のマークを振り切り、右サイドをえぐった。ゴールの匂いをまき散らす若武者の躍動が、広島を追いつめた。

85分、岩政が前線に張ってターゲットに。しかし、途中出場の盛田剛平がその岩政を完全マーク。「岩政しか、見なかった」という盛田の圧倒的な高さが、鹿島のボールをはじき返す。
ロングボール。跳ね返す。ロングボール。クリアする。
シンプルだが迫力のある王者の粘り。
泥臭いが、身体全体から魂を発散させて守りぬく、若いチームのがんばり。
決して、美しくはない。しかし、互いの強い想いが強烈にぶつかりあった、熱い熱いロスタイム。

94分、ホイッスルが鳴る。王者はがっくりと下を向き、広島は自陣ゴール前で歓喜を叫んだ。鹿島の「17試合連続負けなし」という大記録は広島ビッグアーチで終息、2万2000人を超えた広島サポーターは、王者撃破の快挙に酔った。

ただ、王者はやはり王者だった。動かない身体に鞭を打ち、疲れ果てた頭をフル回転させて、最後まで勝利のために戦った。「彼らの勝利者のメンタリティを間近に見たことが、この試合の収穫だ」とペトロヴィッチ監督は王者への敬意を込めて、語った。
確かに、鹿島は負けた。しかし、負けてもなお、彼らは強かった。
広島は、確かに勝った。しかし、勝ってもなお、鹿島から学ぶべきことはたくさんある。
それは、この試合を全力で戦い抜き、ミックスゾーンで崩れ落ちた槙野智章をはじめ、広島の選手たちが誰よりも肌で感じていることだろう。

以上


2009.08.01 Reported by 中野和也
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