8月1日（土） 2009 J1リーグ戦 第20節
大分 2 - 1 名古屋　（19:05／九石ド／17,461人）
得点者：26' ケネディ（名古屋）、89' 高松大樹（大分）、89' 東慶悟（大分）
スカパー！再放送 Ch181 8/2（日）14:30〜（解説：増田忠俊、実況：小笠原正典、リポーター：成尾佳代）
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「ホラームービーのようだった。悪夢のような試合、受け入れがたい試合だった」
試合後、名古屋のストイコビッチ監督は悔しさを滲ませた。序盤こそ大分の勢いに押し込まれたものの、「我々のプレースタイルで試合を進めることができ、全般的に満足している」というように、ほとんどの時間帯で名古屋がペースを握った。得意のサイドから玉田圭司、マギヌン、小川佳純が巧みにポジションチェンジし、ターゲットのケネディにクロスを上げるか、それを囮に３列目からの飛び出しからゴールを狙った。先制したのは26分。左サイドをドリブル突破した玉田のマイナスのクロスを中村直志がシュート。DFに当たったこぼれ球を、ケネディがリーグ３戦連続となるゴールを決めた。そのワンプレー前にも同じような形から玉田が決定機をつくっており、名古屋にとっては狙い通りの得点だった。守備でもパスをつなぐ大分に対し、中央のスペースを埋め、時間の経過とともに安定感は増し、あとは試合終了のホイッスルを待つばかりだった。

だが、就任会見で「私はマジックを持っていないが、選手の能力を最大限に高め、ミラクルを起こす自信はある」と語った大分のポポヴィッチ監督の予言が的中することになる。後半、攻守の切り替えを早くするため前線からボールを追える高松大樹を投入。リスクを覚悟の上、前へ前へと仕掛けた。「前半は消極的なプレーが多く、大事にボールをつなぎすぎた。後半は大きく動く選手が多く、名古屋の選手の足が止まったこともあり、チャンスがつくれた」とは金崎夢生。86分に走力のあるルーキーの東慶悟が入ると、大分の動きは加速。アディショナルタイム４分が告げられた１分後、フェルナンジーニョのクロスを高松が頭で決め、土壇場で同点に追いつく。さらにその２分後に、ポポヴィッチ監督の目指すスタイルでゴールを奪う。高橋大輔、金崎とダイレクトでパスをつなぎ、最後はDFラインの裏へ走り込んだ東のプロ初ゴールが、劇的な逆転ゴールとなった。

19節を終えて勝点が僅か７。最下位と窮地に追い込まれていた大分が、何より待ち望んでいたのは勝利。リーグワーストの14連敗、不振による監督交代など切迫した状況を打破することが、自信を取り戻す唯一の手段だった。東は言う。「監督が代わったことで選手全員が再スタートを切れたし、みんなにチャンスが増えた。意識が変わったと思う。やっているサッカーも変わったし、監督の目指すサッカーができれば勝てると思う」。絶対に諦めない姿勢を植え付け、毎日の練習で選手に自分のスタイルを身体に沁み込ませるというポポヴィッチ流の指導でチームは変わった。ようやく大分にひとつの基盤が生まれた。

以上

2009.08.02 Reported by 柚野真也