7月25日（土）J2 第30節 札幌 vs 岡山（14:00KICK OFF/札幌厚別）
スカパー！生中継 Ch183 13:50〜（解説：平川弘、実況：岡崎和久、プレーヤー解説：大森健作、リポーター：岡本博憲）
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７月最後の節となる今週末のＪ２リーグ戦第３０節では、札幌厚別公園競技場で勝点３８で９位の札幌と同２０で１６位の岡山が対戦する。

ホームの札幌はシーズン序盤からの悪癖をいまだに払拭できずに苦しんでいる。その悪癖というのは決定力不足だ。決定力不足というのは現代サッカーではどのクラブでも抱える問題ではあるのだが、今シーズンの札幌を見てみるとそれがあまりにも顕著過ぎるのだ。

新任の石崎信弘監督がオフのキャンプ時から叩き込んできた攻守の切り替えを強く意識し、そこから相手の急所を突いて決定機まで持ち込むというスタイルはしっかりと形になっている。石崎監督のチーム作りにおける手腕は間違いない。だが、どれだけチャンスを作ってもそれが結果、つまりゴールに結びついていない。そして一瞬の隙から逆襲されて失点するなどし、白星を取り逃すという試合がこの３０節まで続いてしまっている。「決めるべきところで決めなければ、こうなってしまう」という選手たちの言葉は今季幾度も耳にしてきた。
とはいえ、だからといって悲観的になっていても仕方がない。柏から期限付きで加入し、前節の富山戦でデビューした石川直樹は「なかなかチャンスを生かすことができなかった。でも、チャンスの質や回数を増やしていけば必ず突破口はある」とフレッシュな表情で前を向いた。そう、札幌は一度、順位などを忘れて本当に目の前の試合に視線のすべてを注ぐ必要があるように思う。結果を出そうとするあまり、逆に空回りしてしまっている印象だ。

対する岡山の前節は栃木を相手に快勝。手塚聡監督は「久し振りにホームで勝てて良かった」と喜んだ。ただし、「開始早々に３度ほどチャンスを作って入れられなくて、逆に退場者を出して０−１で後半を迎えてもおかしくないゲーム」とも振り返る。久々のホーム勝利ながらも決して喜ぶだけでなく、しっかりと手綱を握り締めている印象だ。そうしたなかでも栃木戦では西野晃平、青木孝太の働きが光った。攻撃では幅広い動きでターゲットとなり、守備面でもしっかりと相手のビルドアップに圧力をかけ続けていた。そうして前線がアグレッシブさを発揮したことが中盤以降の選手にも勇気を与え、こぼれ球に対しての寄せなどが非常に鋭くなっていたのだ。そのなかで青木について手塚監督は「自分の持っているものを自信を持ってやれていないのかな」と厳しく評価しているが、これは期待の裏返しでもあるだろう。シーズン途中に加入した選手ではあるが、彼がチームを牽引するようになれば青木本人にとっても、岡山というチームにとっても大きな成長につながるはず。その意味でも今後の青木の奮闘ぶりには注目が集まるはずだ。

さて、試合の展望に移りたい。他チームのスカウティングを担当する札幌の沖田優コーチが「岡山はみんなが頑張る、とてもいいチーム」と評するように、岡山はチーム全体でのハードワークを生命線とするチーム。そしてホームの札幌も、グループでボール奪取をしてグループでショートカウンターを仕掛けるスタイルで、クライトンがチームを離れてからは個人でのキープ力こそ低下したものの、スピーディーなパスワークが披露されている。そうした双方の特徴を考えると、スピードのあるハードな試合展開になりそうな気配だ。手塚監督は「中２日なので、どこまでいいコンディションに持っていけるか」と、この試合に向けてのポイントを明かしているが、当日の最高気温は２５℃に満たない数字が予想されているし、厚別競技場には独特の風があるため体感気温はもっと下がるはず。２３日に富山から地元に戻った札幌も宮澤裕樹が「やはり札幌は空気がカラッとしていて気持ちいい」と話すように、デーゲームとはいえ、運動量を生かしたサッカーを演じるには充分な条件だと言っていい。スピード溢れる好ゲームが期待できそうだ。

以上

2009.07.24 Reported by 斉藤宏則