7月22日（水） 2009 J2リーグ戦 第29節
岡山 2 - 0 栃木　（19:03／岡山／3,661人）
得点者：72' 武田英明（岡山）、75' 大島翼（岡山）
スカパー！再放送 Ch183 7/23（木）12:30〜（解説：前川和也、実況：川崎祐一、リポーター：清水春樹）
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岡山には、シンプルな勢いがあった。開始早々、フリーキックから玉林睦実が、続く2本のコーナーキックから大島翼、西野晃平がシュートを放つ。いずれもキッカーは、精度の高いクロスを持つ小林優希。続けざまのビッグチャンスを決めることは出来なかったが、そこはまだゲームの立ち上がり。決まらなかった痛手より、むしろフィニッシュまで持ち込んだという、ポジティブな空気が広がった。序盤は西野・青木孝太の2トップで引き付けながら、リズミカルにボールも人も早く動き、妹尾隆佑のヒールパスといった個人技を織り交ぜてゴール前へ迫る。「前にタメが出来たので、上がって行くことが出来た」と右サイドバックの澤口雅彦は言う。

中盤でのボールの奪い合いといった様相の中で、栃木は入江利和、鴨志田誉を経由し、河原和寿がアクセントをつけ、サイドを変えながらゲームを組み立てていく。「我々の方は硬いというか、重いというか、非常に出来の悪い試合で、前半を0-0で折り返したのはラッキーだった」と松田浩監督（栃木）。「FWにボールが入った後、個人でいくのか、周りを使って外から攻めるのかという部分で、自分としてはシュートを打ってリズム作っていきたかったが、どうしてもパスを選択するということになって」と言うのは栃木の右サイドバック赤井秀行だ。

そのパスもなかなかつながらないシーンが多かった。岡山のダブルボランチ、竹田忠嗣、田所諒の組み合わせは、第24節・富山戦以来。この2人を中心に、西野・青木も広いエリアを動いてチェイスし、セカンドボールを積極的に拾っていった。

スタジアムに歓喜の瞬間が訪れたのは、岡山が後半2枚のカードを切り終えた70分過ぎ。GK李彰剛からのロングボールを西野が競って、武田英明へつなげる。うまい位置に走り込んでいた武田英明がループシュートを放ち、GK小針清允の頭上を抜けて、みごとゴールイン。「結果が出なくても使い続けてくれた監督に応えることが出来て嬉しい」と試合後、武田英明は何度も繰り返した。爽快なゴールの興奮が冷めやらぬ中、今度は小林からのコーナーキックを大島が合わせて追加点を決める。大島の今季初得点（第24節・富山戦）と同様、小林からのボールは意表を突いたグラウンダー気味の低いボール。先制点から3分後のことだった。2つのゴールには言葉を越える意思の疎通が見えた。

「今までも勝てる試合を落としてるので、喜んでる輪に参加しないでベンチの声を聞きに行った」と言う手堅くもクレバーな竹田忠嗣は、後半をこう振り返る。「栃木の交代選手が入る前に、危ないシーンが続いたけど、うちの交代が早かったのがよかった。その後、ナリさん（保坂一成）が入って1ボランチ的になると、タテのラインが明確になった」。その結果、妹尾のスピード、保坂の展開力が生きてきたと言う。

後半の栃木の追い込みは厳しかったが、失点ゼロに抑えられたのは、頭でっかちにならないシンプルな連係があったから。陰の功労者は多いが、FW西野の守備をはじめ、センターバック野本安啓の判断力など、個人の持ち味を大切にした岡山のハードワークが効いたゲームだった。

以上

2009.07.23 Reported by 尾原千明