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【J2:第28節 熊本 vs 富山】レポート:撃ち合いを制した富山が第1クールに続いて勝利。熊本はミス絡みでリベンジを果たせず、順位も後退。(09.07.20)

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7月19日(日) 2009 J2リーグ戦 第28節
熊本 2 - 3 富山 (19:03/熊本/5,937人)
得点者:8' 西弘則(熊本)、35' 永冨裕也(富山)、58' 石田英之(富山)、66' 宇留野純(熊本)、69' 西野誠(富山)
スカパー!再放送 Ch183 7/21(火)05:00〜(解説:池ノ上俊一、実況:山崎雄樹、リポーター:山田法子)
勝敗予想ゲーム
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 キックオフの時点では上がっていたが、試合開始前、選手たちがウォーミングアップを行っている頃に降った雨が、立ち上がりの流れに少なからず影響した。
 コイントスで前半風上のエンドを取った富山に対して、キックオフすることになった熊本の最初のプレーは、MF石井俊也からのロングフィード。「あれはちょっと狙ったポイントに行かなかった」(石井)ことで富山のゴールキックになったが、アップの時点で「最初のバウンドが延びる」ことを確かめたベテランの選択が、8分の先制点につながった。

 石井からの長いボールは、右サイドから中へ向けて動き出していた西弘則に納まる。富山のDFは3人が囲みかけたが、最初のバウンドが延びた事でスピードを殺さないまま西がコントロール。抜け出した西はGK中川雄二と1対1となり、落ち着いて左足を振り抜く。双方とも、ここまで先制した試合は無敗とあって、どちらが先に点を取るかが焦点の1つではあったから、この時点で熊本が優位に立った事は間違いなかった。
 だが、その直後にシュートを撃たせてしまう等、バイタルエリアでボールを受けた富山の選手、特に長谷川満をフリーでターンさせるシーンが幾度かあったことを考えると、そうした場面がこの試合の行方を示唆していたようにも感じられる。加えて、試合前に降った雨と、メインスタンドから見て右から左に吹いていた風の影響もあって、ここ数試合安定したパフォーマンスを見せていたGK木下正貴のプレーは精彩を欠いていたし、富山の早い寄せに対して囲まれ、前に運ぶ段階でのミスからボールを奪われるシーンも多かった。

 一方の富山は、先制されて以降はディフェンスも落ち着きを取り戻し、特に右サイドの朝日大輔がやや中に絞り気味の位置でプレーする事で、熊本につかまえさせなかった。トップの長谷川と右サイドバックの西野誠はケガ明け、ボランチに入った野嶋良は9試合ぶりの先発だったが、そうしたブランクは全く感じさせず、中でも野嶋は緩急をつけた配球でボールを散らして、朝日らの飛び出しを促した。少ないタッチでのテンポの良いパスワークで、点には結びつかなかったが熊本の守備にギャップを生じさせる場面を立て続けに作る展開は、本来なら熊本がやりたかった形。35分の富山の同点弾も、右サイドの深い位置まで入った野嶋と西野で奪ったCKからで、川崎健太郎の蹴ったボールに対して永富裕也が飛び込んだ。

 後半も10分頃までは熊本のペース。しかし、51分に長谷川を下げて石田英之を投入した富山・楚輪博監督の采配が、結果的に得点につながる。58分、センターサークル付近でボールを受けた石田は、ゴールへ向けてドリブル。これに対して熊本の守備陣は、人数が揃っていたにもかかわらず「引いていった」(石田)。結局誰もブロックに行く事なくシュートを許し、富山が難なく逆転。だが熊本の北野誠監督の交代策もまた、結果を生んだ。66分、中山悟志に替えてピッチへ送った宇留野純に福王忠世からのロングフィード。ゴールまでは距離もあったが、宇留野はギアをシフトしてドリブルに入り、ついてきたDFの堤健吾を振り切る。難しい角度からの左足のシュートが右側のサイドネットに突き刺さり、熊本が追いついた。

 …と、本音を言えばここでレポートを終えたいのだが、試合はこれで終わらなかった。その3分後、今度は富山の西野が右サイドからドリブルで1人かわす。西野が思いきって選択したシュートは、GK木下の正面に飛ぶ。軌道だけを見れば入るシュートではなかったが、「相手のGKが前半からファンブルしていたので、シュートを打てば何かが起こるかもしれない」という西野の思いが、「それまでにもキャッチが危ない場面があって、下から上にはじき出そうと思った」という木下の迷いに勝ったことになる。
 終盤にかけて熊本も山本翔平、山内祐一を同時に投入し、さらに前半は攻撃参加を自重していた左サイドバックの矢野大輔も押し上げて反撃に出る。75分には珍しく直接FKを狙った木島良輔のキックがバーを叩く等の場面もあったが、富山は守備への戻りが速くラインも最後まで崩れず、結局このまま終了。富山の守備対熊本の攻撃、という構図になるかと思っていたが、皮肉にも逆の面がクローズアップされる展開で、2だった勝点差はひっくり返る事なく、逆に5に開いた。

 前節仙台に敗れ、ケガ明けの選手も含めたフレッシュな陣容で臨んだ富山は、2失点したとは言え、競り勝った事は少なからず収穫である。今節の熊本同様に、次節は“勝てば順位が入れ替わる”札幌との一戦に臨むが、永富の19試合ぶりのゴールに、交代で起用した石田、楚輪監督が「ミドルが決まったことでチームとしての自信になる」と話した西野のゴールと、課題だった得点力に光明が差したと言える。

 一方の熊本は、失点の時間帯や取られ方の悪さが露呈。守備陣形を崩されての3失点ではないだけに非常に悔やまれる敗戦で、順位を上げるチャンスを自らフイにした。結果、岐阜に抜かれて13位に後退。さらに愛媛、そして1週間後にぶつかる福岡との勝点差も2に縮まった。特に2失点目のパターンはこれまでにも何度もあった形で、DF間の連携というより、コミュニケーションに問題があると見るべき。通訳がいないという事情も影響しているチョ ソンジンとの意思疎通に限らず、全体として「行くのか行かないのか」(石井)をハッキリ共有させないと、中2日でぶつかる2位・C大阪の7番と8番を止めるのは至難の技だと言わざるを得ない。

以上

2009.07.20 Reported by 井芹貴志
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