本文へ移動

今日の試合速報

国立競技場に10,000名様無料ご招待 9/14 19:00KO 国立競技場 FC東京vs名古屋
国立競技場に10,000名様無料ご招待 9/14 19:00KO 国立競技場 FC東京vs名古屋

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1:第18節 広島 vs 千葉】レポート:千葉が仕掛けた超守備的戦術を破壊した広島のスーパーゴール。(09.07.20)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
7月19日(日) 2009 J1リーグ戦 第18節
広島 4 - 1 千葉 (18:05/広島ビ/11,572人)
得点者:45' 佐藤寿人(広島)、48' ストヤノフ(広島)、89' 李漢宰(広島)、89' 工藤浩平(千葉)、89' 青山敏弘(広島)
スカパー!再放送 Ch181 7/20(月)17:00〜(解説:前川和也、実況:君崎滋、リポーター:掛本智子)
勝敗予想ゲーム | JOMO CUP 2009応援メッセージ募集!
----------
 ボールを持ったストヤノフを、谷澤達也が追いかける。両サイドに開いた槙野智章と森脇良太には、深井正樹と太田圭輔がプレス。青山敏弘・高柳一誠・柏木陽介に対しては、アレックス・工藤浩平・坂本將貴が密着する。「坂本さんがずっとそばにいて、本当にやりにくかった」と柏木が言うほどのマークで、自由を奪った。さらに、広島のCKになると全員がペナルティエリアの中まで戻り、マンマークで相手をつかまえ、さらにゴール前のゾーンを埋めた。広島を徹底研究し、その攻撃の良さを消すことに重点を置いたシステムを千葉は組んでいた。
「相手に引かれたことを想定して、今週は練習していた」と広島GK・中林洋次は言う。しかし、さすがにここまでディフェンシブに固めてくるとは想定外のこと。「相手は(クサビのパスに対して)インターセプトを狙っていた。縦にボールを入れるのは正直怖かった」と語るのは青山だ。自由もなく、スペースもない状況でも、そこを引きはがそうと前に人数をかけて崩しにかかるのが広島の面白さ。しかし千葉が狙っているのも、まさにその1点。35分、千葉の思惑が結実しそうな瞬間を迎えた。

 広島は青山・高柳・佐藤寿人とダイレクトパスをつないで打開を計る。その時、槙野は中盤の高い位置まで上がり、相手の堅守をこじ開けにかかった。その瞬間、スキが生まれた。アレックスがボールをカット、プレスをかけた槙野をかわして前線の深井へパス。カウンターだ。太田が猛烈な勢いで左サイドを駆け上がる。槙野とミキッチは前線に置いていかれ、間に合わない。ピッチ上には4対3、広島を数的不利な状況が襲った。深井、フリーの太田にパス。決定的だ。しかし、雨で濡れたピッチの影響もあり、ボールは想定よりも速いスピードで太田の前を横切る。彼がボールに追いついた時、広島の選手たちは危険なゾーンを固めてしまっていた。このシーンこそ、千葉の狙いとしていた瞬間。もしここで千葉が狙い通りに先制していたら、広島はさらにリスクを冒さざるを得ず、千葉の術中にますます陥ることになる。この千葉の逸機は、その後の展開に大きな影響を及ぼした。

 後半開始早々、広島はキックオフから小気味いいパス回しによって千葉を押し込んだ。服部公太が高い位置でボールを持ち、クロス。そこに猛然とミキッチが飛び込み、トラップからシュートを狙う。GK岡本昌弘が身体を張るも、ボールは再び服部の足下へ。この時、ゴール前には高柳・ミキッチ・佐藤。一方、千葉のDFはボスナー・福元洋平・青木良太。つまり、瞬間的に数的同数の状況に陥った。広島の圧力の前に、千葉の守備は確かに混乱していた。服部のパスを受けた柏木がダイレクトで放ったクロスは、ジャンプしたミキッチの頭上を超えて鋭く曲り落ちてきた。DFに視界が遮られていたはずのエース・佐藤は、躊躇なく左足を振り抜いてハードヒット。ゴールを見ずに感覚で放ったシュートは、岡本の指先をかすめてネットに吸い込まれる。広島、ついに千葉の堅守をこじ開けた。

 その3分後、広島はゴール正面でFKのチャンスを得る。千葉は全員が戻り、7人が壁に。しかし、ストヤノフの蹴ったボールは高く舞って壁を越える。鋭い回転のかかったボールは、万有引力の法則を最大限に利用してストンと落ちた。逆足に重心がかかっていた岡本が必死で指を伸ばすも、届かない。ストヤノフはベンチに向かって猛進、ペトロヴィッチ監督の下でガッツポーズ。そこに広島の選手たちほぼ全員が駆け寄り、抱き合った。彼らの「2点目」への想いの全てが、そこに集結していた。

 紫のエースとリベロが表現したスーパーゴールによって、千葉はゲームプランを粉々に粉砕された。その後、一転して攻撃に出た千葉だったが、終了間際に工藤が1点を返すのが精一杯。逆に李漢宰・青山に得点を許し、1-4と大敗した。
「我々はバルセロナのようなスター軍団だと思われているのか」と千葉の守備的な戦術に対して戸惑いを表現したペトロヴィッチ監督だったが、それは広島のサッカーの質が認められている証明。相手の対策を凌駕し、「負ければ下を見なければならない」(ペトロヴィッチ監督)決戦に勝利した意味は大きい。

 一方の千葉。巻を外し、移籍直後の太田を使ってまで広島対策を練り上げながら、大差で敗れたショックは決して小さくない。次節は、首位鹿島に2点差から同点に追いつき、勢いがある清水。どれだけ早くこの大敗から切り替えられるか。アレックス・ミラー監督の手綱捌きに注目したい。

以上

2009.07.20 Reported by 中野和也
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/08/04(日) 00:00 ハイライト:横浜FCvs千葉【明治安田J2 第25節】