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【J2:第28節 鳥栖 vs 仙台】レポート:攻めの姿勢を最後まで見せた鳥栖と仙台。結果の分かれ目は、ゴールに向かう執念だった。(09.07.20)

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7月19日(日) 2009 J2リーグ戦 第28節
鳥栖 2 - 1 仙台 (19:03/ベアスタ/6,256人)
得点者:42' 渡邉将基(鳥栖)、44' 梁勇基(仙台)、62' 島田裕介(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch183 7/20(月)21:00〜(解説:サカクラゲン、実況:南鉄平、リポーター:ヨンヘ)
勝敗予想ゲーム
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サッカーは7,32m×2,44mの枠の中にボールが完全に入った時にゴールが認められ得点となる。
今節の鳥栖対仙台は、このケースが3回訪れた。いずれもセットプレーからであり、いずれも狙ったところに蹴る高い技術を持った選手が絡んでいる。
42分には、鳥栖の左サイドのCKから生まれた。島田裕介の蹴ったボールは、ファーサイドにいたハーフナー・マイクの頭にピンポイントで合わされたものだった。
44分には、鳥栖のゴール前25mのところから、梁勇基がゴール右隅を狙ったものだった。壁の横を抜け、GKの伸ばした指先に触れて、ゴール右上に決まった。
62分には、島田裕介が緩いボールをゴールど真ん中に蹴り込んだPKだった。

どの場面も、キッカーには相当に精神力が求められるシーンである。
先制点となり、同点に追いついた前半。決勝点となった後半とその場に立ったものにしかわからないプレッシャーとキッカー冥利である。
しかし、この3つの状況に至るまでには、ピッチ上のプレーヤーたちの熱い思いが後押ししていた。

先制点したのは42分だが、それまで鳥栖は徹底してサイドからの攻撃を試みていた。左サイドDFに入った日高拓磨が、幾度となくMF島田裕介を追い越すシーンを見せていた。
これにより、仙台の右サイドの守備が緩くなり、クロスボールを入れられるシーンが多かった。そのつど、エリゼウや渡辺広大、時には千葉直樹までもがそのボールを跳ね返しに躍起になっていた。高さのあるFWハーフナー・マイクを警戒し、簡単にはゴールに向かわせはしなかった。が、42分の左CKだけは鳥栖の狙いが的中し先制点となった。
ピンポイントで合わせた島田裕介の技術、ハーフナー・マイクの高い打点、ゴール前に詰めた渡邉将基の連携で奪ったものだった。エリゼウのマークも反応したGK林卓人もクリアした中原貴之も必死の思いで対応したが、それを越えた鳥栖の執念がボールをゴールに押し込んだ。

直後の44分には、仙台もこの試合にかける気持ちを見せた。
1点のビハインドでハーフタイムに入るのと、追いついて入るのでは戦術もモチベーションも変わってくる。
鳥栖のゴール前25m付近で得たFKに、ピッチ上にいる選手だけでなく、仙台ベンチもゴール裏のサポーターたちも、劇的なゴールを望んでいたに違いない。そしてTV観戦をしている多くの仙台サポーターも同じ気持ちになっていただろう。
それらの期待を一身に背負った梁勇基は、見事にそれに答えた。
右足から放たれたボールの軌道は、鳥栖ゴールの右隅に見事な弧を描いて吸い込まれていった。

俄然盛り上がるBAスタジアム。その喧騒を一瞬止めたのが62分の西村雄一主審のホイッスルだった。
仙台ゴール右斜めでボールを受けたMF武岡優斗が、ペナルティエリアに侵入した瞬間だった。
右サイドDF田村直也がうまく身体をコースに入れて一瞬ドリブルを切ったように見えたが、武岡優斗は諦めずにボールを追いかけた。この粘りに対し、田村直也の足が武岡優斗に引っかかり、鳥栖へのPKのホイッスルが鳴った。
キッカーは島田裕介、対するGKは188cmの林卓人。わずか数秒の間にお互いの駆け引きが始まった。
試合後、林卓人は「もう少し、我慢できれば・・・」と悔しさをにじませた。決めた島田裕介は「あの状況で動かないGKはいないはず。タイミングだけをずらして真ん中に蹴った」と冷静な判断をしていた。
駆け引きの冥利とPKそのものが持つ独特の雰囲気を6,256人の来場者は肌で感じたに違いない。

90分の試合の中で、互いに放ったシュートやFKの数は変わらない。そこに至るまでの過程の違いは、お互いの持てるものを出し切った感がある。今節の試合は、どちらかが主導権を握って優位に進めていた時間は短く、攻守の切り替えがめまぐるしかった。
鳥栖は両サイドをうまく使い、仙台に守備のポイントを絞らせなかったし、仙台は流動的な動きの中に個人の高い技術を織り交ぜて、鳥栖のDFを翻弄した。逆に言えば、お互いのボランチである鳥栖の高橋義希と仙台の千葉直樹がうまく攻守のバランスを取り、チームを間延びさせず自分たちのストロングポイントをうまく引き出していた。
だからこそ、この試合はセットプレーからの得点が生まれ、流れの中では得点こそなかったが、ボールが常に動くスピーディな試合となったのである。
90分間がこれほど短いものかと感じさせる白熱した試合だった。

外周70cm、重量450g程度の球形のボールを数メートル先の味方に渡すことは、見た目ほど容易なことではない。
ボールと味方の間には、そのボールを奪おうと相手が邪魔をする。ゴールに入れようとすれば、GKが立ちはだかる。
邪魔がいなくても、髪の毛1本程度の角度のズレが、数十メートル先ではどれだけの大きさとなって出てくるのかは、わからない。しかも、ボールは芝の上で動いている。
味方に渡すパスやGKをかわして叩き込むシュートは、高い技術だけでは成功しないものなのかもしれない。
そこに、試合にかける思いや勝利に対する執念が加わって完成されるものなのだろう。
たかがボールを蹴るだけの競技と思うなかれ。丸いボールは簡単に真っ直ぐには転がらないものである。
プロ選手の高い技術に、ただただ感心しきりである。
サッカーは、高度な技術とそこに賭ける思いの織り成す芸術である。

以上

2009.07.20 Reported by サカクラゲン
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