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【J2:第28節 岐阜 vs 横浜FC】レポート:舞台の最高潮はクライマックスに訪れる!雨をも吹き飛ばす『長良川劇場』はまだまだ終わらない!!(09.07.20)

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7月19日(日) 2009 J2リーグ戦 第28節
岐阜 2 - 0 横浜FC (18:04/長良川/7,186人)
得点者:77' 佐藤洸一(岐阜)、86' 押谷祐樹(岐阜)
スカパー!再放送 Ch183 7/20(月)13:30〜(解説:森山泰行、実況:堂野浩久、リポーター:若山貴嗣)
勝敗予想ゲーム
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『長良川劇場』はまだまだ終わらない―。試合が始まって、90分後には7千人の歓喜の声がスタジアムを包む。試合途中まで激しく降っていた雨は止み、歓喜の声がこだまする頃には、天は雨を降らすことなく、温かくその瞬間を見守ってくれた。

試合全体を振り返ると、非常に厳しい試合だった。岐阜らしくないサッカーで、終盤までどっちに転ぶか分からない試合展開だったが、今の岐阜には何かを起こしてくれる雰囲気がある。昨季はどちらかというと、終盤になると負の雰囲気が漂うことが多かったが、今は大きな期待感がある。それがスタジアム全体に満ちているからこそ、終盤の甘美な瞬間は訪れる。今日はまさしくそういう試合だった。

試合前から激しさを増した雨。この日の長良川競技場にはこうした天候にも関わらず、多くの観客が詰め掛けた。しかし、その観衆を前に岐阜は、立ち上がりは細かいミスが目立った。横浜FCのFW安孝錬が1.5列目で自由に動き回ったため、岐阜はマークの受け渡しに混乱をきたし、中盤での細かいミスを連発。開始僅か30秒には安がいきなりGKと1対1となるビッグチャンスを迎えるが、放ったシュートはGK野田恭平のファインブロックに阻まれた。

横浜FCはしっかりとしたボールポゼッションから、前線の難波宏明をターゲットにしながらも、両サイドバックのオーバーラップを絡めた攻撃で、岐阜ゴールに襲い掛かる。12分には右からのボールを難波がヘッドで合わせるが、これは右ポストを叩いた。

岐阜にとって我慢の時間帯だったが、それも長くは続かなかった。25分を過ぎると、今度は横浜FCの方に細かいミスが目立ち始める。岐阜は反対に相手のミスを奪っては、西川優大、佐藤洸一の2トップに当て、全体のビルドアップから岐阜らしい形で攻撃を組み立て始める。30分を過ぎると、降り続いていた雨が上がり、曇り空の切れ間から青空が顔を出すようになると、試合は天候のように落ち着きを取り戻し、こう着状態に陥った。

前半を終えて0-0。この結果は岐阜にとって好都合な結果であった。今、選手個々の落ちない運動量が武器となっている岐阜は、後半勝負がひとつの必勝パターンとなっており、横浜FCのようにいい時間帯を持続できないチームが相手だと、大きな力を発揮する。ただ、この試合において、一人の選手の存在がこの力を発揮する時間帯を大きく遅らせた。

その選手は前半から好パフォーマンスを見せていた安だった。彼は後半、右サイドの深い位置にポジション取りを続けた。これは中へ絞る岐阜の両サイドの裏を取り、左SBの秋田英義のオーバーラップを抑えるだけでなく、前線の起点をターゲットの難波だけでなく、サイドにもうひとつ作ろうとする狙いがあった。

彼が細かいプルアウェイを加えながら右に張り出したことで、左サイドハーフの染矢一樹や、入れ替わった高木和正が、常にケアをしなければならず、サイドの深い位置に引っ張りだされ、ボールを奪っても、左サイドの攻撃がどうしても遅れてしまい、いつもの岐阜らしい左右からの厚みのあるサイドアタックが展開できなくなってしまった。

これにより、劣勢を強いられたが、やられる雰囲気はなかった。それは前半でもそうだったように、横浜FCの細かいミスが多かったことにある。攻撃の狙いはしっかりしているのに、いざ仕掛けるべきところでイージーミスをしてしまい、自らいいリズムを崩してしまっていた。狙いは明確で、一人ひとりがいいポジショニングを取っているのに、攻めきれない。横浜FCからすれば非常にもったいない展開だった。

これは裏を返せば、岐阜にとっては、劣勢でも付け入る隙はいくらでもあるということになる。終盤、岐阜はこの付け入る隙を見事に生かして、一気に試合を決定付けていく。67分、松永英機監督は西川に代えて、FW押谷祐樹を投入。すると「前半からベンチで見ていて、相手DFがあそこ(バイタルエリア)でもたついていた。あそこを突けばミスが出ると思った」押谷は、バイタルエリアで何度もウェーブの動きを仕掛けて、ボールを引き出すと、徐々に横浜FCのDFラインは下がりだし、バイタルエリアに大きなスペースを生み出していく。

そして77分、カウンターからボールを受けに右サイド中央に下がってきた押谷にボールが渡ると、押谷はファーストタッチで前を向いて、バイタルエリアにぽっかりと空いたスペースに走りこんだ佐藤へ絶妙のスルーパス。これをペナルティエリア内で受けた佐藤が、DFに倒され、PKを獲得。これを佐藤自らがきっちりと決め、岐阜が先制に成功する。

勢いに乗った岐阜は、86分に左CKからニアで秋田がヘッドで繋いだ浮き球を、ファーサイドで待ち構えていた押谷が、DFと体を入れ替えるように、アクロバティックなジャンピングボレーを放つ。これがGKの脇を破ってゴールに吸い込まれた瞬間、『長良川劇場』のボルテージは最高潮に達した。

勝利を告げるタイムアップの瞬間、スタジアムは大きな歓声に包まれた。まるでこの日詰め掛けた7千人の声が、雨雲を吹き飛ばしてしまったほど、空は平静を取り戻していた。これで岐阜はホームで9戦連続負けなし(5勝4分け)となった。
もちろんチームとしての課題はまだまだある。決して今の状況は完璧ではない。それは百も承知だ。しかし、それらはFC岐阜というクラブが存在してこそ成り立つものである。クラブを存在させ、今後より多くの歓喜、そして問題点の気付き、議論、そしてそれを解消していく努力をクラブが重ねていけるように―。すべては今をみんなの力で最高のものにしていくことが重要である。

詰め掛けた7千人のうち、岐阜の試合を初めて見に来た人はどれくらいいただろうか。その数は分からないが、はっきり言えるのは、その人たちは必ず次回も来てくれるはずだ。これははっきり言って根拠はないが、選手の頑張りと、スタジアムの雰囲気が根拠のない確信を与えてくれる。

以上

2009.07.20 Reported by 安藤隆人
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