6月14日（日） 2009 J2リーグ戦 第21節
東京Ｖ 0 - 0 水戸　（16:03／国立／5,521人）
スカパー！再放送 Ch185 6/15（月）17:30〜（解説：川勝良一、実況：下田恒幸、プレーヤー解説：名波浩、リポーター：高木聖佳）
☆勝敗予想ゲーム
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木山隆之監督の言葉を借りれば、「どちらが勝ってもおかしくない試合。0−0という結果は、ある程度妥当だったなとは思う」。互角とも言える内容でのスコアレスドローだった。

ただ、どちらかといえば収穫が多かったのはアウェイの水戸ではないだろうか。
第14、15、18節でそれぞれ5失点を喫した恐怖心から、どうしても前線からの積極的な守備ができなくなっていたが、「ウチの良いところを出すには相手より走らないと。まず積極的な良い守備をすることが良い攻撃につながる」（MF金澤大将）と、開幕からの好調時のサッカーへの立ち返りを目指し、試合開始からアグレッシブにボールを奪いに行く姿勢がみられた。
そして、水戸の狙いとする「前からプレスをかけ、相手のミスを奪ってインターセプトを仕掛ける」（MF遠藤敬佑）場面が、特に前半は何回もあった。

だが、最も大きかったのがMF菊岡拓朗の復帰だろう。
菊岡をベンチに置いた前半は、FW高崎寛之へロングボールを入れ、チャンスを作るという攻撃が主体となっていたが、後半16分に菊岡がピッチに入ってからはスルーパスからの決定的な場面が生まれるようになった。その象徴ともいえたのが同28分、相手ファールのリスタートだった。「（吉原）宏太さんだけがずっと見ていてくれた」と、東京Vの一瞬の隙をついて素早く縦に出したスルーパスがゴール前に走る吉原に通った。東京V GK土肥洋一の好セーブに阻まれ得点にはならなかったが、この試合最大のチャンスを演出した。視野が広く、パスの精度も非常に高い菊岡の存在は、復調目指す水戸にとって欠かせないだろう。

水戸は5試合ぶりの失点0で、失点を減らすという最低限の課題はクリアできた。だが、やはりこの試合も『1点』は奪えなかった。何度もチャンスはあっただけに、フィニッシュの精度アップが、『1点』そして勝点3を得るための鍵ではないだろうか。

東京Vにとっては、攻撃に課題の残るゲームとなった。
ここ数試合できつつある、後ろから回しながら攻めて相手を崩すという意図はみられたものの、特に序盤は水戸の激しいプレスでなかなか中盤でボールが落ち着かず、苦戦した。逆に、起点となるMFのところで「自分たちのパスミスからカウンターで攻められた」（MF柴崎晃誠）何度も危ない場面を迎えてしまった。また、前線でもターゲットのFW林陵平になかなかボールが入らないため収めどころがなく、両サイドも良い形で絡むことができなかった。

それでも後半は、優勢に回ったと言えるのではないだろうか。MF永里源気が「サイドにスペースが空いていたと思ったので、ワイドに開いた」ことで、柴崎晃にスペースが生まれ、前線に顔を出す場面やシュートを放つシーンが増えた。また、後半途中からFW平本一樹、MF河野広貴が入ったことで、前線でボールが収まるようになると、DFラインの下がった水戸に対して自分たちのリズムに持ち込んだ。
「（自分が入ったら）1回ボールを持って、落ち着かせてから攻めようと思っていた」という河野はボールをキープしながら積極的にドリブルで仕掛けたが、「縦が切られていた」と判断。「中に入ってボールを受け、（平本）一樹君に当ててもう1回もらう」(河野)という形で中央からの攻撃を狙ったが、得点には至らなかった。
平本、河野のドリブル勝負は東京Vにとって大きな武器となるが、一方で、止められた場合のカウンター対応など、マイナス部分も背負っている。その上で、この武器をどう生かすか。

また、それ以外でも、1チャンスをモノにできる絶対的なエース大黒将志の飛び出し、林の高さ、レアンドロのキープ力、柴崎晃や滝澤邦彦といったMF選手のシュートなど、それぞれの持つ長所を生かし、勝利に結びつけるためにはチーム全体がどうすべきかという部分の追求が、これから上位を目指す上での1つのテーマとなるのではないだろうか。

「（J1昇格には）もう全部勝つぐらいじゃないと厳しい」と、GK土肥は早くも危機感を口にしている。今後も仙台、湘南と上位との直接対決が続くが、勝点差を詰める大チャンスともいえる。
この1週間、もう1度チームとしてじっくりと煮詰め、仙台戦に挑みたい。

以上

2009.06.15 Reported by 上岡真里江