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【J2:第21節 横浜FC vs 岡山】レポート:ゴールに必要なプラスαは泥臭さ。ひたむきにゴール前に詰めた八角剛史の得点で横浜FCが約1年ぶりのホームゲームでの勝利を飾り、最下位脱出。(09.06.15)

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6月14日(日) 2009 J2リーグ戦 第21節
横浜FC 1 - 0 岡山 (16:03/ニッパ球/4,116人)
得点者:74' 八角剛史(横浜FC)
スカパー!再放送 Ch182 6/15(月)11:30〜(解説:水沼貴史、実況:田中雄介、リポーター:湯本久美)
勝敗予想ゲーム
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 約1年ホームゲームで勝利していない横浜FC。くしくも監督や選手が「呪縛」という言葉を使ったが、目指すサッカーを表現しながらも勝利できない日々が続いた。この試合では、これまでになかった「泥臭さ」が、チームを呪縛から解き放つ勝利をもたらした。

 試合は、ややボールが落ち着かない立ち上がりとなるが、3分にボランチの囲みから横浜FCが素早い攻撃に移り、シュートで終わる攻撃を見せると、まずは横浜FCのペースに。7分、12分に、それぞれ鄭容臺、難波宏明がシュートを放つ。しかし、この攻撃が一段落すると、15分ごろから岡山がペースを握り始める。横浜FCは出場停止の片山奨典に代わって西田剛を左サイドハーフで起用するが、本職でない西田の起用により、守備のポジショニングに微妙なズレが生じる。攻守の生命線である「距離感」が失われ、相手ボランチへのプレスバックが遅れる。岡山は、この守備の乱れを利用し攻撃を仕掛ける。22分には青木孝太が決定機を迎えるが、シュートは大久保択生のビッグセーブに阻まれる。しかしその後も、岡山の「追い越す動き」が継続的に展開され、岡山のペースが続く。ようやく40分ぐらいに、「トップの1人を下げてコミュニケーションを取りながら、ポジションの修正ができた」(鄭)というように横浜FCも距離感を修正し安定を得るが、大久保の活躍にも助けられる形で、前半は0-0で終了する。

 ハーフタイムに「奪ったら出て行く。奪われたら奪い返す。当たり前の事をしっかりする」という指示を受けると、横浜FCは後半立ち上がりから再びペースを握る。しかし時間が経過するにつれ、蒸し暑さと疲労の蓄積が、両チームからコンパクトさと正確なプレーを失わせる。その結果、徐々にカウンターの応酬になるが、そのカウンター自体が不正確なプレーによって、ゴールにつながらない。そのような停滞した状況の中、68分の三浦知良から須藤右介への交代が横浜FCに活を入れる。「勢いを出すことだけを考えていた」須藤プレーに引っ張られる形で、横浜FCがゴール前に迫るシーンが増える。そして74分、その須藤のクロスのクリアミスを、ゴール前に詰めていた八角剛史が泥臭くゴールに押し込み、先制点を挙げる。岡山も西野晃平を投入することで追撃態勢を整え、89分には武田英明が決定的なシュートを放つが、ポストに当たった跳ね返りを喜山康平が押し込むことができなかった。そして、長い4分のロスタイムの末、横浜FCがなんとか逃げ切りに成功。2008年6月25日の水戸戦以来のホームゲームの勝利を飾った。

 横浜FCにとっては、サポーターにホーム初勝利を届け、最下位を脱出できたことが貴重な収穫。「本当はホームのサポーターを味方にしないといけなかったが、プレッシャーもあったと思う」(八角)というように、横浜FCに呪縛があったのであれば、それが解けたことで、今後に良い影響があるのは間違いない。

 一方で、今の横浜FCの実力と、勝利を得るために必要なプレーが浮き彫りになった。「攻守の切り替えの所で、なかなか攻守両面でスイッチが入らず、非常にプアなゲーム」と樋口監督が振り返るように、本来行うべきプレーが中途半端になる場面が散見された。体力的に厳しい面もあるが、ポジションに入る意識の向上を図らないと、第1クールへの逆戻りになりかねない。そして、ゴールに結びつけるための泥臭いプレー。スーパーなストライカーがいれば話は別だが、そうではない現状では、この試合の八角のように、ボールが出てくることを信じてひたむきにポジションに走り込む泥臭さのようなプラスαが重要だ。八角は以前から、自らがゴール前に飛びこむプレーの重要さを語り、それを試合で実践し続けた。劇的なゴールに繋がるボールが彼の前に転がったことは偶然ではない。今後の浮上のために、この試合の勝利から成長の種を見つけていくことが重要になる。

 一方の岡山は、樋口監督が「参考にしたい」と語ったように、前に収めた時のサポートと追い越す動きは十分に表現し、横浜FCを上回るシーンを数多く作っていた。さらに、初先発の青木がチャンスメークやシュートに奮闘。この日当たっていた大久保に何度となく止められたが、今後ゲームにフィットしてくれば岡山の得点力の向上に貢献することは間違いない。やっているサッカーには一定の自信を持っているだけに、監督、選手が語るように、個々のプレーの正確性や質を上げることが重要となる。

 お互いにミスが多く、最下位に位置するチーム同士の試合内容だったのも事実。その中で、狙い通りのサッカーを表現する事に加えて、プレーに対するひたむきさが、勝利への重要なファクターであることを再認識したという意味では、意味のある試合だった。

以上

2009.06.15 Reported by 松尾真一郎
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