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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J2:第21節 栃木 vs 鳥栖】レポート:15857人の溜め息。重要な一戦に敗れた栃木は3連敗。連勝を飾った鳥栖は順位を今季初の一桁、9位に押し上げた。(09.06.15)

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6月14日(日) 2009 J2リーグ戦 第21節
栃木 0 - 5 鳥栖 (13:03/栃木グ/15,857人)
得点者:7' ハーフナーマイク(鳥栖)、45' オウンゴ−ル(鳥栖)、56' 山瀬幸宏(鳥栖)、89' 島田裕介(鳥栖)、89' 高橋義希(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch182 6/15(月)16:30〜(解説:松原良香、実況:篠田和之、リポーター:新井謙一郎)
勝敗予想ゲーム
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クラブとサポーターの動きが実った。「県民の日スペシャルマッチ」には今季初の10000人超えとなる、15857人が詰めかけた。この数字は昨季のJFL最終節で記録した、クラブとしての観客動員記録13821人を塗り替えるものだった。栃木SC、サッカー専用スタジアムである栃木県グリーンスタジアムの臨場感、試合前に歌われる「県民の歌」を初体験した人は、おそらく普段足を運んでいる人の倍以上はいたことだろう。今季、伸び悩んでいる観客動員の向上を図るには、新たに栃木を好きになってもらうためには絶好の機会であったが、「また次も観に来たいというゲームができなかった」(河原和寿)。大差が付いたことで終了の笛を聞かずに大半の観衆が席を立った。心を掴み損ねたことは想像に難くない。

「先制するということは強いメンタルがないとできない」とは岸野靖之監督の弁。開始7分、CKからハーフナー・マイクのヘディングシュートが炸裂し、サガン鳥栖が先制に成功する。先制弾のハーフナーは言う。「先に点を取ることは皆が狙っていた」。先制した7試合は6勝1分と無敗であり、いかに先行することが重要で、自分達を楽にするかを知っていた。だからこそ、出足が鋭かったのだ。そんな鳥栖の思惑を、序盤からアグレッシブに来ることを、栃木は織り込み済みだったはず。だが、相手を上回ることが出来なかった。確たる原因がある。これまで試合開始から14分までは無失点という立派な数字を残してきたが、実際のところ立ち上がりは不安定であり、辛うじて耐え凌いでいたのが実情だった。問題を先送りにしてきたが、失点を喫したことを機に、試合の入り方を再考しなければならない。

得点後、「流れが悪かった」と振り返るのは高地系治。それは鳥栖の選手に共通した思いで、栃木のサッカー、つまりは蹴り合いに応じたことでリズムを乱した。にもかかわらず、栃木はミドルゾーンでのミスが目立ち、最終ラインからのビルドアップのテンポも上がらず、ゴール前にボールを運べなかった。前半唯一の好機、石舘靖樹が放ったバイシクルシュートはGK室拓哉に防がれた。

後半早々にオウンゴールで自らの首を絞めた栃木は、さらに56分にもカウンターから被弾。これで勝負あり。途中出場の高安亮介は突破力を活かしたドリブルから見せ場を作り、河原はミドルシュートから一矢報いようとしたが、GK室を攻略できなかった。ゴールを割れず、逆にロスタイムに立て続けに失点を食らい、終わってみれば0‐5の大敗で、連敗は止まらず3に伸びた。

今季2度目の連勝で初の一桁順位、9位に浮上した鳥栖。だが、岸野監督は「内容に乏しい展開」と大勝にも表情は冴えなかった。先手を取っても相手に合わせてしまったことで、本来の持ち味である2列目からの飛び出しや、ボールを動かしながら揺さぶり切れなかった。後半は持ち直したことでシンプルにゴールに迫り、奪い取れたが、嵩にかかって攻め切れなかった前半を反省点とした。また、若いセンターバックの内間安路と渡邉将基が競り勝てず、ポジショニングやビルトアップに難があったことも指摘。だが、注文をつけながらも無失点に抑えたことは小さくないと述べ、一定の評価を下した。厳しい言葉が続いたが、ハーフナーと戦線復帰したばかりで早速ゴールを挙げた山瀬幸宏の2トップには好評価を与えた。そして、試合前日に自身が迎えた誕生日を勝利で祝福してくれた選手達を褒めた時には相好を崩した。次節はセレッソ大阪をホームに迎えての大一番。「先制するとDF陣は集中する」(GK室)きらいがあるそうだが、どんな状況下に置かれても自分達のサッカーを貫くことで連勝を重ねていきたい。

栃木の敗因は状況判断の未熟さにある。鴨志田誉は、「ボールを回せるのに失点したことで、早くゴール前にという思いで、ロングボールが多くなった」と述懐する。その結果、奪ったボールを相手に易々と渡し、結局はカウンターを浴びせるのではなく、浴びることを招いた。鴨志田は続ける。「どこかで回す時間がないと苦しい」。せっかくポゼッションのトレーニングを入れ、ボールを繋いで緩急をつけることに取り組んでいるのに、実戦で活かされているシーンは少ない。単調なロングボールだけでは苦戦は必至である。それは既に経験済みのはずなのに、同じことを繰り返している。逆転勝ち、ビハインドを帳消しにしてのドローが1試合もないのは、ペースチェンジが行えないことも一因に挙がる。一朝一夕に事は運ばないが、新たなことを試みる勇気がなければ身に付かないこともある。

気持ちの切り替えも重要であるが、何が足りないのか、選手は自分自身を見詰め直すいい機会だと捉え、とことん悩んでみるのもひとつの手かもしれない。幸い次のロアッソ熊本戦まで1週間あり、オフも2日間設けられているのだから。

以上

2009.06.15 Reported by 大塚秀毅
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