6月13日（土） 2009 J2リーグ戦 第21節
草津 2 - 2 愛媛　（14:04／正田スタ／4,345人）
得点者：25' 赤井秀一（愛媛）、40' ジョジマール（愛媛）、58' 後藤涼（草津）、73' 小池純輝（草津）
スカパー！再放送 Ch186 6/15（月）09:30〜（解説：小田島隆幸、実況：吉田学、リポーター：円戸由香）
☆勝敗予想ゲーム
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ストライカーの本能だった。５８分、田中淳が愛媛ＤＦラインの裏へと蹴ったロングボールに後藤涼が猛然と走り込む。「ＤＦが重なっていたのでミスが起こるかもしれない」という野性の勘が的中する。愛媛両センターバックの連係ミスにつけ込み、ボールをかっさらった後藤はＧＫの位置を確認してゴールへと流し込む。後藤のゴールをスイッチに、草津は目覚めることになる。

　前半の草津は眠っていた。ＤＦラインからのビルドアップで愛媛攻略の糸口を探ったが、バイタルを固める愛媛のブロックを崩せない。「ボールは動いたけどシュートまでは行けずに嫌な雰囲気になっていた」（松下裕樹）。攻守の切り替えが遅い草津は、ゴールへと直結するシンプルなパスを繰り出す愛媛のカウンターにさらされていく。また、相手ブロックを破れないという課題は、この試合も改善がなかった。

２５分、草津は左サイドをえぐった廣山望が後方から走り込んできた櫻田和樹へマイナスのパス。櫻田が放った抑えの効いたシュートがＧＫ山本浩正を襲う。だが草津にとっての最初の決定機が皮肉にも、先制を許すきっかけとなってしまう。

シュートを受けたＧＫ山本が一瞬、ボールをこぼしたため、切り替えが遅れた草津をあざ笑うかのように、愛媛は鋭いカウンターを仕掛ける。長い距離を走って草津ＤＦの裏を突いた赤井秀一へ、吉川健太が左足で絶妙なロングフィードを送る。赤井が放ったシュートはＧＫ北一真の手を弾いてゴールへと転がり込んだ。愛媛は４０分にもジョジマールが追加点を叩き込み、２点リードで前半を終えた。一方の草津は、７試合連続で勝利から遠ざかる鬼門・敷島の重い雰囲気に完全に飲み込まれていた。

ポゼッションの草津に対して、２ラインでブロックを敷く愛媛。後半に入っても態勢は変わらなかったが、流れを一変させたのは、冒頭に記した後藤のゴールだった。執念の追撃弾で勢いを取り戻したチームは、小池純輝を投入。運動量が大幅に落ちた愛媛を一気に押し込んでいく。そして７３分、左ＭＦ小池が内へと切り込んで右足を一閃。「ドリブルで中へ入ったことでＧＫがファーへ動くと思ったので、ニアサイドを狙った」という低弾道ミドルがゴールネットを揺らして草津が同点に追いつく。

草津は７８分、ジョジマールの決定機をＧＫ北が気迫でブロックしピンチを凌ぐと、終盤は勝点３を求めて猛攻を仕掛けていく。土壇場には高田保則のシュートがクロスバーを叩くなど愛媛を土俵際まで追い詰めるが逆転ゴールを奪えず２−２のままタイムアップ。気温２７度湿度４６％という初夏の天候の中、死力を尽くした両チームの選手たちはピッチへと倒れこんだ。草津は、計２３本のシュートを勝利へ繋げることができなかった。

２点を守り抜けなかった愛媛は、惜しいドローだ。「１点を返されたことでチームが受身に回ってしまった。もっと落ち着いてゲームをコントロールしなければいけなかった」（大山俊輔）。前半は組織立った守備で草津の攻撃を囲い込み、主導権を握っただけに、後半、特に１点を失った後の対応が悔やまれる。連敗はかろうじて止めたが、ゲーム終盤の試合運びに難点を残した。

一方、ホーム草津は２点のリードを許して厳しい展開を強いられた。ドローへと持ち込んだことは評価できるが、リスクマネジメントに欠けた前半の戦いぶりには不安が残る。選手たちは「悪いときのチームに戻ってしまった」と振り返った。また、最近数試合の得点は、チームのゴールというよりも「個」で奪ったゴール。今ゲームの２点も個人技が生んだ得点だ。第２クール不敗の草津だが、決して安定した状態ではない。前半の２失点によって剥がれた塗装の下には、不甲斐ない戦いを繰り返した第１クールのチームの姿があった。草津は、課題と収穫を手にして次節・北関東ダービー水戸戦（６／２１＠ひたちなか）に挑む。

以上


2009.06.14 Reported by 伊藤寿学