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【ヤマザキナビスコカップ 磐田 vs 広島】レポート:走って走って走り抜いた磐田が、広島の夢を打ち砕く(09.06.14)

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6月13日(土) 2009 ヤマザキナビスコカップ
磐田 2 - 1 広島 (14:01/鴨池/5,660人)
得点者:17' 前田遼一(磐田)、53' 前田遼一(磐田)、74' 佐藤寿人(広島)
★ヤマザキナビスコカップ特集
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 結局、サッカーというスポーツは、走ることが大前提なんだ。そんな当然のことを強く感じさせた試合だった。

 この日の磐田の布陣は、前田遼一の下に西紀寛・成岡翔・上田康太の3人が並ぶ。この前線の選手たちが広島の最終ラインに思い切ってプレスをかける。かわされ、ボールを運ばれても、決してあきらめない。走って、とにかく走って、広島に自由を与えない。そんな強い決意に満ちていた。12分、ボランチの岡田隆が負傷交代しジウシーニョが前線に入っても、やりぬく意志は変らなかった。
 一方の広島は、どうだったのか。決して動いていないわけではない。だが、そこに連続性が乏しかった。一度動いて、たとえボールが出なくても、また動き直す。これを繰り返すことで広島の流麗なパスサッカーが生まれるのだが、この日はそれがない。そのため、磐田にパスコースを封じられ、セカンドボールも拾えない。

 17分、磐田はFKを得る。ボールをセットしたのは上田。左足には絶対の自信を持つ男だ。精度抜群のボールが前線へ。エース・前田はグイッと身体を前に持ち出し、盛田剛平のマークを振り切ってヘディングシュートを叩き込んだ。

 このゴールによって、広島は混乱した。外から見れば「無駄」と思えるようなバックパスや横パスを繰り返し、「緩」を使って相手を動かしながら「急」で攻撃のスイッチを入れるのが広島のサッカー。しかし「早く同点にしないと」という想いが空回りしたのか、縦へ縦へと急ぐ。しかし、佐藤寿人・柏木陽介・高萩洋次郎の3人が磐田の固いマークに自由を奪われている状況で、「緩」を忘れたプレーではマークははがれない。
 また「急」ばかりを繰り返すと全体のバランスがとりにくく、リスク管理がおろそかになる。余裕がなくなった時に広島が陥る「攻撃過多」の状態を、磐田は鋭くついた。

 53分、ルーズボールを拾った西は完全にフリー。磐田、数的優位の状況に。ドリブルから左サイドのジウシーニョ、さらに逆サイドの前田にパスがわたり、エースが落ち着いてゲット。実は広島は、この失点の直前に高柳一誠の投入を準備していた。彼の強いフィジカルとダイナミックなプレーがムードを変えたその後の展開を考えても、この2失点目は広島にとって痛恨だった。

 広島はその後、平繁龍一や大崎淳矢を起用し、守備の選手を減らして前線の圧力を倍増した。気温25.8度・湿度63%という天候もあり、磐田の運動量がダウン。さらに、下がり目の位置になった柏木が前を向いて仕掛けるプレーに、磐田は対応できなくなった。
 74分、その柏木の鋭いパスに飛び出した平繁がCKを奪う。磐田、2回続いたCKを防ぐも、広島はセカンドボールを拾い、ミキッチがクロス。完璧にフリーとなった佐藤寿がヤマザキナビスコカップ5点目を叩き込み、広島に希望の火をともした。
 その直後、成岡が至近距離から放ったシュートを、広島GK中林洋次が左肩で弾く。ムードはさらに広島へ。
 83分、CKから盛田がフリーでヘッドを放つが、枠外。85分、高柳のスルーパスに平繁がフリーで飛び出すも、川口能活がシュートを弾く。平繁とのワンツーで佐藤寿が飛び込む。だが磐田DFが身体をぶつけ、同点弾を許さない。
 87分、カウンターからジウシーニョがフリーでシュート。中林、左手1本でスーパーセーブ。プロフェッショナルな激しい攻防に、スタジアムの盛り上がりは最高潮になった。

 ロスタイム4分。磐田はキープに入らずに攻める。広島は失点覚悟で前に出る。決意と執念、情熱と激情がぶつかりあった攻防。見応え満載の闘いは、広島の左クロスが川口に防がれたことで終焉を迎えた。
「後半盛り返した?遅い。最初からやらないと」
 服部公太がこぼした言葉が、広島の全て。娯楽性に富んだ広島のサッカーのベースは運動量だが、そこを失っては勝てない。
 また、厳しい状況に陥った時にこそ緩急のリズムを創りたいのだが、それもできなかった。森崎和幸がその役割を担っていたのだが、彼は長期離脱中。誰もができるプレーではないだけに厳しいが、そこは全員の力で乗り切る以外にない。
 ここまでヤマザキナビスコカップで1勝もできなかった磐田だったが、全員が激しく走り抜いて広島の夢を打ち砕いた。個々の能力が高い集団が泥臭く闘った時の凄みを見せつけ、「チームは確実に良くなっている」と川口も自信を口にした。松浦拓弥やカレン・ロバートが怪我から戻ってきたのも明るい材料。
 リーグ再開初戦は、かつて時代を築き合ったライバル鹿島との対決となるが(6/20@カシマ)、この日の情熱に満ちた闘いを見せれば、王者とも十分に闘える。そんな手応えを感じさせた鹿児島の熱戦だった。
 
 以上


2009.06.14 Reported by 中野和也
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