6月14日（日）J2 第21節 東京Ｖ vs 水戸（16:00KICK OFF/国立）
スカパー！生中継 Ch182 15:50〜（解説：川勝良一、実況：下田恒幸、プレーヤー解説：名波浩、リポーター：高木聖佳）
☆勝敗予想ゲーム
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前回の対戦（第4節）では、完全に封じ込まれ、「どこか異国の地に連れて行かれて、ピッチの中でさまよっていたようなゲーム」と語った高木琢也監督の言葉が、実に印象的だった。当然、東京Ｖの選手たちにも悔しさばかりが残っており、「やり返さないと」と、キャプテン河村崇大はじめ、チーム全員が絶対のリベンジに燃えている。

単純にチーム状況をみても、５月以降９戦４勝４分１敗と結果が出ており、内容的にもここ2試合でだいぶ良化してきた感がある。その要因は、やはりDＦ土屋征夫、ＦＷ平本一樹、ＭＦ河野広貴が戦列復帰したことが何よりも大きい。
特に土屋が戻ったことで、ボールを回してゲームを作っていくという形がはっきりと現れるようになった。土屋不在のこれまでは、スコア、時間帯、疲労度、展開などにかかわらず90分間同じサッカーを続けた結果、せっかくのリードを守りきれない試合もあった。当然、スタンドから見ていた土屋は試合後や練習中にアドバイスを送り続けてきたが、言葉だけでは限界があったという。「ピッチの中でしか、伝えられないことがある」と言う土屋が自らのプレーで示すことで、本当の意味での『状況に応じた戦い方』がチーム全体でできるようになってきている。
また、平本が入って、少し引いたところでボールを受けることで、ＭＦ滝澤邦彦、永里源気ら両サイドの選手もゴール前に顔を出せるシーンが増え、攻撃の厚みも増したと言えるのではないだろうか。

得点という意味では、前節のゴールでＦＷ大黒将志がついにJ２得点ランキング1位に躍り出るなど、いよいよ本領発揮といった感じがある。高木監督も、特に前々節・Ｃ大阪戦でのゴールを「あの（ポジションへの）入り方は、本当にスゴイ！」と大絶賛。ＧＫ土肥洋一やＤＦ富澤清太郎も「絶対に点を取ってくれる。とにかくスゴイ選手」と、全幅の信頼を寄せている。
それでも、大黒本人は「まだまだ」と物足りなさを口にする。「もっともっとパスをくれれば、もっと決めれる」と、エースは自信たっぷりに言い切る。次はどんなゴールを見せてくれるだろうか。ぜひ期待したい。
「同じ相手に2回の負けは許されない。完敗した相手に、今やっているサッカーが出せるようにしたい」と滝澤は話す。前回何もさせてもらえなかった水戸にどんな戦いを見せられるか。結果・内容にこだわって、チームの成長を示したい。

対する水戸は、スタートダッシュに成功したものの、５月からの９試合は２勝３分４敗と不振が続いている。中でも、5月の7試合で18失点（うち、3試合が1試合5失点）と、守備に深刻な課題を抱えている。そこで、失点を恐れるあまり、本来の攻撃サッカーではなく、まず守備重視に切り替えたことで、得点力までも下がってしまったというのが現状のようだ。
それでも、ここ２試合は、これまでの消極的な守備ではなく、高い位置からの守備がみられるようになったことは、チームとして改善されてきた証拠ではないだろうか。

攻撃面でも、ここ3試合で1得点というのは厳しいと言わざるを得ない。大きな原因は、やはり絶対的なチームのエース・荒田智之の離脱だろう。前回の対戦でゴールを決められている東京Ｖにとっては、荒田不在はアドバンテージとなりそうなところだが、高木監督は「水戸は素晴らしいチーム。（昨年17点挙げた）荒田がいないのは単純にラッキーだが、安心ではない。それに、ラッキーかアンラッキーかは、試合が終わらないとわからない」と、決して楽観視していない。
また、けが人続出の対戦相手の状況にも、「どんなに選手が揃っていても、入る選手が代われば必ず変化するもの。それまでと同じでは絶対にない」と、逆に荒田不在によって作られるであろう相手の出方に警戒する。
水戸としては、『好調時の残像』を追うよりも、『今戦えるメンバーで何ができるのか』の追求で状況打開を図りたい。

ところで、国立競技場での東京Ｖｖｓ水戸は、2戦ともアウェイの水戸が勝利している。この結果を最も意識するのが、平本（東京Ｖ）だ。「2年前、１−５で大敗した上、自分も退場になった。あれでチームを（期限付き移籍で）出ましたから」。決して忘れられない試合だという。しかし、「ここでスッキリと勝てれば、悪いイメージは一気に消える。絶対に勝ちたい」。

東京Ｖのサポーターも、平本のゴールを心から待ち望んでいるはずである。

以上

2009.06.13 Reported by 上岡真里江