6月3日(水) 2009 J2リーグ戦 第19節
栃木 0 - 1 札幌 (19:03/熊谷陸/1,819人)
得点者:55' 砂川誠(札幌)
スカパー!再放送 Ch181 6/4(木)20:00〜(解説:セルジオ越後、実況:飯島誠、リポーター:萬代裕子)
☆勝敗予想ゲーム
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栃木SCの連勝への4度目のチャレンジは、コンサドーレ札幌に阻まれた。立ちはだかったのは、またしても砂川誠だった。第13節の対戦時、2点差を引っ繰り返すクライトンの決勝弾をアシストしたベテランは、そのクライトンの代役として今季初先発で値千金のゴールを決めた。攻撃の核が欠けても、その穴をしっかりと埋める渋い働きをされたことで、栃木は再び涙を呑まざるを得なくなった。手が届きそうで届かない連勝へ向けて、また一から出直しである。
決着は開始1分と経たぬ間につきそうになった。砂川が右足を一振り。矢のようなシュートは結局、クロスバーを叩く。札幌としてはいきなりの決定機を逸し、栃木はびっしょりとかかなくてもいい汗をかかされた。
強烈な一撃で目を覚ました栃木は、要警戒のキリノの応対時に数的優位を崩さなかったことで、沈黙させることに成功する。ただし、守れたものの、攻撃に関しては札幌の鋭い出足に沈黙。戦前に大久保裕樹は、「クライトンが出場停止でも、その他の選手が倍の運動量でカバーしてくる」と読んでいた。まさに、その通りとなる。攻守の切り替え、ことにリトリートが早く、コンパクトな陣形を崩さなかったことで、バイタルエリアを閉められてしまう。札幌にハードワークされ、強烈なプレスに晒されてはサイドに追いやられてしまい、苦し紛れにボールを蹴らされた。意図的にサイドバックの裏へとFWを走らせられなかったことが前回との相違点。ロングボールは屈強な両センターバックに弾き返された。
ストロングポイントを抑えた栃木は、27分にCKから、36分にはドリブル突破から決定的なシュートを浴びる。いずれもポストに救われるが一方的に手綱を握られ、生きた心地がしない前半となった。それでも、ゴールを割られなかったことで後半45分に望みを残した。
後半の頭に4-2-3-1から4-4-2へシフトした札幌。ダニルソンの直接FKが再びクロスバーに嫌われ、運に見放される。好機は作るが、歓喜は訪れず。悪循環により勝機は遠ざかったかに思われた55分、右から藤田征也が入れた低いクロスを、砂川がスライディングシュート。先手を奪う。
ビハインドを負った栃木は、交代カードを切り、前を肉厚にして1点を取りに出る。幾分か流れは変わり、終盤に交代出場の若林学の競ったセカンドボールから河原和寿がダイレクトボレー、相手クリアミスに乗じて若林が倒れこみながらシュートを打つが、ゴールネットを揺らすには至らなかった。虎の子の1点を守り抜いた札幌は、4試合ぶりに白星を手に入れた。
勝ち切れないも、裏を返せば負けていない。その中での守備の充実は確かなもので、勝点3を引き寄せるには十分な材料だった。不安定だったラインの統率力は格段に増していた。だが、久方ぶりの勝利にも石崎信弘監督は、「キリノの1トップだと攻撃で、前でタメが出来ないところにまだまだ問題がある」と渋い表情。現に宮澤裕樹をボランチからトップに上げ、キリノと2トップを組ませた後半の方がボールの収まりが良く、ダニルソンの重戦車ドリブルが散見されるシーンもあった。しかし、後半は疲労があったにしてもプレスが機能したとは言い難く、クライトンが復帰してからどんな布陣を組むのだろうか。中盤に人数を割くのか(1トップ)、それとも前に比重を置くのか(2トップ)。昇格を狙いながら若いチームを熟成させるための試行錯誤は今後も続いていく。
「相手に負けたというよりも自分達の持ち味が出せずに力不足」と大久保。松田浩監督が第2クールのテーマとして掲げた、「自分達へのリベンジ」成らず。もちろん敗戦のショックも大きいが、ボールの収まり所がなく、緩急がつけられないことで、一本調子となる攻撃面の脆弱さを札幌に突きつけられたことの方が応えた。相手のラインを押し下げるのにロングボールは有効であるが、そればかりに頼っていては手詰まりに陥る。「最初はボールを蹴ってもいいと思うが、後半になってルーズになった時にはボールを繋ぐ時間が欲しい」(稲葉久人)。ワンクッション入れてからDFラインの背後、サイドバックの裏のスペースへボールを供給することで、スピードに長ける2トップの特性を活かしたい。引っかけてからのショートカウンターの精度は確実に上がっている。ポゼッションで相手をおびき寄せてからダイレクトプレーで一気に局面を打開する術も、そろそろ身につけなければならない。
蹴る、繋ぐ。レベルアップするには、状況に応じた柔軟性とバランス感覚が要求される。
以上
2009.06.04 Reported by 大塚秀毅
J’s GOALニュース
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