6月3日(水) 2009 J2リーグ戦 第19節
仙台 1 - 0 岡山 (19:04/宮城ス/8,506人)
得点者:45' マルセロソアレス(仙台)
スカパー!再放送 Ch185 6/5(金)05:00〜(解説:鈴木武一、実況:守屋周、リポーター:村林いづみ)
☆勝敗予想ゲーム
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キックオフから、かれこれ20分あたりまでだろうか。この試合は、両チームに決定的チャンスが訪れることのないまま時間が過ぎていく展開となった。互いに攻撃は散発的なものが続く。
しかし、これは考えようによっては仙台ペースだった。前節の5得点が鮮烈すぎて危うく忘れそうになるが、ここ最近の仙台の売りは、7連勝終了の時期を経て再確認したチーム全体の守備意識と、一転してカウンターに出た時の流れるような攻撃。バランスを崩してまで攻める必要はこの時間には全くない。さらに、こうした「我慢比べ」ならば、岡山と比べ仙台に一日の長がある。
実際に、序盤が過ぎた頃から、流れは急速に仙台へと傾いていく。岡山に組み立ての段階でのミスが出始め、それを狙っていた仙台が鋭いカウンターを始動させてきたのだ。20分、左サイドの朴柱成が放ったニアへのセンタリングをマルセロ ソアレスが上手く足下に収め、反転してシュートを放ったプレーが、仙台が岡山のミスをカウンターへと結びつけた最初のプレーだったのだが、これがそのまま、以降のゲーム展開となった。ソアレスが前述のプレーを含み前半でカウンターから3度迎えた決定機を決められないなど、なかなか見ていてもどかしい部分はあったが、前半を0−0で終える中でも、仙台は自分たちが焦れることなく淡々と試合を進めていた。
そして公式記録では45分となるが、わかりやすく書けば後半開始から38秒後、仙台に先制弾が生まれる。左サイドを猛然と駆け上がっていく朴へパスが出て、それを受けた朴がドリブルでさらに持ち込む。朴からのセンタリングをペナルティーエリア内左で受けた梁勇基を経由し、ボールはゴール正面のソアレスへ。左足で振り抜いたシュートはバーを直撃したが、跳ね返ったボールがマウスに吸い込まれていき、本人も周囲もほっと胸をなでおろした。
得点が動き、ここから試合も慌ただしくなっていくのか…ところがこの試合に関しては、そうならなかった。1点ビハインドとなった岡山だが、メンバー交代などのきっかけでシステムを変更することはせず、前半からのサッカーを続けてきたこともその一因。無理に前へ出てくることなく、あくまで5人で固めた中盤を守備時には自陣までしっかりと引き、仙台の攻撃をまずは待ち構えたのだ。
この手塚聡監督の判断には、賛否両論があるだろう。刻一刻と時間が無くなっていく中で、少しでも同点、あるいは逆転を狙ったリズムの変化をつける必要があるという声も一理あると思う。
だがこの判断の過程には、最近の仙台の出来というものも考慮に入れる必要がある。前節、仙台が5つものゴールを記録したのは、もちろん仙台が持つカウンターの鋭さが効いたのもあるが、同時に急造の3バックを採用してまで前に出てきた水戸の、バランスを欠いた布陣を突いたという側面もあった。もしここでうかつに前へ出てきたら、同じことが起こるかもしれない。手塚監督が安易な反撃への誘惑を断ち切り、これ以上傷を広げることなく、数少ないカウンターのチャンスに賭ける道を選ぶという選択は、否定できる物ではなかった。
この時間帯のピッチ上に、こうした背景が渦巻いていたのだとすれば、仙台にとっては自分たちが作ってきたチームが他チームに与えているサッカーの印象によって、自らの戦いが楽なものとなっていることになる。実際に後半も、前半と内容が変わることなく、仙台はしっかりと守備ブロックを作りながら、時折カウンターで相手ゴールを脅かす安定した展開で時間を過ごしていた。勝利への確実な方程式なるものなど実際は存在しないとは思うのだが、ただ試合は間違いなく、仙台が敷いたレールに沿う形で進んでいたのだ。
ところが、思いもしなかったことで、試合はレールから脱線しかけた。
平瀬智行を下げて富田晋伍投入、4−3−3へと切り替えてさらに逃げ切りを計ろうとした仙台だったが、途中投入されていた中原貴之が2分間で2枚の警告を受け85分に退場となる。前線からのチェックだけでなく、セットプレーにおいてはニアに陣取り、高さで相手のボールをはたき落とすことで守備においても貴重な存在であった中原が突然いなくなり、残りの5分プラスロスタイムがなんと6分、仙台はお尻に火がついた状態へ。ここぞとばかりに、最後の反撃に出る岡山(結局のところ、無茶な反撃に出ず1点ビハインドでも、ぐっと耐えた手塚監督の判断が、最後に功を奏しかけた格好だった)に対し、文字通り防戦一方とさせられた。
前節に続く大勝を期待する声にも手倉森誠監督は冷静だったように、1−0でも勝点3に変わりはなく、1得点での逃げ切りはいわば狙い通りの展開とも言えるのだが、もし万が一同点ゴールを許そうものならば、評価は途端に「多くのゴールチャンスを逃したこと」を責める声へと変わるだろう。流れの中やセットプレーで、とにかくゴール前へと放り込みパワープレーを仕掛けてくる岡山を前に、必死に耐える仙台を固唾をのんで見守る状況となったスタジアム。長い長いロスタイムはゆっくりと過ぎていく。
しかし仙台は耐えきった。6分16秒あったロスタイムの末に、最後は苦しみながら勝点3へとたどり着いた。
以上
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