6月3日(水) 2009 ヤマザキナビスコカップ
浦和 1 - 0 磐田 (19:00/駒場/17,172人)
得点者:25' 高原直泰(浦和)
★ヤマザキナビスコカップ特集|チケット情報
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一体どれだけの人間が待ちわびたことだろう。「この男はもう終わった」。そんな雑音が聞こえてくることもあったはずだ。だが、着々と牙を研ぎながら、浦和の背番号19は自らのポジションでチャンスを待ち続けた。ただ次のステップへと進むために。“聖地”駒場、翌日には区切りの30歳を迎える状況で、高原直泰は復活の狼煙をあげてみせた。
「最初の60分間で追加点を奪うことができたと思うが、最後の20分間で引き分けに持ち込まれる可能性もあった」。フォルカーフィンケ監督の総括は、両チームが決定機を作り出したこの試合の流れを適切に表している。若手を中心とした浦和の集中が切れ始めたところを攻め切れなかった磐田。試合を分けたのは、「レッズはチャンスをしっかりと決めて、僕らは決められなかった」(川口能活/磐田)という部分だった。
そして開始25分に生まれた高原の決勝弾。それまでに見せていた身体を張った守備、巧みなボールキープ、そして滑らかなトラップ。その瞬間、ボールがこぼれてきたのはただひたすらにチャンスを待ち続けた男には必然でしかなく、左足を振り抜くとスタジアムには歓喜が弾けた。とはいえ、かつてゴールキングとしてJの頂点に立った男は、いつかの姿を取り戻す気配を見せながらも、ひとかけらの甘えも見せてはいない。「これから自分が何をしていくか。誰もこれでは満足しない」。そこには、紛れもないストライカーとしての矜持が見え隠れしていた。
一方、かつてのエースの一発に沈んだ磐田は、チームとしてまとまったところを披露し切れず。時折強風が舞うなか、最後まで得意のサイド攻撃は不発に終わった。さらに、柳下正明監督が「立ち上がりから圧倒されたのかもしれない。エンジンがかかるのは明らかに遅かった」と指摘したように、悪いリズムを変え切れなかった序盤の戦いぶりが悔やまれるところ。終盤に浦和を慌てさせた場面も多かったのは間違いないだけに、川口が語ったように「とにかくやり続けること」でしか道は開けないだろう。
なお、その磐田を抑え込んだ立役者として、この日もうひとりピッチでまばゆい輝きを放ったのは鈴木啓太である。得意の守備でチームを引き締めたのは言うに及ばず、攻撃面での貢献度も大。ミスのないパス、奪われないボールキープ、タイミングのいい飛び出し。フィンケサッカー不動のキャプテンは、この日も秀逸な動きでチームを牽引してみせた。
高橋峻希や西澤代志也がまたひとつ経験を積み重ね、身体のサイズも相まって異質感を漂わせて悠々とボールに絡んでいた濱田水輝の姿もあった。若手の台頭が試合を彩った浦和だが、代表勢がいないなか、それ以上にあらわになったのはベテランたちの意地とプライドだった。この日スタンドから試合を見守った山田直輝や原口元気らを前に示された強烈な自負心。今、浦和で最も注目すべき男たちのプレーからは、今後も目を離すことができなそうだ。
久々の駒場開催で、普段とは異なる小さなスタジアムだからこその熱狂空間を作り上げた浦和サポーターたち。逞しさを増していくチームは、グループ首位を堅持し、決勝トーナメント進出を目前に捉えてみせた。そして、監督会見中に聞こえてきたスタンドからの凱歌は、浦和の躍進がいつまでも続くような予感を漂わせていた。
以上
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