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【J2:第19節 甲府 vs 愛媛】レポート:追撃体制に入った4位・甲府。非常事態3トップで愛媛に第1クールのお礼完了(09.06.04)

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6月3日(水) 2009 J2リーグ戦 第19節
甲府 3 - 0 愛媛 (19:03/小瀬/9,108人)
得点者:5' マラニョン(甲府)、19' 池端陽介(甲府)、73' マラニョン(甲府)
スカパー!再放送 Ch183 6/4(木)17:30〜(解説:堀井岳也、実況:前田真宏、リポーター:横内洋樹)
勝敗予想ゲーム
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「池端がFW?」。試合メンバー表が記者室に配られると記者はみんな驚いた。前日練習では、マラニョンが中央、井澤惇が右、輪湖直樹が左という3トップになる流れだった。一番背が高いマラニョンが175センチ(残る2人は微妙に170センチぴったり)だから「チビッ子3トップ」と呼んだが、試合メンバー表を見るとFWには池端陽介の名前があり、輪湖はDFとなっている。愛媛をかく乱するためかとも思ったが、実際はまさかの池端(本職・CB)が3トップの中央で先発。マラニョンが中央に入る攻撃もイメージがイマイチ出来なかったが、天然素材・池端の中央はもっとイメージが出来なかった。前日練習後、藤田健が本気か冗談か分からないが、「(マラニョン、井澤、輪湖の3トップだと、俺には)ボールは来ないね」と言っていたことを思い出した。

試合が始まってみると、前日に安間監督が言った通り愛媛のディフェンスラインはゾーンで守ってくるから、池端がDFを背負って潰されるシーンは殆どなく、好き勝手に動き出すことが出来た。それに、彼は大抵の犬よりも速く走ることが出来る稀有な人類で、車に例えると7速でスタートしてもアクセルさえ踏み込めばすぐにトルクが最大になる性能を持っている。DFはさぞマークし難く、捕まえるとハードに行きたくなるんだろう。開始5分にペナルティエリア内で後ろからファールを受けてPKを奪い取った。ただ、そのPKを蹴るマラニョンが前日練習でPKを外していたから心配になった。その上、蹴る直前に動きを止めてGKの動きを見て蹴るというややこしい蹴り方をするから、頭を抱える準備もしていたが、それが見事成功。

奪ったボールをパス2本以内で愛媛が失ってくれるから、その後も甲府が主導権を握り続け、2分後には2回の決定機があったが、マラニョンのシュートはGK・山本浩正が上手く反応してCKになり、そのCKからの秋本倫孝のヘッドはバーに嫌われた。畳み掛けるというのはこういうチャンスに決めることなので、この部分で甲府は湘南やC大阪にまだまだ追いつけない。チャンスがありながらも追加点が奪えない時間が続くと、思い出すのは開始2分で先制ゴールを挙げ、主導権も取っていたのに最後は逆転負けをした富山戦(第15節)。安間監督の頭にもそれはよぎった。しかし、右肩上がりが信条の甲府は同じ轍は踏まなかった。CKの流れから19分にCF・池端が石原克哉の正確なクロスに合わせて追加点をヘッドで奪う。

2点差になったことで、totoが当たって金持ちになる心配をする余裕が出てきた。概ね予想通りの展開だったが、後ろの席の記者が「湘南が熊本に0−2で負けている」と教えてくれたから、湘南の勝ち(1)にしていたような気がしたので、お金のために湘南も応援しながら前半の残りを見ていた。30分には珍しい苗字の柴小屋雄一がCKに頭で合わせてきて、かなりヒヤッとしたが、GK・荻晃太の反応とセカンドボールに行った石原のプレーで凌いだ。総じて甲府の選手は判断がよく、無理に繋がずにゴールラインやタッチラインに逃げてリスクをコントロールできていた。ただ、攻撃では何回もあったカウンターのチャンスで最後の1本のパスの正確性に欠ける場面が気になったが、2点のリードが脳から出るイライラ物質を上手く溶かしてくれていた。ハーフタイムにtotoの本券を見ると、湘南vs熊本は対象試合ではなかったので、応援するチームを熊本に変更して後半を迎えた。

後半から田森大己を投入してきた愛媛は、前半とは違うチームになっていた。望月一仁監督が「(横谷繁をFWに上げたとことで)ターゲットの動き出しが早いと(ボールが)収まることは予想していた」と言うように、一方的に主導権を明け渡すことはなくなった。ボールを奪ったときに(愛媛の)FWが動き出していなかったという点では、望月監督と安間監督の前半に対する意見は一致するが、後半の内容を甲府サイドから見れば、判断が悪くなった選手がいたことと、横→横→後ろとパスを回すことで、愛媛の選手がボールを追いやすい状況を作ってしまったということになる。「(ボールが)前に前に行くと、サポートが増えるけれど、後ろに行くと休みだと思ってサポートがいなくなって、詰まってしまう」(安間監督)と言うことだ。富山戦の自分勝手サッカーの悪夢が蘇るが、最大の違いは2点差があるということ。後半はダニエルがジョジマールにパスをプレゼントしたピンチ以外は決定機は与えなかったし、田森のバックパスがショートになったところをマラニョンが決めてダメ押しゴールを挙げることも出来た。結局totoは寄付金になってしまったが、6月3日は「夢叶う小瀬」になった。

試合後の会見で「最初から5速でプレーしてくれた選手に感謝して…」と話した安間監督。選手は先制点も主導権も取っている展開の中で、安心することなく貪欲に2点目を狙いに行った。これは富山戦の敗北が無駄ではなかったことの証明でもあった。
ただ、安間監督は一番スピードの出るギアを5速だと思っているようだが、安間監督が乗る車は電子制御7速AT。ドイツのシュツットガルトに本社のあるメーカーの高級車がそれなのだが、自分の車は5速までしかないと思っているのかも知れない。もしかすると、サッカーで頭が一杯でそれが高級車だということにも気がついていない可能性もある。ディーラーに行って見た目で車を決める(値段と性能は気にしないそうだ)嫁泣かせの夫が、よく細かくサッカーのことを考えることが出来るもんだと思う。プロ監督になっても永遠のサッカー小僧なんだと思う。
前半は、愛媛がボールを繋げていないように思っていたが、安間EYEは「甲府の(攻守の)切り替えが速く、プレスが掛かっていた」と、愛媛を甘く見るのではなく、愛媛の良さを甲府の守備が上回ったと見ていた。今節はディフェンスラインの面子を代えないで無難に行くか、愛媛の立ち上がりの悪さを突くのかで悩んだ結果、当日になって後者を選択したのだが、どのポジションに入るのかを選手自身に決めさせるためにポジションを言わずにピッチに送り出すことや3バックも考えたそうだ。さすがに「まだ、それはマズイなぁ」と思って自重したそうだが、定番という考え方には囚われない監督。安間監督が迷うときにいいバランスでサポートしてくれる内田一夫コーチやベンチ外メンバーが即戦力となれるようにケアしてくれる小佐野一輝コーチらが力を発揮して、ベンチワークもチーム力も右肩上がりになってきた甲府。
大切なのは次節のアウェイ・水戸戦(6月7日)。「DFがガチガチ来る水戸には、今日の非常事態3トップでは通用しない」と言う安間監督。ガチガチに来るなら巨神兵・森田浩史(出場停止明け)を中心にやってやろうじゃないかと既に萌えて来た。いや、燃えて来た。

以上

2009.06.04 Reported by 松尾潤
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