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【J2:第19節 岐阜 vs 水戸】レポート:岐阜、相変わらずの課題が浮き彫りになったドロー。しかし、去年とは明らかに違うドロー(09.06.04)

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6月3日(水) 2009 J2リーグ戦 第19節
岐阜 1 - 1 水戸 (19:04/長良川/2,137人)
得点者:7' 高崎寛之(水戸)、34' 佐藤洸一(岐阜)
スカパー!再放送 Ch185 6/4(木)17:30〜(解説:森山泰行、実況:堂野浩久、リポーター:松井秀)
勝敗予想ゲーム
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遠いゴール、近いゴール。今の岐阜を言葉で表すならば、こうだろう。攻撃は常に複数の選手が関わり、非常に流動的で、昨年よりも確実に面白いし期待感は大きい。しかし、得点のにおいは感じるが、結果を見るとゴール数は少ない。今節の試合もまさにその言葉が当てはまる試合だった。

前回取り入れた【3-5-2】をやめ【4-4-2】に戻してきた水戸は、立ち上がりからディープストライカーの高崎寛之とスピードアタッカーの吉原宏太の2トップを起点に、果敢なチャレンジパスを多用し、岐阜陣内へと攻め込んだ。
すると7分、水戸は左CKを得て、ゴール前のこぼれ球をMF遠藤敬佑がシュート。これはDFにはじかれたが、こぼれを高崎がダイレクトボレーで突き刺し、先制に成功する。早くも試合は動いたが、ここからこう着状態に陥る。水戸は1点リードしたことで岐阜のカウンター対策として両サイドバックの上がりを抑え、守備時は4バックがしっかりと残る形を取った。カウンター時にはリトリートしながら攻撃を遅らせ、MFラインとで挟み込む形を取り、岐阜の鋭いカウンターを抑え込んだ。
一方の岐阜も1点は許したが、相手のクサビに対してゾーンで見ながらも、運動量豊富な橋本卓とDF陣が連動してプレスを仕掛け、そこからの展開を許さなかった。お互いが守備面で狙いを発揮したことで、試合はこう着状態に陥ったのであった。
このこう着状態を打破したのは、やはりこの男だった。試合前から水戸・木山隆之監督も警戒していたMF嶋田正吾が、ゴール前にスペースを見つけると、何度も何度もそこに走りこんで、徐々に相手守備陣にマークの歪みをもたらしていく。すると34分、ペナルティエリア左のスペースに走りこんだ嶋田にスルーパスが届く。角度のない位置から放ったシュートは、DFの身体を張った必死のブロックに阻まれるが、これで得たCKから、FW佐藤洸一が豪快なヘッドで突き刺して、岐阜が同点に追いついた。

1-1で迎えた後半、岐阜が先に攻勢に出る。追いついた勢いそのままに嶋田とMF高木和正の両サイドハーフが、サイドに張り出すというより中へ中へ仕掛ける。これにより、前半は比較的高い位置をキープしていた水戸のダブルボランチが、DFラインに近い位置まで引いてしまい、徐々に両サイドハーフと2トップとの間に距離ができ始める。中盤が間延びしたことで、試合のペースは岐阜の下に。
しかし、この日の水戸の4バックは集中していた。リトリートする形を取っていたため、バイタルエリアではしっかりと対応し、岐阜は形を作っても決定的なチャンスは作らせてもらえなかった。業を煮やした松永英機監督は、68分にFW西川優大に代えてMF染矢一樹を投入。佐藤を1トップにし、その後方に嶋田、高木、染矢の3人を並べ、打開策に出た。71分には左サイドを突破した高木のセンタリングに、嶋田が決定的なワントラップボレーを放つが、これはバーの上。85分には高木がミドルを放つが、枠の外。相手のブロックディフェンスに苦しむも、チャンスはあった。しかし、シュートが枠を捉えられない。さらにシュートすべきところで判断が遅れ、チャンスをフイにしてしまう。いつもの光景が目の前で展開されていた。
「点が入りそうで入らないのは明らかな課題。そうでないと、最後の1発のピンチでやられてしまうこともある」とDF菊池完が語ったように、87分には水戸のMF島田祐輝に完全に抜け出され、大ピンチを迎えるが、これはGK野田恭平の超ファインセーブに救われた。その後、ロスタイムに岐阜も染矢のシュートがポストに当たり、CKからDF秋田英義のシュートがGKのセーブにあうなど、惜しいシーンを作ったが、あの野田のビッグセーブがなければ、菊池の言葉は的中していただけに、ここは問題視しないといけない。

結果は1-1。岐阜にとってやりたいサッカーが具現化できており、これでここ4戦で2勝2分の負けなし。悲観するどころか、上々の数字であるのは間違いない。だが、いい時期にこそ、この上昇気流を利用して課題を確認し、解消する動きをしなければならない。ここで浮かれてしまい、課題を課題として捉えられないことが一番危険であり、落とし穴であるのだから。決めきる力。これは単純に『チャンスを増やせばいい』という数の論理で片付けてはいけない。『1つのチャンスに対する精度』にこだわってこそ、身につくものである。選手一人ひとりが『いつかは取れる』ではなく、このこだわりを持って普段のトレーニングや、試合前のシュート練習を取り組まなければ、いつまでたっても課題は課題のままである。
去年を考えると、ぜいたくなことかもしれない。しかし、今の岐阜はそう指摘したくなるほど魅力的なチームであり、ステップアップ出来るチーム。だからこそ、あえてここで言いたい。『こだわり』を持つことこそ、ワンランク上へ行く必要条件であると。

以上


2009.06.04 Reported by 安藤隆人
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