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【J2:第19節 鳥栖 vs 徳島】レポート:好機に決めきれず、ミスから失点。鳥栖は連勝とならず、徳島は7試合ぶりの勝利に沸く(09.06.04)

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6月3日(水) 2009 J2リーグ戦 第19節
鳥栖 0 - 2 徳島 (19:03/ベアスタ/3,103人)
得点者:37' 徳重隆明(徳島)、48' 佐藤晃大(徳島)
スカパー!再放送 Ch185 6/4(木)20:00〜(解説:サカクラゲン、実況:南鉄平、リポーター:ヨンヘ)
勝敗予想ゲーム
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「勝ちに偶然の勝ちあり。負けに偶然の負けなし」
以前、紹介したことのある、楽天イーグルス野村克也監督の言葉である。
「偶然の勝ち」と評しては、徳島に失礼にあたる。しかし、今節の鳥栖vs徳島戦は、偶然ではないにしろ、徳島の得点に至るまでの過程に、鳥栖のミスがあったことは明白な事実である。シュートに至るまでの過程の中で起こしてしまったミスが、自陣ゴールに近ければ近いほど失点の可能性は高くなる。今節では、そのミスがペナルティエリア内と、エリア直近で起きてしまった。

鳥栖の試合の入り方は悪くはなかった。前節の熊本戦同様に、前線から早いプレスをかけて徳島に自由にボールをコントロールさせなかった。
「鳥栖の早いプレスをかわすことが出来るのか、それともトップにボールを入れて起点とするのか…」(小笠原唯志ヘッドコーチ/徳島)の選択肢の中で、徳島が用いた戦術は後者。鳥栖のボールを奪っては、高さのあるFW羽地登志晃に合わせるか、スピードのあるFW佐藤晃大を走らせるかを前半から行ってきた。その結果、「攻撃ではイニシアティブをとることができなかった」(小笠原ヘッドコーチ/徳島)状態が続き、守備に追われる時間帯が続いた。

しかし、先制点は徳島に入る。37分、徳島の右サイドからの“クリアパス”に反応したのはFW佐藤晃大。ゴールに向かって飛んでいくボールに向かって自慢のスピードを見せた。対応したのは、センターバック渡邉将基(鳥栖)。ともに今季加入したニューパワーである。この局面では、佐藤晃大のパワーの方が上回った。身体を入れてボールを奪おうとした渡邉将基を振り切ってゴールに向かおうとした。一瞬の交錯だったが、ともにペナルティエリア内で倒れこんで、判定は渡邉正樹の“得点機会阻止”となり、先制点は徳島に入った。残りの54分を鳥栖は10人で戦うことになり、勢いは徳島に傾き鳥栖は苦戦を強いられることになる。

この苦境に追い討ちをかけたのは、またしても佐藤晃大だった。48分ペナルティエリア直近でのMF武岡優斗のクリアミスを拾って、角度のないところからゴールを奪った。
どちらの得点も鳥栖のミス絡みとはいえ、こぼれ球に反応する素早さとゴールに対する意識の高さが生んだゴールである。今節の徳島は、鳥栖との試合で起き得るわずかな可能性を想定していたのかもしれない。裏を返せば、勝利に飢えていたのだろう。試合終了後、7試合ぶりの勝利を選手もサポーターもスタッフも素直に喜んでいた。

鳥栖にも勝利の可能性は何回もあった。17分のCK、44分のFK、どちらもMF島田裕介からのボールをFWハーフナー・マイクがフリーでヘディングシュートを放ったが、クロスバーとポストに弾かれてしまった。蹴ったボールも完璧ならば、マークをはずしてフリーでシュートを打てたことも、第1クールの鳥栖にはない形であった。
78分には、MF高地系治のヘディングもポストに弾かれ、こぼれたボールのシュートは大きくバーを越えた。85分にもDF飯尾和也のシュートがバーを越えてしまった。
どんな状態に陥っても最後まであきらめない姿勢は、最近の試合では見せている。ほとんどの選手が、試合後に言葉少なく語った「頑張ります」は、偽ざる心境であろう。今までになかった新しい形に、最後まであきらめない姿勢は、残りのシーズンを戦う鳥栖の“新しい鳥栖らしさ”になる予感がする。願わくは、3試合続いている守備ミスが直結する失点はなくしてほしい。

攻撃と守備が一瞬のうちに入れ替わるのがサッカー。
好プレーで守備から攻撃に切り替わるのか、ミスで守備に切り替わるのかを楽しむスポーツでもある。
90分間の試合の中では必ずどこかでミスが起こり、好機となることもあれば、危機になることもある。
起きた現象だけが敗因ではない。今節の鳥栖は、ミスが起きる予兆もあった。
“どんなボールも相手より先に触る”ことができていただろうか。セーフティーに処理しようと、ボールをバウンドさせていなかっただろうか。勝ちたいという気持ちだけでは、勝点3を得ることは難しい。勝利は自らの手で掴むものであって、相手から与えてもらうものでもない。敢えて鳥栖にとって良かったことをあげるとすれば、ここ3試合での5失点全ては、崩されたものではなく自らのミスで与えたものである。課題はハッキリしている。

はずしたくてシュートを打つストライカーはいない。相手に取られようと思ってドリブルする選手もいない。
そこには想定外のミスも起こり得るし、スパープレーが生まれる要素も含まれている。
真剣勝負だからこそ歓喜の差が大きく、感動も大きい。
負けた悔しさの先には、勝利への期待がある。
次節のキックオフまでは、どんな展開になるかを勝手にシュミレーションできるのが楽しい。
サッカーには飽きることがない。

以上


2009.06.04 Reported by サカクラゲン
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