6月3日(水) 2009 J2リーグ戦 第19節
横浜FC 0 - 1 福岡 (19:03/ニッパ球/2,115人)
得点者:10' 大久保哲哉(福岡)
スカパー!再放送 Ch185 6/4(木)15:00〜(解説:川勝良一、実況:中村義昭、リポーター:武藤乃子)
☆勝敗予想ゲーム
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今シーズン、ここまで本来の力を発揮できずにいる横浜FCと福岡。浮上のきっかけを掴むべく、両チームともにテーマを持ってこの試合に臨んでいた。横浜FCのテーマは、目指すサッカーを出し切った前節の快勝をそのまま継続して、勝ちパターンとして定着させることであり、福岡のテーマは、どのような形にせよ10試合未勝利から脱出することであった。この、両チームのテーマの噛み合わせが、試合展開に影響を与える。
試合は、「こんなに明確に福岡がロングボールを蹴ってくるとは思わなかった」と、樋口靖洋監督だけでなく横浜FCの選手が口を揃えるように、前半の立ち上がりからロングボールを中心とした展開となる。しかし、「本当は後ろからきれいに攻めたいが、こういう状況で勝っていないところで慎重になったというか、悪く言えばビビってしまって(ロングボールを)蹴ってしまった」(鈴木惇)というように、必ずしも福岡にとっても狙いとしたものではなかった。これが横浜FCのゲームプランに大きな影響を与える。大久保哲哉、田中佑昌の2トップが横浜FCのディフェンスラインを押し下げると、前節の横浜FCの快勝を支えたコンパクトな守備がもろくも崩れ去っていく。そして、福岡が横浜FCを押し込んで得た10分のコーナーキックに、大久保哲が豪快に合わせて先制する。その後も、横浜FCは一度下がったDFライン、中盤、FWの距離感を修正できない。一方の福岡は、低いゾーンでも確実に守備ブロックを作り、局面では激しい球際の寄せを見せる。「守備のアプローチについては、練習で意識してやってきたので、それが出せたのが結果に繋がったし、相手を自由にさせなかった」(釘崎康臣)と、シンプルで泥臭いが、勝利のための必要なプレーを忠実に遂行する。その愚直なまでのプレーに、前節の成功イメージのまま入った横浜FCは、崩れたバランスを修正できずに慌てたプレーに終始してしまう。
「セカンドボールをしっかり拾う事」(樋口監督)、「セカンドボールを拾った後のプレーを大事に」(篠田善之監督)というように、ともにセカンドボールを勝負どころと捉え後半に臨むが、この勝負を制したのは前半と同様に福岡だった。福岡が田中佑を中心にDF間のスペースを使う動きとロングボールを使うことで、横浜FCに間延びした中盤を修正する機会を与えないまま時間を消費していく。その上で、中盤での寄せ、最後の守備での集中力を切らさないことで、横浜FCにボールを持たせても決定的な崩しを許さない。横浜FCから見れば、愛媛戦より前の状態に戻ったような試合展開で時間だけが経過する状態。67分以降、同点に追いつくべく「2トップにヘディングの強い選手を並べて、サイドを突破できる選手を置く」(樋口監督)意図で、矢継ぎ早に選手交代を行うが、福岡の粘りのため意図したクロスを上げることができないまま、試合は終了する。意図とは反してロングボール中心のサッカーになりながらも、攻守に渡ってできるプレーを愚直に遂行した福岡が、予想外の展開への対応が遅れた横浜FCを下し、11試合ぶりの勝利を収めた。
横浜FCにとっては、「消化不良」という鄭容臺の言葉が象徴するように、自らのゲームプランを表現できない90分間となった。プレスを主体とするチームに対しては、中盤を飛び越すボールでラインを下げさせる戦術は常套手段として使われる。今後も、横浜FCに対しては同じような戦術を取ってくるチームが増えると考えられる。その時に、一度ゾーンを下げてコンパクトに保つのか、ラインを上げてロングボールの出所にプレッシャーを掛けていくのか、時間帯と戦況に応じた判断力を上げていくことが求められていくだろう。さらに、この試合でも落ち着いてボールを動かすことで自らのペースに引き込める機会はあった。試合の局面に応じて戦い方を修正することと、自らのペースに戻すプレーのバランス、そういった90分間での駆け引きが重要となっていくだろう。
一方の福岡にとっては、大久保哲が「悪い流れを切れたことが、今のチームにとって一番大きい」と振り返るように、11試合ぶりの勝点3という結果を得た事が何よりの収穫。これで、チームに漂っていた精神的な重しが軽減されれば、次の展開が開けてくるだろう。「僕やウェリントンが入ってボールをつなげたかった。ただ、今はこういう状態なので、まずは結果にこだわっていきたい」(鈴木)というように、結果を残しながら、徐々に内容を良くしていくことが重要になってくる。
サッカーでは、狙いが上手くいかなくても、その時にできるプレーの選択と意思統一、そして愚直なまでにプレーを遂行することが重要になる。この試合では、福岡ができるプレーを絞りこの3つの要素を満たすことで、横浜FCを上回ったゲームとなった。
以上
2009.06.04 Reported by 松尾真一郎
J’s GOALニュース
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