5月17日（日）J2 第15節 東京Ｖ vs 福岡（16:00KICK OFF/味スタ）
スカパー！生中継 Ch182 15:50〜（解説：北澤豪、実況：中野謙吾、リポーター：田中毅/桝太一）
顔写真クイズ｜勝敗予想ゲーム■J2は16日13時半締切！
----------

15日間で5試合をこなしたGW期間を、東京Vと福岡とでは対照的な状況で過ごすこととなった。

ハードスケジュールの中、良い雰囲気で乗り切れたのは東京Vで、3勝１分１敗と勝ち越しに成功した上、前節の勝利で今季初の連勝を飾った。
その前節・愛媛戦は０−１の辛勝ではあったが、白星を２つ並べられたことで選手たちがチーム良化への確かな手応えを感じているのは間違いない。しかし、「連勝」という結果そのものに対しては「良かった」と評価をしつつも、元日本代表GK土肥洋一は「でも・・・」と続ける。愛媛戦の勝利も、「試合後、愛媛の選手が『勝てた試合だった』とコメントしていたと聞いた。つまり、次に対戦する時にはウチに勝てると思わせてしまったということ。連勝する中で力をつけていければ良いけど、内容を見たらまだまだ。勝ちが続いたからといって絶対に勘違いしてはいけない」と、納得していない。

土肥が、チームの今後の課題に挙げるのが「後半」である。「前半は、得点も奪えてすごく良いと思うから続けていきたい。あとは後半、特に２トップの運動量が落ちて前線でボールがキープできなくなってきた時間帯にどう戦うのか。（点差など）ゲーム状況によって戦い方は変わるけど、チームが同じことを描いて自分たちで展開をコントロールできるようにならなければいけない」。この試合でも、大きなポイントとなるはずである。

ポイントといえば、得点も今の東京Vのもう１つの見どころだろう。エース大黒将志が７点を挙げてゴールランキング３位タイをマークし、相棒の林陵平が２試合連続ゴール中と、２トップが絶好調である。さらに期待したいのがMF柴崎晃誠だ。高木琢也監督も「今、最も調子が良く安定している。90分間運動量が全く落ちないし、守備においても自分の周りだけではなく、他の位置でもカバーに入っている」と、高く評価する。また、柴崎晃本人も「ボールを持ったら常にまず大黒さんを見る」と話すように、大黒との呼吸も試合を重ねるごとに確実に合ってきている。パスだけではなく、「点とりたい」と得点意欲も非常に強いだけに、注目だ。

一方、苦悩のGWとなったのが福岡である。ここ６試合連続で勝ち星から遠ざかってしまっている（２分４敗）。中でも深刻なのが、６試合でわずか２ゴールという得点力不足だろう。その意味では、ここで試合間隔が１週間空いたことは、福岡にとって大きな救いとなったに違いない。新しい布陣や選手を試したくても、連戦中ではなかなか試すのが難しいだけに、ようやくトレーニングにみっちりと時間をかけられたこのタイミングで、篠田善之監督がてこ入れしてくる可能性は十分考えられる。実際、木曜日の練習ではFWを高橋泰から田中佑昌へ、中盤も、左サイドに岡本、ボランチにウェリントン、DFラインは山形辰徳を右サイドバックに入れ、センターバックの一角に長野聡と大幅にメンバーを入れ替えた布陣が試されたようである。
また、好調だった頃のメンバーを考えると、ボランチにボールの収まる鈴木惇を先発起用するという選択肢も大いにありそうだ。東京Vの選手たちも、福岡の勝った試合映像を観て「鈴木惇が良いアクセントになっていると感じた」（DF藤田優人）と、強く警戒する。若き指揮官がどの組み合わせを選ぶのかは非常に興味深い。

また、東京Vの藤田と福岡のMF城後寿は国見高校の同級生で、家族ぐるみで交流があるほどの大親友だという。毎試合後連絡を取り合っているぐらい普段から仲が良いだけに、藤田は「楽しみだけど、絶対に負けたくない」と闘志を燃やす。配置上、直接的なマッチアップの可能性は微妙だが、チームへの貢献度という点での競り合いに、ぜひ注目したい。

これ以上負けられない福岡はもちろんだが、東京Vにとっても、この一戦は重要な意味を持つ。
「初の連勝で何を得たのかは、次でわかる」と土肥は力説する。連勝を、しっかりと今後のチーム成長へつなげることができるのか。その真価が問われる。

以上

2009.05.16 Reported by 上岡真里江