5月16日（土）J1 第12節 浦和 vs Ｇ大阪（14:00KICK OFF/埼スタ）
スカパー！生中継 Ch182 13:50〜（解説：川勝良一、実況：倉敷保雄、リポーター：朝井夏海）
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　指揮官は語る。「リスクを伴っても、より攻撃に力を出せる選択をしたい」（第９節／大分戦）と。「アウェイの雰囲気を楽しんでいるところがある」（AFCチャンピオンズリーグ／山東戦）という選手のコメントには、調子の上がってきたチームへの自信が見て取れる。公式戦４連勝中と復調したアジア王者Ｇ大阪が、今節の浦和の対戦相手となる。２位浦和と３位Ｇ大阪。昨季は１分３敗といいところなく打ちのめされた因縁の敵役に対し、ホームチームはプライドを取り戻すための戦いに臨む。

　浦和にとっては、故障で欠場が予想されるポンテの穴をいかに埋めるかが、このビッグマッチに向けての大きな鍵となるだろう。前節では原口元気、山田直輝、エスクデロセルヒオという若手三銃士をピッチに送り込んだフォルカーフィンケ監督だが、結果的に攻撃の組み立ての部分では、厳しい状況を強いられることとなった。とはいえ、パスワークを軸とする現在のチームにあって、決定的な仕事のできるポンテの存在の大きさがクローズアップされるのは仕方のないこと。問題は、中盤のマエストロが不在のなかでいかに攻撃パターンを作り上げていくかだ。

　そんななか、大きな期待を寄せられるのは山田直輝だろう。今季インパクトのある活躍を見せて以降、その後も高い水準でチームに貢献している背番号34の存在は、すでに浦和にとって欠かせないものとなった。前節の川崎Ｆ戦ではチームを勝利に導くまでの影響力を発揮することはできなかったが、そのポテンシャルを考えれば、今回は別の結果を見せてくれる可能性は十分にある。ポジション的に対するは、前節Ｊ１通算350試合出場を果たし、西野朗監督に「自分の理想の中の必ずいなくてはいけない、代えの利かない選手」（第11節／柏戦）とまで称される明神智和。このマッチアップに注目すれば、試合の趨勢が決する瞬間を目撃できるかもしれない。

　また、コンパクトに戦いを仕掛けてくるＧ大阪だけに、浦和にとっては川崎Ｆ戦で数多く見られたひとつの攻撃法が有効になりそう。それは田中マルクス闘莉王のDFラインからの正確なフィード。ラインの浅い川崎Ｆを慌てさせたように、闘莉王の一刺しがこの一戦でも勝負を分ける瞬間を演出するかもしれない。周囲の選手たちに大声で指示を出し、気迫の守備を見せる男の視線が前方を見据えたときは、ボールの行き先に目をこらして欲しい。

　一方、その浦和を相手に勝利の凱歌を上げたいＧ大阪では、新エース・レアンドロの存在をピックアップしないわけにはいかないだろう。現在Ｊ１得点ランキングトップを走り、AFCチャンピオンズリーグを含めて公式戦９戦連発中、さらに公式戦今シーズン通算15試合出場16得点という驚異的な数字を記録しているブラジル人ストライカー。チームとしても断トツでリーグ最多得点を誇るＧ大阪だが、同選手にかかる期待は何よりも大きなものとなる。

　そして、浦和にとってはそのレアンドロに注意を向けざるを得ないにも関わらず、同選手を抑えても２トップの一角にはリーグ戦３戦連発中、最近３試合で４得点を挙げて得点ランキング２位タイにつけるチョジェジンもいる。加えて前節久々のゴールで溜まった鬱憤を晴らした播戸竜二の存在も見逃せない。前線にタレントを備え、前半リードで終えた場合は勝率100％を誇るＧ大阪だけに、浦和にとっては勝利に向けて先制点が大きな要素となりそうだ。リーグ戦で最もファウルが少ない上に、被シュート数もリーグ最少のＧ大阪が相手となるだけに、浦和が序盤に奇襲攻撃を仕掛けるかも注目される。

　なお、試合当日の天気は曇りが予想されており、気温は20度程度になる見込み。パスを回してじっくりと急所を突いてくるＧ大阪に対し、今節は息切れすることなく得意のハイプレスで勝負に出ることができそうな浦和。がっぷりよつの展開のなか、早々にアウェイチームがゴールを奪うようだと、浦和のホーム連敗の可能性も高くなる。浦和にとってはいかにキックオフからテンションを高めていけるかが重要なだけに、フィンケ監督のモチベーションコントロール、そしてスタジアムを包むサポーターの後押しこそが、勝利へと進む道に大きな影響を及ぼすはずだ。

以上