5月10日（日） 2009 J1リーグ戦 第11節
神戸 2 - 2 名古屋　（15:04／ホムスタ／10,149人）
得点者：49' オウンゴ−ル（名古屋）、57' 茂木弘人（神戸）、62' マルセウ（神戸）、89' 津田知宏（名古屋）
スカパー！再放送 Ch182 5/12（火）04:30〜（解説：本並健治、実況：牛尾淳、リポーター：林智美）
顔写真クイズ｜勝敗予想ゲーム
----------
　今節を迎えるまで、今季ホームではリーグ戦4勝1敗と強さを発揮していた神戸。J1で上位争いを展開し、ACLで初の決勝トーナメント進出を決めたばかりの強豪・名古屋にも、立ち上がりからその「ホーム力」を見せる。

　この試合で神戸は、前節の山形戦で今季初得点を決めた朴康造を右MFで先発起用。すると、5分にその朴とDF石櫃洋祐のコンビから石櫃がファーストシュートを放つなど、右サイドを起点に神戸は主導権を握る。「立ち上がりはしっかりしようとこの試合に臨んだ。いい入り方ができた」（茂木弘人）と言うように、これまでの課題だった前半の入り方も、この試合では安定。前線では鋭い出足を見せ、中盤では松岡亮輔、田中英雄、金南一らがセカンドボールを拾い続けた。

　対する名古屋は、玉田圭司が第5節浦和戦以来、リーグ戦5試合ぶりの先発復帰。ダヴィと2トップを組んだが、出来はいまひとつ。中盤の核となる小川佳純もいつものように仕事をさせてもらえず。リーグ戦とACLの連戦の影響もあったのか、攻撃陣にいつもの躍動感が見られない。それでもダヴィの前線での頑張り、玉田のFKからチャンスは得たが、決めきれず。杉本恵太のシュートもオフサイドでノーゴール。相手の神戸も好機を活かせなかったこともあり、前半はスコアレスで折り返す。

　後半になると、思わぬ形で試合が動く。49分、ハーフウェイライン近くから金の放ったGKへのバックパスが、少し前に出ていた榎本達也を超えて、そのままゴールイン。神戸は名古屋に先制点を献上。金もがっくりの様子だったが、味方が一斉に金のところに駆け寄って励ますなど、まとまりを見せたチームは「（オウンゴールでの失点は）まだ早かったし、時間もたくさんあった。絶対点も取れると思っていたし、みんな気持ちも切れていなかった。1点入れば状況は本当に変わると思っていた」という茂木のコメントどおりに奮起する。

　そして57分、その言葉を、茂木自らが結果で示す。松岡のくさびのパスを、田中がダイレクトでつなぐと、茂木が名古屋DF増川隆洋の一瞬の躊躇を見逃さず、見事なスピードで先にボールに触ると、右足で軽く押し込んだ。茂木のクラブ史上初となるホーム4試合連続ゴールで、試合を振り出しに戻す。すると、その5分後にも金の縦パスに抜け出した茂木が名古屋GK楢崎正剛のファウルを誘い、PKを獲得。これをマルセウが落ち着いて決め、一気に逆転に成功する。

　その後、神戸は我那覇和樹、吉田孝行、鈴木規郎を投入。うまく時間を使いながら、3点目を狙ったが、金のヘッドがポストに阻まれ、我那覇の決定機も相手DFのブロックに合いシュートできず。それでも、このままホーム4連勝を飾るかと思われた神戸だったが、名古屋に一瞬の隙を突かれる。後半ロスタイム、GK楢崎からのロングボールを巻佑樹に競り落とされると、そこに素早く詰めたのは、巻と同じく途中出場でピッチに入った名古屋FW津田知宏。宮本恒靖が股下にボールを通され、さらに津田のスピードの前にGK榎本も間に合わず。土壇場で2-2とされ、最後の最後で神戸は勝利を逃し、名古屋と勝点1を分け合った。

　試合後、神戸のカイオジュニオール監督は「残念」という言葉を3度も繰り返すなど、勝ち切れなかったことを嘆いていたが、「全体として彼ら、選手たちはよく戦ってくれた」と内容には満足していた模様。ちなみにこの試合の入場者数は1万149人だったこともあり、ホームJ1通算200万人達成も第13節柏戦にお預けとなった。

　一方、「神戸はホームではアグレッシブに来るチームで、このスタジアムでの試合は難しいものになった」と名古屋のストイコビッチ監督。しかし、「ビジターの我々も負けず、津田が最後に1ゴールを決めてくれて、我々は勝点1に値するプレーをした」と、最後まであきらめずに戦った津田らイレブンを讃えた。

以上

2009.05.11 Reported by 前田敏勝