5月9日（土） 2009 J2リーグ戦 第14節
草津 2 - 4 Ｃ大阪　（16:04／正田スタ／4,028人）
得点者：4' 小池純輝（草津）、8' 乾貴士（Ｃ大阪）、18' カイオ（Ｃ大阪）、43' 羽田憲司（Ｃ大阪）、59' 都倉賢（草津）、71' 香川真司（Ｃ大阪）
スカパー！再放送 Ch182 5/11（月）04:30〜（解説：佐藤正美、実況：吉田学、リポーター：円戸由香）
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連戦の影響でＣ大阪・香川真司のコンデションは決して万全ではなかった。過去の草津戦で彼が魅せた鋭利で軽快なプレーと比較すれば、この日は明らかに重かった。それでも草津は香川を止められずに１ゴール２アシストを許してしまう。ゲーム自体は、草津の指揮官が望んだ「撃ち合い」になったが内容は大味だった。脆弱な守備を立て直すことができなかった草津は、前節に続いて４失点を喫して惨敗。３戦11失点の３連敗でＧＷ連戦を終えた。

試合後の会見で佐野達監督は「素晴らしいチームに対して、真っ向勝負を挑んだ」と話したが、草津は戦い方を変えていた。最近２試合で７失点と守備が崩壊していた草津はＤＦとＭＦがきっちりと２枚のブロックを作って、Ｃ大阪の攻撃陣に対峙した。だが、「付け焼刃」的なシステムはゲーム序盤にあっさりと打ち破られる。開始４分に左ＳＢ小池純輝が約30メートルのミドルを突き刺し先制に成功していただけに、耐えなければいけない時間帯だった。

草津は８分、センターサークル付近でボールを受けた香川にドリブルを許してズルズルとラインが下がっていく。そしてＤＦラインまで切り込まれて、乾貴士に同点ゴールを流し込まれる。「チームとして香川にアプローチに行かなければいけなかったのに空いてしまった」（櫻田和樹）。

同点にされて気落ちした草津は18分、ＤＦ田中淳が最終ラインで香川にボールを奪われる痛恨のミス。香川からのパスをカイオに決められて早い時間帯に逆転を許してしまう。さらに43分、右ＣＫを羽田憲司にヘッドで押し込まれ、２点ビハインドで前半を折り返す。「最近は先制してもすぐに返されてしまっている。今日も取られてはいけない時間帯にやられてしまった」（佐田聡太郎）。アプローチの甘さ、セットプレーからの失点…。草津は、守備の課題が一向に改善される気配がなく、自ら首を絞めてしまった。

２点を追う草津は後半、リスクを負って攻撃へ出る。48分には山崎渡、55分には都倉賢がペナルティエリア内でチャンスを迎える。そして59分、松下裕樹が放った低い弾道のミドルをＧＫキムジンヒョンが弾いたところを都倉賢が詰めて２対３。だが草津に傾いたゲームにトドメを刺したのは香川だった。71分、黒木聖仁からのスルーを裏のスペースで受けた香川が落ち着いてゴールネットを揺らし、両チーム合わせて33本のシュートが飛んだ乱戦にピリオドを打った。

草津を一蹴し勝点３を積み上げたＣ大阪は、好機を確実に決めたことでゲームを楽に進めた。「連戦で体力的にキツかった」（香川）「個人的にミスが多くて納得できない」（乾）。香川、乾ともに満足の出来ではなかったというが、スペースをもらったことで仕事は果たした。最近５試合は相手の激しいＤＦに苦しみ、攻撃陣が抑え込まれる場面もあっただけにうっ憤を晴らした形だ。得点後に負傷退場したカイオのケガが心配だが、チーム活性のきっかけになるだろう。守備面ではミドルレンジから２失点したことが課題となる。

敗れた草津だが14節を終えた時点で総失点はリーグワーストの27点に達した。最近５試合は14失点と、リーグが進むにつれて守備の脆さは深刻となっている。セットプレーからの失点は止まらず、ＤＦラインのミスは繰り返される。ミスが何度も続けば、それは単なるミスではなく構造的な問題だ。今季の草津のキーワードに「全員攻撃・全員守備」という言葉があった。全員攻撃は心掛けているが、全員守備はどこに行ってしまったのか。攻撃に影響が出るならば、その分は選手の運動量でカバーすれば良い。柔軟な対応が出来れば、このチームはさらに面白い戦いができる。逆に理想だけを頑なに追求すれば、シーズンの大半が消化試合になりかねない。

以上

2009.05.10 Reported by 伊藤寿学