5月9日(土) 2009 J1リーグ戦 第11節
磐田 3 - 1 大宮 (14:04/ヤマハ/9,783人)
得点者:3' イグノ(磐田)、40' 西紀寛(磐田)、84' 藤本主税(大宮)、89' イグノ(磐田)
スカパー!再放送 Ch186 5/10(日)08:00〜(解説:桑原隆、実況:大石岳志、リポーター:荒木麻里子、プレーヤー解説:福西崇史)
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イ・グノは今日もすごかった。昔の歌で聞いたようなフレーズだが、多くの人がそう思ったに違いない。とくにこの試合での彼のパフォーマンスには、衝撃のデビュー戦となった静岡ダービー以上に“凄み”を感じさせるものがあった。
試合はいきなり動いた。試合への入り方に課題のある磐田だが、今回はキックオフ直後からイ・グノやジウシーニョが積極的に仕掛けて、初めから良いリズムをつかむ。今季初先発となったケガ上がりの上田康太もパス回しによく絡み、ボールもよく動いた。
そして3分には、大宮のセンターバック、マトがクリアしたボールが味方に当たり、そのボールがイ・グノの前にこぼれて一気に裏に抜け出し、GKと1対1に。ここでイは、GK江角浩司が間合いを詰める前にコースが空いたのを見て早めにシュートを放ち、ゴール左隅にあっさりと先制点を決めた。イとしても予期せぬタイミングで急に訪れた最初のチャンスだったはずだが、まったく慌てることなく、驚くほど冷静に決めたあたりは、じつに彼らしいところ。
その後も磐田がペースを握る中で、大宮のほうは持ち味の前線からのプレッシングが遅れ、イの裏への飛び出しに引っ張られてDFラインも下がり気味となり、中盤やバイタルエリアでスペースを与えてしまう。そのため30分すぎまでは磐田が次々とチャンスを作ったが、詰めのところでは少し雑な面が出て2点目を奪えない。大宮のほうは張外龍監督が疲労の影響を認めたが、その後は磐田にもミスが目立ち始めてゲームは膠着。過密日程の5連戦の最後で、日差しがかなり強かったこともあって、選手たちの疲労が早めに表われている印象は否めなかった。
だが40分には、右から持ち込んだイのスルーパスがゴール右の西紀寛に通り、角度のないところからGKの脇を抜いて2点目をゲット。西のバースデーゴールは、自身の今季初ゴールであり、チームにとっても価値ある追加点となった(ちなみに上田康太も5月9日が誕生日)。
後半に入ると、大宮が前半の問題を修正し、前からのプレスを強めて磐田を徐々に押しこんでいく。磐田もときおり反撃を見せたが、前半のようにポゼッションする時間を作ることができず、守りに追われてさらに疲労がたまっていった。
そのため、終盤は磐田の足が止まり、大宮の反撃に耐える展開に。39分には、藤田祥史のポストプレーから藤本主税に飛び出されてゴールを決められ、1点差に詰め寄られてしまう。その後は、大宮が191cmのDFマトを前線に上げて、パワープレーで同点ゴールを奪いにきたが、その大宮にトドメを刺したのは、またしてもイ・グノだった。
アディショナルタイムを2分ほど経過したところで、加賀健一(後半18分〜)の縦パス1本でイが左の裏に抜け出し、ボールキープを選択することなく、迷わずドリブルでゴールを目指す。そして、速くて細かいボールタッチを駆使してゴールライン際でDFとGKを続けざまに抜き去り、角度のないところから3点目を決めてしまう。文字にすればあっさりとしたものだが、観ている者からすれば「まさかあそこから独力でゴールまで行ってしまうとは……」という驚きのパフォーマンス。最後まであきらめずに攻め続けた大宮の選手たちも、これには完全にお手上げだった。
イの2ゴール1アシストの活躍により、磐田はホーム3連勝。イはこれで6試合6得点となったが、相手が十分に警戒し、対策を立ててきた中でも多くのチャンスを演出し、鮮やかに結果を出したことには恐れ入るばかりだ。チームとしても、彼の加入後は1試合あたり2.17ゴール。それまでは1試合平均1点だったので、倍以上の得点力となっている。
守備陣も「かならず点を取ってくれる」という信頼感があるため、落ち着いて守備に集中することができている。チーム全体としても、バタバタと慌ててしまう時間帯や場面が非常に少なくなり、攻守がかみ合う試合ができるようになってきた。たった1人の加入によって、これほどチームの雰囲気が変わるというケースはなかなか見られるものではないが、その過程を見続けていることを幸せに感じている磐田サポーターも多いことだろう。
以上
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